「標準報酬月額」とは、給与の金額を区切りの良い幅で区分したもので、等級で区分されます。
標準報酬月額は定期的に決定され、それに保険料率をかけることで社会保険料を算出します。
標準報酬月額とは
健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料は、従業員に支払われる給与額から定めた標準報酬月によって保険料が決まります。(※)
標準報酬月額とは、毎月の給与(報酬)を区切りのよい幅で区分したもので、社会保険料を計算する際の基準となります。
等級について詳しくは、以下のページをご覧ください。
- 厚生年金保険:日本年金機構「厚生年金保険の保険料 - 2. 標準報酬月額」
- 健康保険:全国健康保険協会「標準報酬月額・標準賞与額とは?」
社会保険料の計算式
- 標準報酬月額 × 保険料率=社会保険料
※ 定額制の健保である建設連合国民健康保険組合(建設国保)や税理士国民健康保険組合(税理士国保)などの場合、この限りではありません。
標準報酬月額の対象
標準報酬月額には、基本給だけでなく、通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当なども全て含まれます。特に通勤手当は、所得税法では月15万までは非課税である一方、標準報酬月額の計算には含まれるため注意が必要です。
標準報酬月額では臨時に支給されるものは対象となりません。具体的には、お祝い金、お見舞金、出張旅費、年3回までの賞与は対象となりません。
※ freee人事労務では、基本給の金額をもとに目安の標準報酬月額が従業員登録後初回のみ自動で設定されます。その際交通費は算入されません。年金事務所から通知されている標準報酬月額を確認し、必要に応じて変更して下さい。標準報酬月額の変更方法については「従業員の情報を編集する - 社会保険」のヘルプページをご覧ください。
標準報酬月額の決定時期
標準報酬月額の決定時期は、入社時(被保険者資格取得時)、年一回の改定(7月1日)、賃金の昇(降)給時、育児休業等の終了時の4通りです。 それぞれのときに必要な手続きをまとめます。詳細は下表の通りです。
時期 | 届出書類 | 内容 |
---|---|---|
入社時 |
被保険者資格取得届 | 従業員を採用し、入社するタイミングでその方が受け取るであろう報酬の額によって、標準報酬月額を決定します。 |
年1回の改定 (7月1日) |
被保険者報酬月額算定基礎届 | 毎年、7月1日に標準報酬月額を改定します。その年の4月〜6月の報酬を元に、9月1日からの標準報酬月額が決まります。 |
賃金の昇(降)給時 | 被保険者報酬月額変更届 | 賃金に大きな変動があった場合には、年1回の改定以外にも改定の必要があります。賃金の変動から3ヶ月間の報酬が、以前の報酬と比較して2等級以上の差となる場合、賃金の変動後の4ヶ月後から標準報酬月額を改定します。 |
育児休業等の終了時 | 育児休業等終了時報酬月額変更届 | 育児休業等が終了した日の翌日が属する月から3ヵ月間の平均の報酬により、標準報酬月額を決定します。育児休業等が終了した日の翌日が属する月の4ヵ月後から標準報酬月額を改定します。 |
参考:年4回以上賞与を支給する場合の標準報酬月額
給与規定や賃金規定などで従業員に同一の趣旨の賞与を年4回以上支給するよう定めている場合(※1)、この賞与の支給額は標準報酬月額の対象となる報酬として扱われます。
この場合は、7/1〜6/30の1年間の間に支給した賞与金額を12で割り、標準報酬月額の金額に加えます(詳しくは、日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和6年度)- ケース⑥ 賞与などが年4回以上支給されたとき」もご参照ください)。
freee人事労務では年4回以上賞与を支給することが可能ですが、このケースの標準報酬月額の自動計算に対応しておりません。
そのため、この場合は社会保険料の定時決定・随時改定の対象となる従業員の判定をご自身で行っていただき、算定基礎届・月額変更届の標準報酬月額金額を手動で修正する必要があります。追記修正内容については、社労士の方などにご相談ください。
※1 名称が異なっていても、同一性質を有する(夏季賞与と冬季賞与など)と認められるものを1回とカウントし、性質が異なるもの(臨時の社内表彰手当など)は別にカウントします。また、当該年に限り支給されたことが明らかな賞与については、支給回数にカウントしません。
賞与の性質や回数について判断がつかない場合は、税理士・社労士等の専門家の方や、お近くの年金事務所等へご確認ください。