販売した商品が返品された場合や、不良品を返品した場合など、事業活動の中で返金を行ったり受け取ったりすることがあります。返金分の記帳は、事業主や法人ごとの会計処理方式によって異なってきます。
目次
返金前の取引と同じ勘定科目で記帳する方法
ある収入取引に対して返金が発生した場合は、同じ勘定科目で返金分の支出取引を登録します。同様に、支出取引に対する返金は、同じ勘定科目の収入取引を登録します。
【事前準備】収支逆の場合に税区分を使用可能にする
freeeの初期設定では「課対仕入」の収入や「課税売上」の支出が登録できないため、まずはそれが使用できるように設定します。
- [設定]メニュー →[税区分の設定]より、使用したい税区分の[設定]ボタンをクリックします。(例:課税売上)
- 必要になる検索項目にチェックを入れて[保存]ボタンをクリックします。
返金前の取引と同じ勘定科目で記帳する
- 返金が確定した時点で、[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]より[詳細登録]ボタンをクリックします。
- 取引を登録します。
※ 勘定科目は、勘定のボックスに直接入力して選択します。
項目
入力内容
例の場合
収支
返金対象の取引と逆の収支
収入
決済
未決済
未決済
発生日
返金が確定した日
2023-10-02
決済期日
実際に返金される見込みの日付
2023-11-30
取引先
返金対象の取引に取引先を入力した場合は同じ取引先を入力
フリー商事
勘定科目
返金対象の取引と同じ勘定科目
消耗品費
税区分
返金対象の取引と同じ税区分(※)
課対仕入10%
金額
返金される金額
1,000円
管理番号
品目・部門・メモタグ
備考任意入力
誤発注の返品
-
適格請求書発行事業者の場合
「課対仕入10%」または「課対仕入8%(軽)」
-
適格請求書発行事業者以外(免税事業者など)の場合
「課対仕入(控80)10%」または「課対仕入(控80)8%(軽)」
-
適格請求書発行事業者の場合
- 実際に返金が完了したら、登録した取引を決済します。
【a.取り込んだ明細から登録する場合】
- [取引]メニュー →[自動で経理]を開き、当該明細の[未決済取引の消込]タブをクリックします。
- 表示された推測内容が明細の内容と一致していることを確認できたら[登録(Ctrl + Enter)]ボタンをクリックします。
※ もし、推測された取引が異なる/推測されなかった場合は「未決済取引を探す」項目から返金対象明細のチェックボックスをオンにし、「選択した未決済取引」項目へ移動します。
【b.手動で決済を登録する場合】※ もし、推測された取引が異なる/推測されなかった場合は[未決済の取引から選択する]ボタンをクリックし、正しい取引を選択します。- [取引]メニュー →[取引の一覧・登録]→上記で登録した取引の詳細を開いて[決済を登録]をクリックします。
- [決済を登録]画面が表示されますので、決済口座・決済日・決済金額を入力して[登録]をクリックします。
- [取引]メニュー →[自動で経理]を開き、当該明細の[未決済取引の消込]タブをクリックします。
- [レポート]メニュー →[試算表:損益計算]をクリックすると、返金分、合計が減っていることが確認できます。
「売上戻り高」「仕入戻し高」で記帳する方法
上記の方法の他に、「売上高」「仕入高」に対する返金に勘定科目「売上戻り高」「仕入戻し高」を用いて記帳する方法もあります。
例:
2023年10月2日にフリー商事に対して100,000円分の商品を売り上げ、勘定科目「売上高」の取引を登録した。
後日、一部返品されたため、2023年11月30日までに返金額10,000円を支払うことになった。返金は2023年10月16日に確定した。
【事前準備】返金用の税区分を使用可能にする
返金分の取引を勘定を分けて経理処理する際は、返金用の税区分を用います。
freeeの初期設定では返金用の税区分が使用できないようになっているため、まずはそれが使用できるように設定します。
- [取引]メニュー →[取引の一覧・登録]を開き、返金が発生した取引の税区分を確認します。
- [設定]メニュー →[税区分の設定]より、「(手順1の税区分)にかかわる対価の返還」と説明されている税区分の[設定]ボタンをクリックします。
- 「この税区分を使用する」にチェックを入れて[保存]ボタンをクリックします。
「売上戻り高」「仕入戻し高」で記帳する
- [設定]メニュー →[勘定科目の設定]をクリックします。
- 「売上戻り高」という勘定科目の行をクリックした後、「入力候補」項目の[使用する]にチェックを入れて保存します。(「仕入高」に対する返金が発生した場合は、同様の方法で「仕入戻し高」という勘定科目を検索で表示されるようにします。)
- 返金が確定した時点で、[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]より[詳細登録]ボタンをクリックし、以下の取引を登録します。
項目
入力内容
例の場合
収支
返金対象の取引と逆の収支
支出
決済
未決済
未決済
発生日
返金が確定した日
2023-10-16
決済期日
実際に返金される見込みの日付
2023-11-30
取引先
返金対象の取引に取引先を入力した場合は同じ取引先を入力
フリー商事
勘定科目
返金対象が「仕入高」なら「仕入戻し高」
返金対象が「売上高」なら「売上戻り高」
売上戻り高
税区分
返金対象の取引の税区分の返金用の税区分
課税売返10%
金額
返金される金額
10,000円
管理番号
品目・部門・メモタグ
備考任意入力
2023/10/2売上分の返金
- 実際に返金が完了したら、登録した取引を決済します。
【a.取り込んだ明細から登録する場合】
- [取引]メニュー →[自動で経理]を開き、当該明細の[未決済取引の消込]をクリックします。
- 表示される取引が上記で登録した取引だと確認できたら[登録]ボタンをクリックします。
※ もし、推測された取引が異なる/推測されなかった場合は[未決済取引を探す]から正しい取引を選択します。
- [取引]メニュー →[取引の一覧・登録]→上記で登録した取引の詳細を開いて[決済を登録]をクリックします。
- [決済を登録]をクリックし、決済口座・決済日・決済金額を入力して[登録]をクリックします。
- [取引]メニュー →[自動で経理]を開き、当該明細の[未決済取引の消込]をクリックします。
- [レポート]メニュー →[試算表:損益計算]をクリックすると、「売上戻り高」の金額分、収入金額の合計が減っていることが確認できます。
なお返金が確定してから返金までの日数が短い場合などは、返金があった際に未決済取引についての決済とせずに、勘定科目を選択して取引として登録することも考えられます。その際には上記 手順3の未決済取引の作成は不要です。
参考:未決済の取引に返金・返品が発生した場合
- 「取引の一覧」から対象の未決済取引を選択します。
- 決済欄の下にある[+更新]ボタンをクリックし、対象となる行の[+更新]ボタンをクリックします。
- 勘定科目と税区分を返金・返品用のものに設定し、保存します。
(勘定を売上高として、税区分を課税売返8%とするなど。詳細は本ページのこちらかこちらを参照) - 取引を決済する際は、決済残高を入金/出金額として登録します。
参考:クレジットカードを通じて受け取る返金分について
クレジットカードを通じて返金を受け取る場合、返金分の明細がクレジットカード口座に取り込まれるものとそうでないものがあります。
(2015年6月現在:VIEWカードのみ取り込み対応)
そのため、クレジットカードを通じた返金処理は以下のように記帳してください。
- 返金用の税区分を使用可にする
- 支払時:カード口座で支出取引を登録
- 引き落とし時:銀行口座からカード口座への口座振替を登録
- 返金手続き時:カード口座で収入取引を登録
※ 勘定科目は手順2に合わせるか「仕入戻し高」
※ 返金明細が取り込まれる場合は「自動で経理」で登録可能 - 入金時:カード口座から銀行口座への口座振替を登録
※ 手順3〜5の順番は前後することがありますが、記帳すべき内容は同じです。
参考:日々の作業を効率化!記帳をラクにする口座同期の活用方法
オンラインバンキングやクレジットカード、その他サービスのログイン情報を登録(同期)することで、記帳(取引登録)を効率化することができます。
取り込んだ明細を自動で記帳(取引登録)するだけでなく、記帳が漏れるリスクを減らすこともできますので、経理処理の効率化にぜひご活用ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
参考:返金・返品を赤伝取引として記帳する
freee会計では、2021年6月より赤伝取引の登録に対応し、新たに次の2つが行えるようになりました。
-
マイナス金額による収入 / 支出 未決済取引の登録:
未決済取引においては、取引金額がマイナスになる場合でも収入 / 支出 が逆転せず、それぞれ「マイナスの収入未決済取引」や「マイナスの支出未決済取引」として登録することができます。 -
赤伝用相手勘定科目の使用:
収入用 / 支出用相手勘定科目に同一の勘定科目(赤伝用科目)が設定できるようになったため、未決済取引の中にマイナス取引が含まれていても、正しく債権債務の把握ができます。
これにより、より直感的に取引を登録したり、適切な債権債務管理ができるようになります。
詳細は「 登録済みの未決済取引に対して返品・返金(赤伝)の仕訳を登録する 」をご覧ください。