消込=お金が実際に動いたときに行う処理
あらかじめ登録しておいた未決済取引に対して、お金を実際に受け取ったり支払ったりしたときには、「消込(決済の登録)」を行います。
経理上の意味としては、売掛金・未収入金(債権)や買掛金・未払金(債務)などの金額と、実際の入金額や出金額を照らし合わせて、債権や債務の残高を消すという処理です。
未決済取引を「口座に結びつかない取引」と捉えると、消込は未決済取引を口座に結びつける処理ともいえます。未収・未払いの状態が解消されるとともに、その金額分が口座の残高に反映されます。
未決済取引を登録し、その消込をすることで、この先どれくらい入金や支払いの予定があるのかなど、会社の資金繰りを正しく把握できます。
消込のミスは残高ズレや重複計上などに繋がりますので、ケースに合わせて適切な消込処理を行う必要があります。
消込の登録方法
消込には、大きく分けて次の2通りの方法があります。
1. 手動で「決済を登録」する
「取引の一覧・登録」画面で対象の未決済取引を開き、[決済を登録]ボタンから決済情報を登録します。
2. 自動で経理で「未決済取引の消込」を行う
インターネットバンキングなどから取得した明細を未決済取引に結びつけることで、決済情報を登録します。
基本的に、お金の動きがあった口座を同期して明細を取得している場合は、方法2(自動で経理)で処理します。
以降、本ページでは、方法2(自動で経理での未決済取引の消込)についてケース別に解説します。
方法1(手動での決済登録)については、「 未決済の取引を登録する・消し込む(売掛金・買掛金など) - 手動で決済登録を行う 」のヘルプページをご参照ください。
明細からの消込(自動で経理)
口座を同期する等して明細が取り込まれている場合は、自動で経理で明細を用いて「未決済取引の消込」を行います。
ここでは、取引先に請求書を出していて、同期している銀行口座に入金があったときの正しい消込の処理を見ていきます。
まずホーム画面から、入金があった口座の右横に出ているオレンジ色の数字をクリックして、「自動で経理」の画面を開きます。
多くの場合、各明細に対応する未決済取引が自動的に推測表示されています。
消込したい明細について、白背景の部分で自動推測されている内容を確認し、場合によって以下のように処理します。
- A:推測が正しい場合
- B〜D:推測が正しくない場合
- B:複数の取引分がまとめて入金された/まとめて支払った場合
- C:差額があって正しい未決済取引が推測されない・差額処理が正しくない場合
- D:一部だけ入金された/支払った・入金や支払いが複数回に分かれる場合
なお、よくあるミスとして、消込が推測されていない明細でそのまま通常の取引を登録してしまうと、収入や支出の二重計上が発生するので注意しましょう。
A:推測が正しい場合
あらかじめ登録していた未決済取引の金額と明細の金額が一致している(①)、または近いとき(②)には、自動で消込が推測されます。
推測された未決済取引と明細の対応関係や差額分の処理を確認し、正しい場合は[登録]ボタンをクリックするだけで、消込は完了です。
B〜D:推測が正しくない場合
未決済取引の金額と明細の金額が異なっていたり、同額の未決済取引が複数存在していたりすると、自動推測がうまく効かないこともあります。
具体的には、以下のようなケースで起こります。
- 同一金額での請求書発行や、毎月同額の支払いがある
- 複数の請求分がまとめて入金された
- 手数料などを差し引いて振り込まれた
次の画像のように、推測された未決済取引が正しくない、または差額処理が正しくない場合は、[登録]ではなく[詳細]ボタンをクリックします。
【1件目の明細は消込が正しく推測されていない】
※ このまま[登録]すると、新たに「売上高」の取引を登録することになってしまいます。
[詳細]ボタンをクリックしたら、次のB~Dのいずれかの手順で処理しましょう。
- B:複数の取引分がまとめて入金された/まとめて支払った場合
- C:差額があって正しい未決済取引が推測されない・差額処理が正しくない場合
- D:一部だけ入金された/支払った・入金や支払いが複数回に分かれる場合
B:複数の取引分がまとめて入金された/まとめて支払った場合
例えば複数件の請求分がまとめて入金された場合など、複数の未決済取引に対して入金や支払いが1回で行われたときは、消込したい未決済取引を適切に選択する必要があります。
操作手順
[詳細]ボタンをクリックしてウィンドウを開いたら、[未決済取引の消込]タブをクリックし(①)、消込の対象とする未決済取引を探してチェックを入れます(②)。
【詳細ウィンドウで[未決済取引の消込]タブを開く】
この時点で明細の金額と未決済取引の総額に差額がなく、右上に「金額が一致しています」(③)と表示されたら、左下の[登録]ボタンをクリックして消込は完了です。
差額がある場合は、次の「C」の手順で差額処理を行いましょう。
C:差額があって正しい未決済取引が推測されない・差額処理が正しくない場合
例えば売上から手数料を差し引かれて入金されたケースなど、差額があるために正しい未決済取引が推測されなかった場合、または、推測された差額処理が正しくなかった場合も発生します。
この場合、正しい未決済取引を選択するとともに適切な差額処理を入力する必要があります。
操作手順
[詳細]ボタンをクリックしてウィンドウを開いたら、[未決済取引の消込]タブをクリックし(①)、消込したい未決済取引を探してチェックを入れます(②)。
明細の金額と未決済取引の総額に差額がある状態だと、右下の[登録]ボタンはクリックできませんので、右上の[差額を調整]ボタンをクリックします(③)。
【詳細ウィンドウで[未決済取引の消込]タブを開く】
ウィンドウ内で下方向へスクロールし、差額分が自動的に「支払手数料」や「仮受金」などの勘定科目で調整されますので、内容を確認しましょう(①)。必要に応じて編集もできます。
振込手数料が差し引かれて入金されたケースでは、この例のように「支払手数料」として処理すれば問題ないでしょう。
右下で金額が一致D:一部だけ入金された/支払った・入金や支払いが複数回に分かれる場合していること(②)を確認できたら、[登録]ボタンをクリックして消込は完了です。
【差額を調整】
D:一部だけ入金された/支払った・入金や支払いが複数回に分かれる場合
例えば分割で一部だけ入金された場合、「未決済取引の一部だけを消し込み、残りは次回の入金時に消し込む」というように複数回に分けて消込を行います。
前記「C」の場合は、明細と未決済取引との差額を何らかの勘定科目で処理することで、未決済取引は「決済済み」状態になりますが、「D」では一部だけ決済された「決済中」の状態として残ることになります。
(参考:「決済中」状態の未決済取引)
操作手順
[詳細]ボタンをクリックしてウィンドウを開いたら、[未決済取引の消込]タブをクリックし(①)、消込したい未決済取引を探してチェックを入れます(②)。ここまでは、「C」の場合と同じです。
「D」では、全額ではなく一部だけが決済されたと処理するため、下の「選択した未決済取引」の枠内で[一部入金にする]をクリックします(③)。
「今回決済金額」の列に金額を入力する欄が表示されたら、今回の入金によって決済された金額を入力します。余白部分に触れると入力が確定しますので、手数料などの差額が生じていない場合には、そのまま[登録]ボタンをクリックします。
【「今回決済金額」を入力】
なお、上図は「100万円請求していたうちの50万円が、振込手数料550円を差し引かれて入金された」という少し複雑なケースを示しています。
この場合、実際の入金額ではなく手数料が差し引かれる前の金額が本来の決済金額ということになりますので、[今回決済金額]には「500,000」と入力します(①)。
実際の入金額との差額は、前記「C」の場合と同様に、右上の[差額の調整]ボタン(②)をクリックして処理します。
このように一部入金や一部出金の形で消込を行うと、残りの金額は「決済残額」となり、対象の未決済取引は「決済中」というステータスで残ります。
次回また入出金があったときに、残り分の消込を行いましょう。
未決済取引を探すのが難しいときの対応
「未決済取引を探す」の枠内で、候補が多くて見つけにくい、または、存在するはずの未決済取引が出てこない場合には、絞り込み条件(①)を×印で消去したり、条件を追加(②)したりすると見つけやすくなります。取引先やメモタグなどとあわせて活用すると便利です。
なお、同じ取引先に対して売掛金と買掛金があり、買掛金の分を差し引いて振り込んでもらったケースなど、未収分と未払分を相殺して消込を行いたい場合は、「収支:収入」または「収支:支出」という絞り込み条件を消去すると、収入と支出の取引を同時に選択できます。
参考:「決済中」状態の未決済取引
未決済取引のうち一部が決済済みで残額のあるものは決済状況が「決済中」となります。
【入金管理レポート画面や支払管理レポート画面での見え方】
決済状況を「決済中」で絞り込みできます。
【取引の一覧・登録画面での見え方】
期日列に「▶」マークが付きます。
検索条件の「決済状況」で絞り込む際は「未決済」を選択し、▶マークの有無によって決済中かを判断します。