freeeは2019年1月7日より、農業所得用の決算書の作成ができる機能の提供を開始します。本ページでは、同機能の操作方法について説明します。
※1:農業所得をお持ちの個人事業主の方の通期におけるfreeeの利用方法についてはこちらのページをご覧ください。
※2:法人ユーザーの方に向けたヘルプページは別途掲載を予定しています。今しばらくお待ちください。
目次
freeeで作成が可能な農業所得用の決算書の種類について
確定申告の申告方法と提出書類は以下の3種類あり、それぞれ記帳方法など行う作業が異なります(詳細はこちら)
- 青色申告 65万円控除…青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)
- 青色申告 10万円控除…青色申告決算書(損益計算書のみ)
- 白色申告…収支内訳書
農業の確定申告においては「確定申告書」という書類と、上記の内いずれかの書類を合わせて作成・提出する必要があります。農業以外の事業所得や不動産所得を得ている場合には、所得ごとに青色申告決算書(もしくは収支内訳書)を切り分けて作成します。
(確定申告書は事業主全体の所得をまとめて表記したものであるため、農業以外の所得を得ている場合も1つ作成するだけで大丈夫です。)
freeeは2018年度の確定申告期から、農業所得用の決算書書類の作成に対応し、上記3種類のいずれの書類の発行も可能となります。
農業所得と合わせて不動産所得を得ている場合には、2つの所得毎に青色申告決算書(もしくは収支内訳書)の作成が可能です。一方で、農業以外の事業所得を得ている場合、現状の機能では所得を切り分けることができないため、freeeでは書類の作成に対応できません。
◯農業所得以外に得ている所得に応じたfreeeの機能対応表(フローチャート)
上図のフローチャートを表にまとめたものが次のとおりです。
番号 | 設問 | 「はい」の場合 | 「いいえ」の場合 |
---|---|---|---|
設問1 | 農業以外の所得を得ていますか? | 設問2へ | freeeで対応可能 |
設問2 | 農業以外の事業所得を得ていますか? | freeeで対応不可 | 設問3へ |
設問3 | 不動産所得を得ていますか? | freeeで対応可能 | freeeで対応可能 |
農業所得用の決算書作成が可能なfreeeの料金プランについて
freeeの個人事業主向けの有料プランには「スターター」「スタンダード」「プレミアム」の3つがあります。農業所得用の決算書作成機能は「スタンダード」「プレミアム」のプランが対象となります(各プランの詳細についてはこちら])。
※1:農業所得用の決算書作成機能においては電子申告は利用することができません。書類を印刷の上、税務署への直接提出や郵送などで申告の申請を行ってください。
※2:本機能に関してはエンドユーザー様向けとなっており、freee会計でご利用が可能です。freee申告でも農業用の決算書・収支内訳書の作成は可能ですので、会計事務所様はそちらをご利用ください。
決算書の作成方法
1. 専用機能にアクセスする
農業所得用の青色申告決算書(収支内訳書)は、freee会計の専用機能で作成します。freee会計の「確定申告書類の作成」の基本ステップ画面(URLはこちら)で「農業モードに切り替える」にチェックを入れることで専用機能を利用できるようになります。
その後、案内に沿って書類の作成に必要な情報を入力します。
農業所得用の確定申告では、追加的に登録が必要な情報があります。そのため、確認ステップ画面(URLはこちら)から専用の機能にアクセスして、農業用の決算書(収支内訳書)を作成します。
2. [準備ステップ] 勘定科目と決算書表示名の対応関係を設定する
専用機能の「準備」ステップでは、勘定科目と決算書表記名の対応関係の紐づけを行います。
農業所得用の決算書(収支内訳書)は、それ以外の所得とは異なった表記名を用いています(例:種苗費、農具費など)。そのため、freeeで入力した取引の勘定科目が、農業用決算書(収支内訳書)のどの表記名に反映されるのかを設定することになります。
決算書(収支内訳書)の様式に記載がない反映先を新たに設ける場合には、「その他経費」「その他資産」「その他負債」などを選択します。新規の表記名をご自身で作成し、反映先として設定することができます。
3. [入力ステップ] 追加で必要な情報を入力する
専用機能の「入力」ステップでは、農業の確定申告に追加で必要な情報を入力します。
収入の内訳
農業で得た収入は、作物の種類ごとに内訳を記載します。また、種類ごとに作付面積や収穫量(畜産の場合は頭数)を入力する他、家事消費や期首・期末に農産物の棚卸残高がある場合は、その内訳も記載します。
作物の種類は以下の4つに分類されます。
分類 |
内容 |
---|---|
田畑(果樹以外) |
果樹以外の露地作物 |
田畑(果樹) |
果樹(露地作物) |
特殊施設 |
施設栽培の作物 |
畜産物その他 |
畜産物や、上記分類に当てはまらないもの |
雑収入の内訳
雑収入を得ている場合は、その内訳を記載します。
※「雑収入」の金額が0円の場合、本セクションは表示されません。
農産物以外の棚卸高の内訳
未収穫の農産物・肥育中の肉用牛・未利用の資材などを年度末に保有している場合は、その数量と金額の内訳を記載します。
該当する棚卸資産は以下の4つに分類されます。
分類 |
内容 |
freeeに登録される勘定科目の例 |
---|---|---|
未収穫農産物 |
栽培中や未収穫の状態の農産物 |
仕掛品 |
販売用動物 |
販売目的で飼育中の動物 |
仕掛品 |
種苗、飼・肥料、農薬、諸材料 |
生産目的で消費される資材 (種子・肥料・飼料・農薬・冷凍精液など)
|
原材料 |
その他 |
上記分類に当てはまらないもの |
|
雇人費の内訳
専従者以外の従業員に支払った給与・手当がある場合は、支払先の情報や勤務日数を記載します。
※「雇人費」の金額が0円の場合、本セクションは表示されません。
育成費用の内訳
育成期間中の果樹・搾乳牛・繁殖豚などを保有している場合は、その作物・畜産物の種類ごとに内訳を記載します。
※果樹・搾乳牛・繁殖豚など、それ自体が生産活動を行う作物・畜産物は「生物」という勘定科目を用いて、固定資産として扱います(育成期間中は「育成仮勘定」という勘定科目で管理します)。
freeeでの「生物」「育成仮勘定」の管理・操作方法はこちらをご覧ください。
該当する作物・畜産物の名称や取得年月日の他、その育成にかかった今年度の費用を入力してください。
※「経費から差し引く果樹牛馬等の育成費用」の金額が0円の場合、本セクションは表示されません。
地代(小作料)・賃借料の内訳
農作業の外部委託にかかった費用や共同施設の利用料・農地の賃借料などが生じた場合は、その種類ごとに内訳を記載します。
※「地代・賃借料」の金額が0円の場合、本セクションは表示されません。
利子割引料の内訳
借入金の支払利息などが発生している場合は、その種類ごとに内訳を記載します。
肉用牛の特例の適用金額
肉用牛の売却にあたって、課税の特例措置を受ける場合には該当金額を入力します。対象の方は、決算書に記載の所得金額から適用金額を差し引いた値を、確定申告書の所得金額に記載します。お手元で金額を計算の上、個別に確定申告書を修正ください。
確定申告書の計算方法については、こちらの国税庁のHPを参考ください。
特殊事情の記載
特に報告されたい今年度の特殊事情があれば、入力します。
(例:売上や利益に大きな増減があった場合、その事情について記載することで予め税務署への説明を行っておく、など)
4. [確認ステップ] 農業向けの決算書を発行する
専用機能の「確認」ステップで、作成した農業用の決算書を発行します。書類を提出する日付を選択した上で「出力する」ボタンを押せば、PDFの形式で決算書をダウンロードすることができます。
申告書は専用機能ではなく、freee会計の「確定申告書類の作成」で発行します。「freee会計で申告書の作成と提出手続きを行う」ボタンで、申告書の発行と、書類の提出手続きについての案内に戻ることができます。
※2018年度分の農業向けの決算書作成機能は、2019年5月末をもって提供を終了する予定です。お手元に決算書のデータを保管されておくことをおすすめします。
5. freee会計に戻って確定申告書を発行する
専用機能からfreee会計の「確定申告書類の作成」に戻った後、確定申告書を発行します。freee会計の確認ステップでは、確定申告書をダウンロードして内容を確認できます。確定申告書の内容を変更したい場合は「直接入力編集へ」から修正します。
確定申告書の内容に問題がないことが確認できたら、「農業向けの対応が終わったので提出ステップに進む」ボタンから、次に進んでください。
提出ステップでは、画面の案内に沿って書類の提出や納付の準備を進めます。
「農業用の決算書以外の申告書を印刷しましょう」で、(すでにダウンロードが済んでいる農業用の決算書以外の)必要書類を印刷してください。
(不動産所得をお持ちの場合は、こちらで不動産用の決算書(収支内訳書)も印刷できます。 )
なお、「一般用」と記載された決算書(収支内訳書)も作成されますが、これは農業向けの確定申告では不要ですので破棄してください。
以上で確定申告の作業は完了です。申告手続きが完了したら、「提出が完了した」ボタンからその後ステップに移り、案内に沿って年度締めなどを行ってください。