事前に決めた一定の残業代を基本給に上乗せして支払う場合、固定残業代を設定します。
目次
事前準備1:固定残業代の概要と設定の対象者を知る
固定残業代の概要
freee人事労務の固定残業代とは?
あらかじめ給与に一定の割増賃金を上乗せして支払う制度のことです。
設定した固定残業代を従業員に付与すると、従業員が残業をまったくしなかった場合でも固定残業代が支払われます。
また、「実際の残業時間を元に計算した残業代」>「設定した固定残業代」
となった場合に、差額が自動計算され、固定残業超過額として追加で支払われます。
例)
固定残業代で割増単価2,000円・残業30時間分支給される設定で、
実際は40時間残業した月の支払われ方
固定残業代:30時間分×2,000=60,000円
固定残業超過:10時間分×2,000=20,000円が自動計算され、固定残業代とは別に支給
設定対象
設定対象外
- 上記仕組みの固定残業代の制度がない場合
- 設定不要です。次は、[Part3] 6. 通勤手当を設定する へ進みましょう。
- 「裁量労働制」で所定労働日のみなし労働時間が8時間を超える部分の
みなし残業代を設定する場合
- 「5. 固定残業代を設定する」では設定不要です。
- 8時間を超えた分のみなし残業代は、「7. 手当を設定する」で設定します。
- 次は、[Part3] 6. 通勤手当を設定する へ進みましょう。
- 「5. 固定残業代を設定する」では設定不要です。
設定対象
- 上記仕組みの固定残業代の制度がある場合
- 本ページで固定残業代の設定が必要です。
- 次は、事前準備2:freee人事労務の固定残業代の仕組みを理解する へ進みましょう。
事前準備2:freee人事労務の固定残業代の仕組みを理解する
「計算基準」で固定残業代の計算内容が変わる
freee人事労務の固定残業代は、計算基準によって計算内容が異なります。
計算基準は、下記3つから選択可能です。
計算基準 | 説明 |
---|---|
A. 金額を指定 | 毎月金額を固定したい場合に選択します。 |
B. 時間を指定 | 毎月時間を固定したい場合に選択します。 金額は毎月計算されるため変動する場合があります。 |
C. 時間と金額を指定 | 毎月時間と金額のどちらも固定したい場合に選択します。 |
各計算基準の場合の計算内容は、下記の 計算基準別の例 で確認できます。
※最初は例の確認をスキップして、実際に入力する際に迷ったら確認する流れでも構いません。
※BとCの違いは、補足:B.「時間」指定 と C.「金額と時間」指定の違い で確認できます。
計算基準別の例
- A. 固定残業代を「金額」で指定している場合
- B. 固定残業代を「時間」で指定している場合
- C. 固定残業代の「金額と時間」で指定している場合
- 補足: B.「時間」指定 と C.「金額と時間」指定の違い
A. 固定残業代を「金額」で指定している場合
実際の残業時間を元に計算した残業代>固定残業代の金額
となった場合に超過額が支給されます。
例)
割増賃金単価:2,000円
固定残業代:金額指定、60,000円と設定しているとき
4月の残業が40時間だった場合
- 実際の残業代:2,000円×40時間=80,000円
- 固定残業代:60,000円
- 固定残業代超過額:80,000円‐60,000円=20,000円
5月の残業が28時間だった場合
- 実際の残業代:2,000円×28時間=56,000円
- 固定残業代:60,000円
- 固定残業代超過額:なし
他の計算基準の例をスキップする場合は、事前準備3:設定に必要な情報を用意する へ進みます。
B. 固定残業代を「時間」で指定している場合
実際の残業時間>固定残業代に含まれる時間
となった場合に超過額が支給されます。
例)
割増賃金単価:2,000円
固定残業代:時間指定、30時間と設定しているとき
4月の残業が40時間だった場合
- 実際の残業時間:40時間
- 固定残業代に含まれる時間:30時間
→固定残業代:30時間×2,000円=60,000円 - 固定残業超過時間:10時間
→固定残業代超過額:10時間×2,000円=20,000円
5月の残業が28時間だった場合
- 実際の残業時間:28時間
- 固定残業代に含まれる時間:30時間
→固定残業代:30時間×2,000円=60,000円 - 固定残業代超過額:なし
他の計算基準の例をスキップする場合は、事前準備3:設定に必要な情報を用意する へ進みます。
C. 固定残業代の「金額と時間」で指定している場合
実際の残業時間>固定残業代に含まれる時間
となった場合に上回った時間分の超過額が支給されます。
例)
割増賃金単価:2,000円
固定残業代:金額と時間指定、30時間で62,000円(個別の割増賃金単価2,000円×30時間とは異なる値を設定)と設定しているとき
4月の残業が40時間だった場合
- 実際の残業時間:40時間
- 固定残業代に含まれる時間:30時間
→固定残業代:62,000円 - 固定残業代超過額:10時間
→固定残業代超過額:10時間×2,000円=20,000円
5月の残業が28時間だった場合
実際の残業時間:28時間
- 固定残業代に含まれる時間:30時間
→固定残業代:62,000円 - 固定残業代超過額:なし
補足の確認をスキップする場合は、事前準備3:設定に必要な情報を用意する へ進みます。
補足: B.「時間」指定 と C.「金額と時間」指定の違い
B.固定残業代を「時間」で指定している場合
- 毎月、従業員ごとの割増賃金単価と固定残業時間に応じた金額を計算しなおします。
- 実際の残業時間が指定した時間内であっても固定残業代額が変動し、
きりのよい金額にならないことがあります。
C.固定残業代の「金額と時間」で指定している場合
- 金額と時間は毎月同じものに固定されます。
- 実際の残業時間が指定した時間内であれば固定残業代額は変動せず、
きりのよい金額を支給可能です。
例1. 変動する手当(在宅勤務手当など)を割増賃金の単価に含めている場合
- B「時間」指定では、その月の変動する手当の金額によって割増賃金単価が変動するため、
残業時間(30時間など)が固定されていても
残業代の金額(30時間×変動する割増賃金単価)は変動します。 - 一方、C「金額と時間」指定では、30時間分で60,000円、のように金額が固定ができるため、
固定残業代の金額が変わることはありません。
例2. 従業員ごとの個別の割増賃金単価ではない金額を用いて固定残業代を設定したい場合
(従業員一律、単価3,000円で残業代を計算する、など)
- B「時間」指定では、システムで計算した従業員ごとの割増賃金単価を用いて計算するため、
固定残業代の設定で単価を指定した状態にできません。 - 一方、C「金額と時間」指定では、「割増賃金単価3,000円で30時間分=90,000円」のように
単価を指定した状態の金額を設定できます。
補足
- C「金額と時間」指定の場合、従業員に付与した際に個別の割増賃金単価を下回った金額になっていると確認画面が表示されます。
- 従業員一律で単価を設定する場合などは、従業員ごとに法律上の割増賃金下限額を上回るように設定しましょう。
次は、事前準備3:設定に必要な情報を用意する へ進みます。
事前準備3:設定に必要な情報を用意する
- 過去の給与で固定残業分を支給した場合の給与明細を探し、どのような計算で支払われているかを確認しておきます。
- 従業員ごとの固定残業代の金額や時間、超過した場合の支払い方を整理しましょう。
- また、事前準備2で「金額を指定」「時間を指定」「時間と金額を指定」のどれに当たるかを確認しておきます。
- 就業規則や給与規定、または従業員ごとの契約で定められた内容を確認しましょう。
Step0. 設定の流れを確認する
大きく2ステップで設定します。
Step1. 固定残業代を作成する
- [設定]メニューを開き[固定残業代]をクリックします。
- [+新規追加]をクリックします。
- 「固定残業代の追加」画面が開いたら、各項目を設定していきます。
- 基本情報セクションを設定します。
①固定残業代名
給与明細に表示される名称を入力します。
例)固定残業代、定額残業代 など②超過額の表示名
給与明細に表示される超過額の名称を入力します。
例)固定残業超過額、定額残業代超過額 など<給与明細のイメージ>
任意の半角英数字を入力します。
例)a001など - 支給額と算出方法セクションを設定します。
計算基準
「金額を指定」「時間を指定」「時間と金額を指定」から選択できます。※計算基準は、一度保存した後は変更できません。
※BとCの違いは、補足: B.「時間」指定 と C.「金額と時間」指定の違い で確認できます。計算基準に応じて、計算基準の後の項目である
各計算基準別の設定内容は、下記から確認できます。
「金額/時間の初期値」「対象とする労働時間」「金額の端数処理」の表示・非表示や選択肢が変わります。A. 固定残業代を「金額」で指定する場合
④計算基準
「金額を指定」を選択します。⑤金額の初期値
多くの従業員に共通して当てはまる金額がある場合は、入力します。
ない場合は、0のままにしておき、従業員への付与時に変更します。⑥対象とする労働時間
複数選択ができるので、該当する時間をすべて選択します。
※選択していない労働時間に対する残業代は、
勤怠実績に対して自動計算される額が別途支払われます。
(労働時間の定義は、[Part1] 2-B-3. 勤務・賃金を設定する - Step5. 割増賃金を設定する をご参照ください。)B. 固定残業代を「時間」で指定する場合
④計算基準
「時間を指定」を選択します。⑤時間の初期値
多くの従業員に共通して当てはまる時間がある場合は、入力します。
ない場合は、0のままにしておき、従業員への付与時に変更します。⑥対象とする労働時間
該当する時間を選択します。表示されている時間以外は選択できません。
※選択していない労働時間に対する残業代は、
勤怠実績に対して自動計算される額が別途支払われます。
(労働時間の定義は、[Part1] 2-B-3. 勤務・賃金を設定する - Step5. 割増賃金を設定する をご参照ください。)⑦金額の端数処理
固定残業代や超過額を計算する際の端数処理を決めます。例)1時間当たり1,193円×1.25×固定残業45時間=67,106.25
切り上げの場合:67,107円
四捨五入の場合:67,106円C. 固定残業代の「金額と時間」で指定する場合
④計算基準
「時間と金額を指定」を選択します。⑤固定残業代の初期値
多くの従業員に共通して当てはまる時間と金額がある場合は、入力します。
ない場合は、0のままにして従業員への付与時に変更します。⑥対象とする労働時間
該当する時間を選択します。表示されている時間以外は選択できません。
※選択していない労働時間に対する残業代は、
勤怠実績に対して自動計算される額が別途支払われます。⑦金額の端数処理
固定残業代や超過額を計算する際の端数処理を決めます。例)1時間当たり1,193円×1.25×固定残業45時間=67,106.25
切り上げの場合:67,107円
四捨五入の場合:67,106円 - 頻度と計算方法セクションを設定します。
日割り計算
フレックスタイム制以外の労働時間制度の場合は、締め日の途中で入退社した場合に金額を日割り計算するかを設定できます。 -
[追加]をクリックします。
画面上部に「固定残業代を追加しました。」と表示されたら、固定残業代の作成は完了です!
- 次は、Step2. 固定残業代を従業員に付与する へ進みます。
Step2. 固定残業代を従業員に付与する
このページでは、freee人事労務の画面上から1従業員ずつ固定残業代を付与する場合の手順をご案内します。
CSVファイルを用いて固定残業代を一括更新する場合は、下記ページをご参照ください。
- ヘルプページ:従業員の給与等を一括で更新する- 固定残業代の一括更新
- メニュー[従業員]を開きます。
- 「従業員一覧」画面で、情報を更新したい従業員を選択します。
- 「従業員詳細」画面上部の年月ナビゲーション(年月ナビ)で、
情報を更新したい年月を選択します。
年月ナビゲーションで選択している月は、給与の支払い月です。
freee人事労務では月ごとに従業員データを持ち、給与計算します。データの参照・更新の際には、年月ナビで正しく年月を切り替えましょう。
詳細は「[Part3] 1.年月ナビゲーション(年月ナビ)を理解する」をご参照ください。
- 年月が正しく切り替わったことを確認してから、左メニューの「固定残業代」をクリックします。
- 固定残業代セクションが表示されたら、[編集]をクリックします。
- [+固定残業代を付与]をクリックします。
- 該当の固定残業代の□に✔を入れて[付与]をクリックします。
- 時間や金額の初期値と異なる場合は、正しい数字を入力します。
※「時間と金額を指定」の場合のみ
該当の従業員の個別の割増賃金単価×時間数を下回らないように金額を設定します。<下限額の確認方法>
- 付与画面で対象となる時間数を入力し[下限額を確認]を押します。
- 対象の従業員の割増賃金単価に応じた下限額が確認できます。
下記例の場合は83,325円を下回る金額で固定残業代を設定すると、法律上の割増賃金額を下回ってしまいます。
- 付与画面で対象となる時間数を入力し[下限額を確認]を押します。
-
[保存]をクリックします。
画面上部に「固定残業代を保存しました」と表示されたら、1従業員への付与は完了です。
-
他に固定残業代を付与する従業員がいる場合は、手順②〜⑨を繰り返します。
-
固定残業代をすべて付与できたら、固定残業代の設定は完了です!
-
次は、Step3. 次の設定へ進む へ進みます。
Step3. 次の設定へ進む
役員・従業員や事業所の状況に合わせた次の設定へ進みましょう。
複数に該当する場合は、番号の若いものから対応します。
どんな場合 | 次のステップ | 補足 |
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通勤手当 がある場合 |
[Part3] 6. 通勤手当を設定する へ進みます。 |
通勤手当:
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手当 がある場合 |
[Part3] 7. 手当を設定する へ進みます。 |
手当:
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控除 がある場合 |
[Part3] 8. 控除を設定する へ進みます。 |
控除:
|
上記に 該当しない場合 |
[Part3] 9. 所得税・住民税を 設定する へ進みます。 |
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