在庫の有無など、開業前の状況によって開始残高の入力内容が異なります。
このページでは、個人事業主のサンプルケースを元にした開始残高の入力例を紹介します。
なお開始残高の基本的な設定手順については、「 【個人】開始残高を設定する 」のヘルプページをご覧ください。
目次
A:1期目かつ無形商材を扱う業種(デザイナーやコンサルタントなど)
ここでは在庫を持たない業態のサンプルを元に、開始残高の設定例をご案内します。
なお以下の説明では、[設定]メニュー→[開始残高の設定]画面にて、「今期から事業を始めた方」の[開始残高を設定]ボタンをクリックした画面を利用しています。
また兼用口座をfreeeに登録しているかどうかで入力方法が異なるため、それぞれの入力例についてご案内します。
1期目の場合であっても「前期末の決算書(貸借対照表)をお持ちの方」の[前期末の決算書を準備して開始残高を設定]ボタンからでも設定は可能です。最終的には同じ画面に遷移します。
A-1:事業とプライベートの兼用口座を利用していない場合
例:WEBデザイナーやコンサルティング業など、在庫を保有しない業種の場合
- 事業用の資金として400,000円を用意している
- 開業にあたって作業机や椅子、事務用品、名刺などの開業費用の合計額が100,000円である
- 事業で使用する目的でパソコン250,000円を購入した
上記の場合、以下のように入力します。
- 「1. 現金と口座残高の設定」項目の「現金」の残高欄に「400,000」を入力します。
- 「2. 勘定科目ごとの設定」項目の以下の勘定科目に残高をそれぞれ入力します。
- 工具器具備品:250,000
- 開業費:100,000
- 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で[棚卸仕訳をつくらない]を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
※ 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。
A-2:事業とプライベートの兼用口座を利用している場合
例:WEBデザイナーやコンサルティング業などの在庫を保有しない業種で、事業とプライベートの両方で利用する銀行やクレジットカードがある場合
- 開業日時点でプライベート兼用の銀行口座の残高が1,000,000円になっている
- 開業日時点でプライベート兼用のクレジットカードの未引落し額が200,000円残っている
- 開業にあたって作業机や椅子、事務用品、名刺などの開業費用の合計額が100,000円である
上記の場合、以下のように入力します。
- 「1. 現金と口座残高の設定」項目の「銀行口座」の残高欄に「1,000,000」を入力します。
なお、銀行口座・クレジットカード口座の登録がお済みでない場合は、「口座の一覧・登録」から登録が可能です。
詳しくは、「 銀行やクレジットカードを登録する(口座を登録する) 」のヘルプページをご確認ください。 - 「2. 勘定科目ごとの設定」項目の「開業費」の残高欄に「100,000」を入力します。
- 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で「棚卸仕訳をつくらない」を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
※ 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。 - 「開始残高」画面に遷移しますので、[開始残高を編集]をクリックします。
- 貸方の以下の科目に残高をそれぞれ入力します。
- 元入金:900,000
- クレジットカード:200,000
- 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で「棚卸仕訳をつくらない」を選択した状態で[保存]をクリックします。
B:1期目かつ有形商材を扱う業種:小売業や飲食業など
ここでは在庫を持つ業態のサンプルを元に、開始残高の設定例をご案内します。
なお以下の説明では、[設定]メニュー→[開始残高の設定]画面にて、「今期から事業を始めた方」の[開始残高を設定]ボタンをクリックした画面を利用しています。
また兼用口座をfreeeに登録しているかどうかで入力方法が異なるため、それぞれの入力例についてご案内します。
1期目の場合であっても「前期末の決算書(貸借対照表)をお持ちの方」の[前期末の決算書を準備して開始残高を設定]ボタンからでも設定は可能です。最終的には同じ画面に遷移します。
B-1:事業とプライベートの兼用口座を利用していない場合
例:小売業や飲食業などの在庫を保有する業種の場合
- 開業日の時点で500,000円分の在庫を保有している
- 事業用の資金として1,0000,000円を保有している
- 開業費の合計額が100,000円である
上記の場合、以下のように入力します。
- 「1. 現金と口座残高の設定」項目の「現金」の残高欄に「1,000,000」を入力します。
- 「2. 勘定科目ごとの設定」項目の「開業費」の残高欄に「100,000」を入力します。
続いて、開業日時点での在庫分の残高を入力します。
開業日時点での在庫分の残高入力については、以下の2パターンあります。
上記どちらの登録方法が良いかについては、税務判断が伴いますので、管轄の税務署または、有識者の方にご相談ください。
それぞれの登録方法については、次の通りです。
【棚卸資産として「開始残高の設定」時に入力する】
- 「2. 勘定科目ごとの設定」項目の[+勘定科目を追加]をクリックします。
- 勘定科目欄に該当の勘定科目を入力し、選択します。
今回例で利用した「商品」など、freeeでは基本的な勘定科目が初期登録されています。初期登録されていない勘定科目を利用したい場合、勘定科目の追加を行ったうえで、お選びいただく必要があります。
勘定科目の追加については、以下をご参照ください。 - 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で、任意の方を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
- 在庫を保有している場合、「棚卸仕訳をつくる」を選択することをお勧めしておりますが、仕訳のインポート等を行う場合、仕訳が重複する可能性があるため「棚卸仕訳をつくらない」ケースも発生します。
詳しくは「 【個人】棚卸資産の残高を登録する(在庫棚卸) - 参考:freeeの開始残高に入力された棚卸資産について 」のヘルプページをご覧ください。 - 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。
- 在庫を保有している場合、「棚卸仕訳をつくる」を選択することをお勧めしておりますが、仕訳のインポート等を行う場合、仕訳が重複する可能性があるため「棚卸仕訳をつくらない」ケースも発生します。
【「仕入高」として取引登録を行う】
- 「2. 勘定科目ごとの設定」の入力が完了したら、「棚卸仕訳のオプション」項目で「棚卸仕訳をつくらない」を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
※ 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。 - 続いて、[取引]メニュー→[取引の一覧・登録]をクリックします。
- 取引登録画面から、以下の内容で入力します。
- 収支:支出
- 決済:完了
- 口座:プライベート資金
- 発生日:開業日の日付
- 勘定科目:仕入高
- 金額:500,000
- 備考:開業前の仕入れ分、等(任意)
- [支出を登録]をクリックします。
B-2:事業とプライベートの兼用口座を利用している場合
例:物販や飲食業などの在庫を保有する業種で、事業とプライベートの両方で利用する銀行やクレジットカードがある場合
- 開業日時点でプライベート兼用の銀行口座の残高が1,000,000円になっている
- 開業日時点でプライベート兼用のクレジットカードの未引落し額が200,000円残っている
- 開業費の合計額が100,000円であった
- 開業前に購入した車(未償却額:300,000円)を保有している
上記の場合、以下のように入力します。
-
「1. 現金と口座残高の設定」項目の「銀行口座」の残高欄に「1,000,000」を入力します。
なお、銀行口座・クレジットカード口座の登録がお済みでない場合は、「口座の一覧・登録」から登録が可能です。
詳しくは、「 銀行やクレジットカードを登録する(口座を登録する) 」のヘルプページをご確認ください。 -
「2. 勘定科目ごとの設定」項目にて、以下の科目の残高をそれぞれ入力します。
- 開業費:100,000
- 車両運搬具:300,000
- 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で「棚卸仕訳をつくらない」を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
※ 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。 - 「開始残高」画面に遷移しますので、[開始残高を編集]をクリックします。
-
貸方の以下の科目に残高をそれぞれ入力します。
- クレジットカード:200,000
- 元入金:1,2000,000
- 上記の入力が完了したら[保存]をクリックします。
C:2期目以降の場合
2期目以降の方は前期の貸借対照表を元に入力します。開始残高には「12月31日(期末)」の金額を入力します。
また、複数の銀行口座を利用している場合、貸借対照表上では「その他の預金」にまとめて計上されます。そのため、各銀行口座の残高を入力する際は預金通帳をご確認ください。
例:令和4年度の貸借対照表が以下のようになっている場合
「その他の預金」の内訳は次の通りとします。
- freee銀行(本店):3,400,000
- freee銀行(大崎支店):600,000
「借入金」の内訳は次の通りとします。
- 短期借入金:500,000
- 長期借入金:1,750,000
上記の場合、以下のように入力します。
- [設定]メニュー→[開始残高の設定]画面にて、「前期末の決算書(貸借対照表)をお持ちの方」の[前期末の決算書を準備して開始残高を設定]ボタンをクリックします。
-
借方、貸方の残高をそれぞれ以下の内容で入力します。
- 残高(借方)
- 現金:100,000
- freee銀行(本店):3,400,000
- freee銀行(大崎支店):600,000
- 売掛金:4,600,000
- 車両運搬具:2,500,000
- 工具器具備品:325,000
- 残高(貸方)
- 買掛金:4,400,000
- 未払金:430,000
- 短期借入金:500,000
- 長期借入金:1,750,000
- 元入金:4,445,000
「事業主貸」と「事業主借」は開始残高に入力せず、以下の式の計算結果を「元入金」に入力します。
翌期首の元入金=
前期末の元入金+当座の損益(青色申告特別控除前)+「事業主借」-「事業主貸」上記の計算式に当てはめた場合、以下の通りになります。
前期末の元入金(1,859,000)+青色申告特別控除前(-200,000)+事業主借(5,250,000)-事業主貸(2,500,000)=4,445,000
そのため、元入金に「4,445,000」を入力します。
金額を入力しない項目(金額が「0」の項目)は、右側の[×]をクリックすることで削除が可能です。
- 残高(借方)
- 上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で「棚卸仕訳をつくらない」を選択した状態で[保存]をクリックします。
D:複数の事業を行っている場合
複数の事業を営んでいる場合は、各事業の残高を合算して入力します。
D-1:いずれの事業も1期目である
例:
【事業A】
- 事業用の資金として100,000円を用意している
- 開業費の合計額が100,000円である
【事業B】
- 事業用の資金として300,000円を用意している
- 開業日の時点で500,000円分の在庫を保有している、または、開業前に500,000円分の仕入れを行った のいずれか
- 開業日時点でプライベート兼用のクレジットカードの未引落し額が200,000円残っている
上記の場合、以下のように入力します。
- [設定]メニュー→[開始残高の設定]画面にて、「今期から事業を始めた方」の[開始残高を設定]ボタンをクリックします。
- 「1. 現金と口座残高の設定」項目の「現金」の残高欄に「400,000」を入力します(事業A・Bの資金の合算分)。
-
「2. 勘定科目ごとの設定」項目にて、「開業費」の残高欄に「100,000」を入力します。
- [+勘定科目を追加]をクリックします。
-
勘定科目欄に「商品」と入力・選択し、残高「500,000」を入力します。
今回例で利用した「商品」など、freeeでは基本的な勘定科目が初期登録されています。初期登録されていない勘定科目を利用したい場合、勘定科目の追加を行ったうえで、お選びいただく必要があります。
勘定科目の追加については、以下をご参照ください。 -
上記の入力が完了したら「棚卸仕訳のオプション」項目で、任意の方を選択し、[開始残高を設定]をクリックします。
- 在庫を保有している場合、「棚卸仕訳をつくる」を選択することをお勧めしておりますが、仕訳のインポート等を行う場合、仕訳が重複する可能性があるため「棚卸仕訳をつくらない」ケースも発生します。
詳しくは「 【個人】棚卸資産の残高を登録する(在庫棚卸) - 参考:freeeの開始残高に入力された棚卸資産について 」のヘルプページをご覧ください。 - 「元入金」は自動的に金額が計算され、[開始残高を設定]をクリックすることで開始残高の貸方に登録されます。
- 在庫を保有している場合、「棚卸仕訳をつくる」を選択することをお勧めしておりますが、仕訳のインポート等を行う場合、仕訳が重複する可能性があるため「棚卸仕訳をつくらない」ケースも発生します。
- 「開始残高」画面に遷移しますので、[開始残高を編集]をクリックします。
-
貸方の以下の科目に残高をそれぞれ入力します。
- クレジットカード:200,000
- 元入金:800,000
- [保存]をクリックします。
D-2:いずれかの事業において2期目以降である
貸借対照表は各事業の残高を合算したものが反映されるので、前期の貸借対照表の「12月31日(期末)」の金額を入力します。
事業Aが2期目、事業Bが1期目という場合でも、個人事業主として開業したのは2期目となるため、2期目以降として取り扱います。
入力例の詳細は本ページの「 C:2期目以降 」をご確認ください。