本ページでは、主に役員による会社の経費の立て替え時と精算時の具体的な登録例をご紹介します。
目次
「役員資金」口座と「役員借入金」の関係
役員が個人のお金で会社の経費を支払ったとき
「役員資金」口座からの支出として、手入力で支出の取引を登録します。
決済手段が何であっても、会社のお金でなく役員個人のお金で支払ったならば、同じように「役員資金」口座からの支出取引を登録します。
具体的な決済手段として、私用のクレジットカードや銀行口座、それらに紐づく電子マネー、個人の財布に入っている現金からの支払いが含まれます。
役員による立て替え分は、会社から見ると役員にお金を借りたことになります。
そのため、前述の取引を登録すると「役員借入金」という負債として積み重なっていきます。
立て替え分を役員に返したとき
役員借入金は、一般に「いつまでに返さなければいけない」という期限はないものの、いずれ返済すべきものです。
返済したときは、「役員借入金」の勘定科目で支出取引を登録します。
なお、通常はあまり起きないことですが、会社のお金を役員が個人的に使用したり、会社から役員にお金を貸したりした場合は、「役員貸付金」として扱います。
一般にあまり印象のよいものではなく、融資を受ける際に不利にはたらくことがあります。
会社から見て「役員に借りた」「借りていた分を返した」ならば「役員借入金」、会社から見て「役員に貸した」「貸していた分を返してもらった」ならば「役員貸付金」となります。間違えないように気をつけましょう。
役員が経費を立て替えたときの登録
会社の費用を役員個人のお金で支払った場合、[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]画面から、次のような取引を登録します。
- 収支:支出
- 決済:完了
- 口座:役員資金
- 発生日:支払った日
- 勘定科目:消耗品費、会議費 など
- 金額:支払った金額
このような取引を登録すると、会社の現金や銀行口座などの残高は減らず、かわりに「役員借入金」という負債の残高が増えていきます。
役員が個人のお金を会社の口座に入れたときの登録
役員個人のお金を会社の口座に入れたときは、入金があった口座への収入取引を登録します。会社の口座間でお金を移動したときのような[口座振替]は登録しません。
この取引を登録すると、口座の残高は増え、その分だけ役員借入金の残高が増えることになります。
同期している銀行口座に入金した場合(自動で経理)
銀行口座を同期している、または、明細をアップロードして取り込んでいる場合は、入金時の明細をもとに取引を登録します。
登録は[取引]メニュー →[自動で経理]画面から行います。
入金時の明細を見つけたら、勘定科目の欄に「役員借入金」と入力して登録します。
もし別の処理が推測されていて勘定科目を入力できない場合は、[詳細]ボタンから明細の詳細画面を開き、[取引登録]のタブを選択して入力してください。
同期していない口座に入金した場合(手動登録)
銀行口座を同期していない場合、または、入金時の明細を取得できない場合は、通帳などの記録を見ながら手入力で取引を登録します(社内の現金を補充した場合も同様です)。
登録は[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]画面から行います。
- 収支:収入
- 決済:完了
- 口座:入金があった口座
- 発生日:入金があった日
- 勘定科目:役員借入金
- 金額:入金額
会社から役員に返したときの登録
役員が個人のお金で立て替えていた分を会社から返したときには、「役員借入金」の勘定科目で支出取引を登録します。
この取引を登録すると、口座の残高は減り、その分だけ役員借入金の残高も減ります。
なお、全額を一度に返す必要はなく、また、いつ立て替えた分なのかを考える必要もありません。
役員借入金の残高を確認して、支払い可能な金額を返済します。
同期している銀行口座から出金した場合(自動で経理)
銀行口座を同期している、または、明細をアップロードして取り込んでいる場合は、返済時の明細をもとに取引を登録します。
登録は[取引]メニュー →[自動で経理]画面から行います。
返済時の明細を見つけたら、勘定科目の欄に「役員借入金」と入力して登録します。
もし別の処理が推測されていて勘定科目を入力できない場合は、[詳細]ボタンから明細の詳細画面を開き、[取引登録]のタブを選択して入力してください。
同期していない口座から出金した場合(手動登録)
銀行口座を同期していない場合、または、返済時の明細を取得できない場合は、通帳などの記録を見ながら手入力で取引を登録します(社内の現金から返した場合も同様です)。
登録は[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]画面から行います。
- 収支:支出
- 決済:完了
- 口座:出金元の口座
- 発生日:返済した日
- 勘定科目:役員借入金
- 金額:出金額
役員借入金の残高を確認する方法
[レポート]メニュー →[試算表]から[貸借対照表]を開きます。
「役員借入金」は「負債の部」の「流動負債」のカテゴリーに表示されます。右の方の「期末」の残高が、この期間中の最終的な残高です。
なお、「役員貸付金」がある場合、「資産の部」の「流動資産」のカテゴリーに表示されます。
参考:会社のクレジットカードを役員が私用で使ってしまったとき
会社のクレジットカードを役員の個人的な支払いに誤って使ってしまった場合、その分の明細を「無視」すると、銀行口座からカードの利用金額が引き落とされたときにカード口座の残高がズレてしまいますので、カードを使ったときの取引を適切に登録する必要があります。
私用に使われた際の明細は、「役員貸付金」の勘定科目で登録しましょう。
(口座を同期していない場合は、手動で口座にカード口座を、勘定科目に「役員貸付金」を選択して支出の取引を登録します。)
後日、役員が会社に対して返済した際は、「役員貸付金」の勘定科目で、入金先の口座の収入取引を登録します。
参考:会社の売上が役員の個人口座に入金されたとき
会社を設立したばかりでまだ法人口座がない段階では、売上が役員個人の銀行口座に入金されることがありえます。
口座の名義が個人であっても、事業専用口座として利用し、個人のお金が混じらないのであれば、その口座をfreeeに登録して事業用に使い続けても問題ありません。
仮に個人のお金が混じる口座に入金されたときは、次のどちらかの方法で処理します。
- A:売上を「現金」口座の収入として登録し、後でお金を法人口座へ移したら「現金 → 法人口座」の[口座振替]を登録する
- B:売上を「役員資金」口座の収入として登録し、後でお金を法人口座へ移したら「役員貸付金」の勘定科目で収入取引を登録する
Aについて、社内に現金を置いていて、その残高と区別したい場合は、「個人口座」などの名前で資産の口座を作成してもよいでしょう。
一時的に個人口座に置いていた会社のお金を法人口座に移した後は、この口座の残高がゼロになったことを確認して、口座を非表示にします。
(参考:口座を非表示にする・削除する - 口座を非表示にする)
Bの場合も、一時的に個人口座に置いていた会社のお金を法人口座に移した後は、役員貸付金の残高がゼロになったことを確認しましょう。
参考:立替金との違い
「立て替えて支払った」ときに使う勘定科目として「立替金」があります。
「立替金」は、会社が取引先や従業員に代わって一時的にお金を支払ったとき、および、その精算を受けたときに使います。
役員や従業員が会社の経費を立て替えたときに、誤って「立替金」としないようにしましょう。
役員が立て替えたときとの違いについては、「 4.7 従業員の立て替えた経費や取引先の費用の立て替えを登録する - 取引先の費用を立て替えたとき 」をご参照ください。