基本の入力タイプは3つ
会計では、法人や事業に関わるお金の動きを「取引」と呼び、簿記という基本ルールに従って日々の取引を記録していきます。この作業を「記帳」「帳簿付け」などといいます。
freeeで記帳を行うにあたって、複式簿記の「借方/貸方」という仕訳形式での入力は、基本的にしなくてよい設計になっています。
代わりに、「取引」「消込」「口座振替」という3つの入力タイプを用いて、お金の動きを記録します。
入力の裏側では自動的に仕訳が生成され、仕訳帳や総勘定元帳、試算表などに反映されますが、それを意識する必要はありません。
従来の仕訳入力に慣れている方は、入力時に表示される「仕訳形式プレビュー」を確認しながら入力してもよいでしょう。
ここでは、取引・消込・口座振替をどのような場面で使うのか簡単に説明します。
実際にどのように取引・消込・口座振替を登録するかの詳細は、「 第4章 基本の入力例 」でご紹介します。
「取引」とは
「取引」は、会計上の取引、つまり法人や事業に関わるお金の動きを記録するための入力タイプで、「取引登録」とも呼びます。
実際の作業では、費用を支払ったときのレシートや、売上を受け取ったときの領収書の控え、あるいは売上が確定したときに発行した請求書など、取引の証拠となる書類(=証憑)に基づいて入力します。
取引でおさえたい「決済状況」
取引は、すでに決済が済んでいるか(※)によって、次の2種類に分かれます。
※ 決済とは、実際にお金を支払ったり受け取ったりすることです。
- 決済完了の取引
当日のうちにお金のやりとりが完了している取引
例:「商品代金を現金で当日受け取った」「当月の顧問料を銀行振込で支払った」 - 未決済の取引
売上や費用は先に確定しているが、お金のやりとりは後日となる取引
例:「売上代金を請求して後日受け取る」「請求書を受け取って後日支払う」
決済完了の場合には「どの口座でお金のやりとりをしたのか」をあわせて選択しますが、未決済の場合には口座を選択しません。
【決済完了の取引の入力画面】
【未決済の取引の入力画面】
具体的には、レシートや領収書をもとに入力するときは「決済完了の取引」、請求書をもとに入力するときは「未決済の取引」を用いることが多いでしょう。
「消込」とは
「消込」は、「未決済の取引」に対して、実際にお金を支払ったり受け取ったりしたときに、「決済済み」になったことを記録するための入力タイプです。
経理用語で、入出金の履歴と照らし合わせて売掛金や買掛金・未払金などの残高を消していく作業を指します。freeeでは「決済の登録」と呼ぶこともあります。
会計では、費用や売上はそれが発生した(確定した)日に計上するという基本的なルールがあり、これを発生主義と呼びます。
このルールがあるため、お金のやりとりが後日になる場合は、発生した日と決済した日の2回、記録を残す必要があります。
freeeでは、取引の発生した日に「未決済の取引」を登録し、決済した日に「消込」を行います。
「消込」で、「未決済の取引」に対して「どの口座で入出金があったか」という決済情報を紐付けて、未払いや未収入の状態を解消していきます。
2段階の処理を行うことで、「12月分の売上だが、入金されるのは1月」という取引も、発生主義に則って正しく記録できます。
「口座振替」とは
「口座振替」は、freeeに登録している口座間でお金が移動したことを記録するための入力タイプです。
口座を「お金が入っている箱」とすると、「こちらの箱からそちらの箱へ」という動きが口座振替です。
口座振替の例
freeeでは、銀行口座だけでなく現金やクレジットカード、その他の決済サービスなどのことも「口座」として扱いますので、以下のようなものが口座振替に当たります。
- 社内の銀行口座間での資金移動
- 銀行口座から現金を引き出した、または、手元の現金を銀行口座に預け入れた
- クレジットカードの利用分が銀行口座から引き落とされた
- 交通系ICカードにクレジットカードからチャージした
- 売上データを取得しているサービスから銀行口座へ入金があった
- 購入履歴を取得しているサービスに対してクレジットカードで決済した
【口座振替の入力画面】
取引と口座振替の違い
取引が基本的に「口座から会社の外へお金が出ていく」「会社の外から口座にお金が入ってくる」という動きであるのに対し、口座振替は「社内での資金移動」と捉えることができます。
「口座振替」は口座同士でのお金の移動ですので、会社全体で見たときの口座の合計残高は変わらないのが特徴です。
一方、「取引」では、ある口座から外部へお金が出ていったり、外部からお金が入ってきたりするため、その分だけ合計残高が変化します。
例えば、「会社で使っているA銀行の口座からB銀行の口座へ、10万円の資金移動をした」という「口座振替」を登録した場合、A銀行の口座残高は10万円減り、B銀行の口座残高は10万円増えますが、会社全体の預金残高は変わりません。
一方、「A銀行の口座から、取引先のC社の銀行口座へ送金した」というのは外部とのお金のやりとりですので、「口座振替」でなく「取引」を使って記録します。
この場合には、A銀行の口座残高が減り、会社全体の預金残高も同じだけ減ります。
基本的に、「取引」は外部とのお金の出入りを記録するもの、「口座振替」は内部でのお金の移動を記録するもの、と捉えておくとよいでしょう。
次のページからは、取引や消込、口座振替を登録する方法をご紹介していきます。