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平成27・28年に改正された電子帳簿保存法により、紙のレシートや請求書などについて、一定の要件を満たしてスキャンすることで原本を破棄できるようになります。
freeeでは、その保存要件を満たす機能として「電子帳簿保存」機能を提供しています。ここでは、そのご利用方法をご紹介します。
目次
- 留意事項
- 電子帳簿保存法の概要と手続について
- スキャナ保存の流れ
- 作業分担のパターンを確認する
- 分担のパターンごとの要件 - 1. 電子帳簿保存機能を有効にする
- 2. 書類をスキャンする
- 署名する
- スキャン方法
- スキャンの期限 - 3. スキャン後の確認作業を行う
- スキャン後に行う作業について
- 原本確認
- 読取情報の入力
- タイムスタンプの付与
- 取引の登録 - 4. 定期的な検査を行う
- その他の操作
- 画像ファイルを改訂する
- 削除したファイルを閲覧する
- タイムスタンプを一括で検証する
- タイムスタンプの詳細を確認・ダウンロードする - 電子帳簿保存機能の利用を停止する
- 別のシステムに移行する場合
- 電子帳簿保存自体をやめる場合
留意事項
本ページでは、freeeとしての法解釈や対応範囲にもとづいて電子帳簿保存の概要を解説しています。
正確な法定要件やその詳細については、各参考資料をご参照いただくか、国税庁等にお問い合わせください。
また、電子帳簿保存の導入にあたっては、税理士や税務署へ相談いただきながら導入されることを推奨します。
電子帳簿保存法の概要と手続について
電子帳簿保存を適用するためには、適用開始の3ヶ月前までに税務署へ申請する必要があります。
なお、freeeではそのために必要な申請書類も用意しています。
詳しくはこちらをご覧ください。
スキャナ保存の流れ
作業分担のパターンを確認する
スキャナ保存は、各工程をどのようなパターンで分担するかによって要件や工程が一部異なってきます。
まずは自社でどのパターンを採用するのかを下表で確認しましょう。
- 基本的に、①や②のように複数人で行う必要があります(相互けん制)
- ただし、一定の要件を満たすことで③のように1人で行うこともできます(小規模企業者の特例)
工程 |
分担のパターン |
||
---|---|---|---|
パターン① |
パターン② |
パターン③ |
|
受領者がスキャンし、別の者がそれ以降の工程を行う場合 |
受領者以外の者がスキャン以降の工程を行う場合 |
受領者がすべての工程を行う場合 |
|
受領する |
Aさん |
Aさん |
Aさん |
スキャンする |
Aさん |
Aさん以外 |
Aさん |
原本確認 |
Aさん以外 |
Aさん以外 |
Aさん |
読取情報の保存 |
Aさん以外 |
Aさん以外 |
Aさん |
タイムスタンプ |
Aさん以外 |
Aさん以外 |
Aさん |
分担のパターンごとの要件
パターンを確認したら、下表を見て要件を確認しましょう。
freeeにおける各工程の詳しい手順は後述します。
工程 |
要件 |
||
---|---|---|---|
パターン① |
パターン② |
パターン③ |
|
受領者がスキャンし、別の者がそれ以降の工程を行う場合 |
受領者以外がスキャン以降の工程を行う場合 |
受領者がすべての工程を行う場合 |
|
1.受領する |
- |
- |
- |
2.スキャンする |
そのままスキャンしてOK |
そのままスキャンしてOK |
受領者が書類に署名してからスキャン |
3.原本確認 |
受領者以外が必要に応じて行う |
不要 |
不要 |
4.読取情報の保存 |
以下を記録
|
以下を記録
|
以下を記録
|
5.タイムスタンプ |
申請書類に記載した期限までに付与 |
申請書類に記載した期限までに付与 |
受領から3日以内に付与 |
6.記帳(取引登録) |
誰が行ってもOK |
誰が行ってもOK |
誰が行ってもOK |
7.定期的な検査 |
1〜5とは別の者が行う |
1〜5とは別の者が行う |
税理士などの税務代理人が行う |
8.原本の破棄 |
検査の完了後に破棄可能 |
検査の完了後に破棄可能 |
検査の完了後に破棄可能 |
1.電子帳簿保存機能を有効にする
1.[設定]→[事業所の設定]を開き、[詳細設定]タブを開きます。
2.画面の最下部にある「電子帳簿保存法対応の設定」欄にて、[電子帳簿保存設定]ボタンをクリックします。
3.①で「国税関係書類をスキャナ保存する」を選択します。
4.②で「申請をしている」を選択します。
未申請の方はこちらを参考にしながら申請し、申請できたら「申請をしている」を選択します。
5.申請内容を参照しながら、税務署に認められたスキャナ保存の開始日を入力します。
6.スキャナ保存を行う予定の書類を選択します。
7.右下の[決定]をクリックすると、電子帳簿保存の利用を開始できます。
2.書類をスキャンする
署名する
受領者がすべての工程を行う場合(小規模企業者の特例を適用する場合)は、書類に署名してからスキャンする必要があります。
※ 押印では要件を満たしませんのでご注意ください。(国税庁によるQ&Aの問32を参照)
スキャン方法
書類のサイズによって推奨されるスキャン方法が異なりますので、下表を参照の上で決定します。
詳しい操作手順は、表内「スキャン方法」の各リンクをご参照ください。
スキャン方法 |
書類サイズが |
書類サイズが |
---|---|---|
dpiが取得できるスキャナ |
◎ 推奨 |
◎ 推奨 |
dpiが取得できないスキャナ |
◎ 推奨 |
◯ 可 |
iOS版 会計freee |
△ 非推奨 |
△ 非推奨 |
◎ 推奨 |
× 不可 |
|
スキャナアプリ |
◎ 推奨 |
◯ 可 |
※1
撮り方次第で画像が歪む可能性があるため
※2
確認の際、dpiを手入力する必要があります。算出方法は以下のいずれかを用います。
A.画面上に表示される書類の実寸(横幅・縦幅)が実寸と同じになるように入力
B.こちらの公式で算出:解像度(dpi)=総画素数÷証憑の実寸(平方inch)
※3
2017年12月現在、書類の実寸は「書類が画像ファイルいっぱいに収まっていることを前提とした上で、画素数と解像度(dpi)から自動計算」されます。よって、書類が画像ファイルいっぱいに収まらないスキャン方法では、解像度と書類の実寸の両方を正しく入力することができなくなります。
スキャンの期限
スキャン自体に期限はありませんが、スキャン後に行うタイムスタンプの付与には期限がありますので、それを遵守できるよう余裕を持ってスキャンすることをおすすめします。
【タイムスタンプ付与の期限】
- 基本的には受領してから1ヶ月+1週間後まで
(申請時にその旨を記載している必要があります) - 受領者が各工程を全て自分で行う場合は、受領後3日後までにタイムスタンプを押す必要があります。(改ざん防止のための規定)
3.スキャン後の確認作業を行う
スキャン後に行う作業について
スキャン後は「①必要に応じて原本確認を行った上で、②解像度などの読取情報を入力し、③画像ファイルにタイムスタンプを付与する」ことが要件として定められていますが、会計freeeではこれらを同時に行う仕様になっています。
(freeeでは、上記3つの工程を「確認」と総称しています)
電子帳簿保存機能が有効になっている場合、スキャンした画像は「確認待ち」タブに格納されますので、ファイル一覧から[確認する]ボタンをクリックして確認作業を開始します。
※一連の「確認」作業が行われることで、初めて取引とファイル間の紐づけが可能となります。
※ モバイル版のfreeeで行う「確認」には以下の制限があるため、Web版から行うことを推奨します。
- モバイル版ではアップロードした人と同じメンバーしか「確認」を行うことができない
- モバイル版の「確認」では解像度などの読取情報を入力することができない
- freee以外のアプリ(Scannable、標準のカメラアプリ等)で撮った写真はモバイルから「確認」を行うことができない(解像度が空欄になるため、その入力が求められる)
原本確認
必要に応じて、画像ファイルと原本を見比べて、正しくスキャンされたかどうかを確認します。(原本確認)
例えば、受領者が自分でスキャンをした場合は理論上改ざんのリスクが発生するため、原本確認を行うことが推奨されます。
読取情報の入力
スキャナ保存を行うためには、総画素数・解像度・実寸・階調などの読取情報を入力する必要があります。
紙をスキャンして保存する場合、以下の手順で入力します。
- 「紙の原本がある」にチェックを入れます。
- 「書類の種類」を「領収書」「請求書」とします。
- 書類のサイズを選択します。レシートなどは「不定形」とします。
- 下表を参考にしながら、各数値を確認・入力します。
(ケースにより必須項目や算出方法が異なります)
項目 ※1 |
要件 |
算出・入力方法 |
||
---|---|---|---|---|
書類サイズが |
書類サイズが |
スキャナ |
カメラ |
|
総画素数 |
書類部分を解像度200dpi以上でスキャンできる画素数 |
書類部分を解像度200dpi以上でスキャンできる画素数 |
自動取得 |
自動取得 |
解像度 |
不要 (画素数で代替) |
200dpi以上 |
自動取得 |
自動取得 |
書類の実寸 |
受領者がスキャンする場合は不要 |
必須 |
自動計算 |
自動計算 |
書類の縦幅 |
受領者がスキャンする場合は不要 |
必須 |
自動計算 |
自動計算 |
階調 |
24bit |
24bit |
自動取得 |
自動取得 |
※1
各用語の定義は以下のとおりです。
- 総画素数:画像全体のドットの数(機種ごとに固定)
- 解像度(dpi):1インチ(25.4mm)の長さの中にあるドットの数
- 書類の横幅/縦幅(cm):書類の実寸。freeeでは、証憑サイズ=画面サイズと仮定した上で総画素数と解像度から自動計算
- 階調(bit):色のグラデーションの細かさ(24bitフルカラーが一般的)
※2
書類部分を200dpi以上の解像度でスキャンできる画素数が前提となります。
例えば、A4書類を200dpi以上でスキャンするには最低387万画素が必要です。
必要な画素数は書類のサイズに比例します。
※3
手計算の場合、算出方法は以下のいずれかを用います。
A.画面上に表示される書類の実寸(横幅・縦幅)が実寸と同じになるように入力
B.こちらの公式で算出:解像度(dpi)=総画素数÷証憑の実寸(平方inch)
※4
書類が画像ファイルいっぱいに収まっていることを前提とした上で、画素数と解像度(dpi)から自動計算されます。
※5
フルカラーの機種であれば基本的に24bitであり、多くの機種で自動取得されます。
階調の24bitとは、R(赤)・G(緑)・B(青)の各色が256階調あることを意味します。
タイムスタンプの付与
読取情報の入力画面で[確認する]ボタンをクリックすると、画像ファイルにタイムスタンプが付与されます。
これにより、画像ファイルは[すべて]より右のタブに移動し、青い時計のマーク(タイムスタンプの印)が付きます。
以上でスキャナ保存の事務処理は完了となりますが、以下の点にご注意ください。
- タイムスタンプの付与まで完了しても、「定期的な検査」を終えるまでは原本を破棄できません。
- タイムスタンプが付与された書類をスキャンし直す場合は、元のデータは残した上で「ファイルの改訂」を行います。(後述)
取引の登録
電子帳簿保存法では仕訳の記入に関する規定は特に定められていませんので、通常通りファイルに取引を登録・添付します。
ただし、モバイル版の会計freeeには以下の仕様上の制限がありますのでご注意ください。
- 電子帳簿保存機能を有効にしている場合、モバイル版の会計freeeでは自分がアップロードしたファイルに取引登録をすることはできません。
そのため、別のメンバーに取引を登録してもらうか、Web版の会計freeeで取引を登録する必要があります。
4.定期的な検査を行う
定期的な検査とは、原本とデータを比較しながら、適性に事務処理が行われていることを確認することを言います。
1年に1回以上、一連の事務処理を行っていない第三者によって、以下のような項目(一例)を検査する必要があります。
- 処理されるべき書類が網羅されているか
- 適正にスキャニングされているか。
- 営業責任者が渡した領収書及び請求書などの書類について、改ざん等の形跡がないか
- 入金額及び支払金額が最終的な金額と一致しているか
- 入金額及び支払金額に漏れはないか
なお、受領者自身がスキャンし、かつ受領〜タイムスタンプ付与を1人で行う場合(相互けん制を効かせない場合)は、税理士などの税務代理人が検査を行う必要があります。
その他の操作
画像ファイルを改訂する
書類の情報が誤っていた場合や、更新された場合などは、一度取り込んだ書類データを改訂することができます。
なお、改訂は、改訂前(第1版)の書類を確認した人が行うことができます。
1.事前に改訂後の書類をスキャンして取り込んでおきます。
2.ファイルボックスの一覧から、改訂する書類をクリックします。
3.[ファイルを改訂]ボタンをクリックします。
4.改訂後のファイルを選択し、[ファイルを改訂]をクリックします。
5.第1版の書類データと同様に、書類データの内容に間違いが無いかを確認し、画像情報を入力してタイムスタンプを付与します。この時、必要に応じて改訂理由をメモできます。
※ 改訂したファイルは、一覧から詳細を開くと、過去のバージョンを改訂理由付きで閲覧できるようになります。
削除したファイルを閲覧する
電子帳簿保存法ではデータの削除履歴を閲覧できる要件が定められています。この要件に対応するため、以下の方法で削除したファイルを表示させることができます。
1.ホーム画面の「取引」をクリックしてメニューを表示させます。
2.表示されたメニューのうち、ファイルボックスメニューの「削除したファイル一覧」をクリックすると「削除済み」のデータが表示されます。
タイムスタンプを一括で検証する
電子帳簿保存法ではデータの改ざん防止のために、取引にタイムスタンプを付与する要件が定められています。この要件に対応するため、以下の方法でタイムスタンプが適正に付与されているかを一括で検証することができます。
1.ホーム画面の「取引」をクリックしてメニューを表示させます。
2.表示されたメニューのうち、ファイルボックスメニューの「タイムスタンプの一括検証」をクリック
3.期間を指定して検証したいタイムスタンプの情報を一覧表示させます。
タイムスタンプの詳細を確認・ダウンロードする
ファイルボックスの画面からタイムスタンプ付与済みのファイルをクリックすると、その詳細を確認できますが、「作成日時」のリンクをクリックすると、タイムスタンプの詳細を確認できます。
※ この時、もし必要であれば、[タイムスタンプトークンをダウンロード]ボタンをクリックして、タイムスタンプのデータをダウンロードできます。
電子帳簿保存機能の利用を停止する
freeeの電子帳簿保存機能の利用を停止する場合、以下のいずれかの処理を行います。正確な要件についてはこちらの国税庁による通達をご参照ください。
別のシステムに移行する場合
- freeeの電子帳簿保存機能の利用をやめる日までに、こちらの国税庁ページの下部にある「国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の変更の届出書」を税務署に提出します。
(次のシステムへのデータ移行が困難な場合は、その事情を届出書に記載した上で、税務署にその旨を相談することをおすすめします) - freeeで各ファイルの詳細画面を一つずつ開いていきながら、画像ファイルとタイムスタンプトークンをすべてダウンロードします。
- ダウンロードしたデータを次のシステムに移行(インポート)します。
(データの移行が困難な場合は、税務署に指定された形式で書類やデータを保存します) - freeeの[事業所の設定]メニュー内の「詳細設定」タブを開きます。
- 画面の最下部にある「電子帳簿保存法対応の設定」欄にて、[電子帳簿保存設定]ボタンをクリックします。
- ①で「国税関係書類のスキャナ保存を止める」を選択します。
- 必要な手続や処理をしているかを問われますので、すべて回答していきます。
- 最後に、右下にある[決定]をクリックして、電子帳簿保存機能の利用を停止します。
電子帳簿保存自体をやめる場合
- 電子帳簿保存をやめる日までに、こちらの国税庁ページの下部にある「国税関係帳簿書類の電磁的記録等による保存等の取りやめの届出書」を税務署に提出します。
- 各ファイルの詳細画面を一つずつ開いていきながら、画像ファイルとタイムスタンプトークンをすべてダウンロードします。
- 以下のいずれかの方法で書類を保存します。
- 原本が残っている場合はそれを引き続き保管します。(画像ファイル等は破棄して構いません)
- 原本がない場合は、ダウンロードしたデータを、電子帳簿保存法の要件を満たすシステムの中に保管します。
- いずれも困難な場合は、ダウンロードしたデータをすべて紙に出力した上で保存します。(この場合は、事前に保存方法を税務署にご相談いただくことをおすすめします)
- freeeの[事業所の設定]メニュー内の「詳細設定」タブを開きます。
- 画面の最下部にある「電子帳簿保存法対応の設定」欄にて、[電子帳簿保存設定]ボタンをクリックします。
- ①で「国税関係書類のスキャナ保存を止める」を選択します。
- 必要な手続や処理をしているかを問われますので、すべて回答していきます。
- 最後に、右下にある[決定]をクリックして、電子帳簿保存機能の利用を停止します。