freeeの通常の「取引」は、口座か決済期日を選択する方式となっており、入力できる仕訳が限定されます。このため、「取引」形式で入力できない仕訳については「振替伝票」で入力します。
また、他社製品からの乗換の際にも、この「振替伝票」を用いてfreeeにデータを引き継ぎます。
(詳細は「その他の会計ソフトから仕訳データを移行する(弥生会計形式を用いた方法)」をご覧ください)
ここではfreeeにおける振替伝票の概要と、作成方法などをご紹介します。
目次
振替伝票の特徴と用途について
freee会計では、対価が発生するような基本的な仕訳は「取引」「口座振替」の形式で記帳を行います。
※「取引」「口座振替」などの会計データは、自動で仕訳形式に変換されて保存されています(詳しくはこちら)
一方、決算などの際に仕訳形式で記帳する必要が出てきた場合のために、「振替伝票」機能が用意されています。
「振替伝票」と「取引」「口座振替」の違いは、下表のようになっています。
振替伝票 |
取引・口座振替 |
|
---|---|---|
登録形式 |
仕訳(複式簿記形式) |
freeeの「取引」形式 |
登録方法 |
[決算申告](または[確定申告])→[振替伝票] |
[取引]メニューより様々な方法で登録可能 |
決済方法 |
未決済分を消し込む仕訳を入力 または 未決済取引を作成することで取引と同様に処理可 |
取引の決済情報を入力 または 「自動で経理」で消込 |
決算書類、収益・費用・損益・資金繰りレポートへの数値反映 |
反映 |
反映 |
入金管理・支払管理レポートへの数値反映 |
未決済取引を作成することで反映 |
反映 |
主な利用用途 |
|
左記以外のほとんどの日々の記帳 ※ freeeでは特別な理由がない場合は「取引」形式で登録することを推奨しています。 |
振替伝票を作成する
- [決算申告](または[確定申告])メニューの[振替伝票]をクリックします。
- 振替伝票の作成画面が表示されますので、仕訳情報を入力します。
振替伝票の作成画面では、Tabキーを押すと入力欄を移動できます。また、[登録]をクリックすると、入力した内容を保存して、新規作成画面となります。
入力する内容は下表の通りです。
対象 項目名 入力形式 説明 共通 発生日 日付 デフォルトで「日常仕訳」が選択され、「発生日」には本日の日付が自動的にセットされた状態になります。
ただし、期末日以降、年度締め実施までの期間中は、デフォルトとして「決算整理仕訳」が選択され、「発生日」は期末日が自動的にセットされた状態になります。※デフォルトでセットされた日付は適宜変更することができます。
※「日常仕訳」から「決算整理仕訳」を選択しても、発生日は自動で期末日に変更されません。振替伝票テンプレート
[設定]-[振替伝票テンプレート]で登録した仕訳を呼び出すことができます。振替伝票テンプレートの設定について詳しくはこちら
日常仕訳または
決算整理仕訳
選択 決算整理仕訳として区別したい場合は変更します。
※各種帳簿で「決算整理仕訳」を含む検索と含まない検索ができます。備考
自由記述 メモしておきたい事項があれば入力します。
貸方
および
借方勘定科目 選択 貸借入替 選択 貸借の勘定科目を入れ間違えたときなどに、貸借の内容を入れ替えることができます。 取引先・品目・部門・メモタグ 新規登録または選択 貸方・借方の両方に別々のものを付与できます。 金額 数値 税込の金額を入力します。
金額を確定(↲キー/エンターキーを押下げ)すると相手方に金額がコピーされます。これにより効率的な振替伝票の入力が可能になります。
税区分 選択 勘定科目に設定されている税区分が自動表示されます。必要に応じて変更できます。 税額 数値 自動計算されます。 - 作成した振替伝票は、振替伝票の一覧から確認できます。
※[レポート]→[仕訳帳]からも仕訳形式で確認できます。
振替伝票から未決済取引を登録する
振替伝票で登録した未決済の「売掛金」、「未収入金」、「未収収益」、「買掛金」、「未払金」、「未払費用」のいずれかの勘定科目を利用した残高から、取引を作成できます。(この機能で取引を登録しても仕訳が二重に登録されるわけではありません)
未決済取引を作成することで、freeeへ取引を登録した時と同様に、レポートに数字を反映できます。また、freeeの取引形式で扱えるようになるため、後で消し込むことも容易になります。
※振替伝票からの未決済取引の登録は、振替伝票行1つ1つに対してではなく、取引先ごとにグルーピングされた振替伝票+開始残高の総額に対して登録されます。
例えば同じ取引先に対して借方と貸方に売掛金がある場合は、相殺された金額がまとめて未決済取引として登録されます。
- [決算申告](または[確定申告])メニュー→[振替伝票]を開き、入力欄左下に位置する[未決済取引を作成する]ボタンをクリックします。
- 必要な振替伝票に対して、未決済取引を作成します。
未決済取引は、「開始残高と振替伝票の合計額(または消し込み後の残高)」から作成しますが、その作成状況に応じてステータスが表示されています。
各ステータスの意味は下表のとおりです。ステータス 説明 必要な処理 未作成 取引が1件も作成されていない状態 [取引を作成する]ボタンをクリックして、取引を作成します。 不足 「開始残高と振替伝票の合計額」の一部が取引として作成されている場合
(表中で「開始残高 + 振替伝票残高 > 取引金額」となっている場合。つまり、取引作成後に振替伝票や開始残高の残高が増加した場合)再度[取引を作成する]ボタンをクリックして、不足分の取引を作成します。
作成済み 開始残高と振替伝票の合計額の全部が取引として作成されている場合
(表中で「開始残高 + 振替伝票残高 ≦ 取引金額」となっている場合)「開始残高 + 振替伝票残高 < 取引金額」の場合(取引作成後に振替伝票や開始残高の残高が減少した場合)は、一度取引を削除してから再度取引を作成し直します。
そうすることで、「開始残高 + 振替伝票残高 = 取引金額」となり正しく計上されます。
- 作成した未決済取引は、振替伝票の未決済取引の画面上で確認できます。
- 発生日の青色となっているリンクをクリックすると、未決済取引の詳細を確認できます。
なお、登録した未決済取引は、freeeの「取引」として、[取引]→[取引の一覧]からも確認できます。
振替伝票の修正・コピー・削除・コメント
1つずつ修正・コピー・削除・コメントする
振替伝票の修正・コピー・削除・コメントを行うには、振替伝票の一覧(またはレポートメニューの仕訳帳)から振替伝票を選択して詳細を開きます。
振替伝票の詳細画面では、詳細の閲覧のほか、以下の作業を行うことができます。
- 内容の修正
→内容の修正をしてから[保存]ボタンをクリックします。
※[貸借入替]ボタンを押すと、貸借の内容を入れ替えることができます。コピー機能と一緒に使うことで、逆仕訳の入力が効率的になります。 - 振替伝票のコピー
→[コピー]ボタンをクリックします。必要に応じて内容を修正して保存します。 - 振替伝票の削除
→[削除]ボタンをクリックします。 - コメントを残す
→コメント欄に投稿します。
まとめて修正・削除する
振替伝票一覧のチェックボックスにチェックを入れて[一括編集]をクリックし、必要事項を入力して[保存する]をクリックすれば、チェックを入れた伝票の項目をまとめて修正できます。
また、チェックを入れた状態で[削除]をクリックすれば伝票をまとめて削除できます。
一括編集は、選択行(貸方・借方・両方のうちどれを修正したいか)と、変更したい対象、変更後の内容を選択して保存します。なお、一度に変更できるのは500行までです。
参考:税抜経理の場合の消費税仕訳の生成について
金額欄に入力した金額を「税込金額」として、消費税額は自動的にセットされます。
例:税込108,000円の課税売上がある場合、税率8%
仕訳帳では、次のように確認できます。
なお、税額欄を使用せず、仮受消費税・仮払消費税を直接入力することも可能となっています。下記の入力でも、上記振替伝票と同じ結果となります。
参考:日々の作業を効率化!記帳をラクにする口座同期の活用方法
オンラインバンキングやクレジットカード、その他サービスのログイン情報を登録(同期)することで、記帳(取引登録)を効率化することができます。
取り込んだ明細を自動で記帳(取引登録)するだけでなく、記帳が漏れるリスクを減らすこともできますので、経理処理の効率化にぜひご活用ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
参考:収益・費用を経過勘定に振替える場合
経過勘定(前払費用、前受収益、未払費用、未収収益など)を登録する場合は、「振替伝票」から行います。
具体的な手順について、次のケースを挙げてご説明します。
例: 2017年3月31日に決算を迎えたため、10月1日に支払った1年分の保険料20,000円を経過勘定である前払費用に振替える。そのため、決算日に次期の分の保険料10,000円を繰り延べる。 翌期首である2018年4月1日に前期計上した経過勘定(前払費用)の再振替をおこない、今期の費用として計上する。 |
- あらかじめ、メニュー「取引」→「取引の一覧・登録」から10月1日に支払った保険料の取引(決済完了の支出取引)を登録する。
- 決算日に、10月1日に支払った保険料のうち次期に繰り越す分を「前払費用」として振り替える。
(借方)前払費用 10,000円 / (貸方)保険料 10,000円 - 翌期首に、当期分の保険料を「前払費用」から振り替える。
(借方)保険料 10,000円 / (貸方)前払費用 10,000円
参考:振替伝票の途中に入力行の挿入 / 空行を保持する
【入力行の途中挿入】
2020年6月8日 以降、振替伝票を入力時、途中に入力行を追加することができるようになりました。
途中行を挿入したい直前行の[金額]欄をクリックし、[Shift + Enter]キーを押下します(下図:ピンク色の囲い部分)。
キーを押下すると、直後に入力行が追加されますので、必要事項を入力します(下図:ピンク色着色部分)。
例:先に「商品A」「商品C」の行を入力していたが、その間に「商品B」の行を追加する場合
【金額欄が「0」の空行を保持する】
2020年6月8日 以降、振替伝票の[金額]欄が貸借いずれか「0」であった場合に、空行としてそのまま保持することができるようになりました(下図:ピンク色着色部分)。
※ 過去に登録された振替伝票においても、編集時に空行([金額]が「0」の行)を追加いただくことにより、そのまま空行として保持することができます。