本ページでは、主に法人が株式や公社債などの有価証券を購入した場合の処理方法などについて説明します。
また参考として、個人事業主が有価証券を購入した際の処理方法についても説明しています。
なお、有価証券を売却した場合については「有価証券の売却を記帳する」をご確認ください。
本ページは口座を作成せず処理するケースについて説明しています。
口座を作成して処理するケースについては「有価証券の購入を記帳する(口座を作成して記帳する場合)」をご確認ください。
目次
証券口座に入金した際の登録方法
証券口座に入金した場合は、勘定科目「預け金」を用いて取引登録を行います。
送金元の口座をfreee会計に同期している場合、同期していない場合で登録方法が少し異なりますので、ご自身のケースに沿って登録を行ってください。
例:
2024年5月1日に、事業用口座から証券口座に送金した。
送金元の口座を同期している場合
- [取引]メニュー →[自動で経理]をクリックします。
- 明細一覧から該当の送金明細をクリックします。
※送金した場合は「支出の明細」として取り込まれます。
- [取引登録]タブをクリックします。
- 登録画面で下表の内容を入力します。
項目名 入力内容 入力例 収支 [支出]を選択します。 支出 決済 [完了]を選択します。 完了 発生日 送金した日を入力します。 2024-05-01 取引先 必要に応じて送金先の証券会社などを入力します。 フリー証券 適格請求書等 [該当する]のチェックの有無は問いません。
※この項目は「買い手側対応機能」を[使用する]に設定している場合のみ表示されます。[該当する]にチェック 勘定科目 [預け金]を入力します。 預け金 金額 送金した金額を入力します。
※明細の金額に手数料が含まれている場合の登録については当セクションのTipsをご確認ください。1,000,000 品目・部門・メモタグ
・セグメント必要に応じて入力します。
※セグメントは特定のプランのみ利用できます。詳しくは「セグメント(分析用タグ)を登録する」をご確認ください。- 備考 必要に応じて入力します。 有価証券購入のため - 各項目の入力が完了したら[登録(Ctrl + Enter)]ボタンをクリックします。
入金された金額と手数料が合算されている明細の登録について
明細の金額が「-1,000,000円」となっていても、実際には「入金された金額:999,500円、手数料:500円」のようなケースがあります。
このように、入金された金額と手数料が合算された明細が取り込まれた場合は、行を分けて登録を行ってください。
具体的には[行を追加]ボタンをクリックして、追加された行の「勘定科目」欄に「支払手数料」、「金額」欄に手数料の金額を入力します。
また、1行目の「金額」欄を手数料を差し引いた金額に修正します。
送金元の口座を同期していない場合
- [取引]メニュー →[取引の一覧・登録]をクリックします。
- 取引の登録画面で下表の内容を入力します。
項目名 入力内容 入力例 収支 [支出]を選択します。 支出 決済 [完了]を選択します。 完了 口座 送金元の口座を選択します。 フリー銀行 発生日 送金した日を入力します。 2024-05-01 取引先 必要に応じて送金先の証券会社などを入力します。 フリー証券 適格請求書等 [該当する]のチェックの有無は問いません。
※この項目は「買い手側対応機能」を[使用する]に設定している場合のみ表示されます。[該当する]にチェック 勘定科目 [預け金]を入力します。 預け金 金額 送金した金額を入力します。
※明細の金額に手数料が含まれている場合の登録については当セクションのTipsをご確認ください。1,000,000 品目・部門・メモタグ
・セグメント必要に応じて入力します。
※セグメントは特定のプランのみ利用できます。詳しくは「セグメント(分析用タグ)を登録する」をご確認ください。- 備考 必要に応じて入力します。 有価証券購入のため - 各項目の入力が完了したら[支出を登録]ボタンをクリックします。
送金手数料が発生した場合の登録について
送金手数料が発生した場合は[詳細登録]ボタンをクリックして「入金された金額」と「手数料」に分けて登録します。
詳細登録画面で[行を追加]ボタンをクリックして、追加された行の「勘定科目」欄に「支払手数料」、「金額」欄に手数料の金額を入力します。
また、1行目の「金額」欄を手数料を差し引いた金額に修正します。
有価証券を購入した際の登録方法
有価証券を購入した場合は「預け金」を「投資有価証券」などの勘定科目に振り替えます。
このとき、有価証券の保有目的に応じて、下記のように勘定科目(※1)を選び分けて登録します。
有価証券の保有目的 | 勘定科目 |
---|---|
売買目的(※2)で有価証券を購入した場合 | 有価証券 |
満期保有目的で有価証券を購入した場合 | 投資有価証券(※3) |
関連会社や子会社などの株を購入した場合 | 関係会社株式 |
上記のいずれにも該当しない有価証券を購入した場合 | 有価証券 または 投資有価証券(※4) |
例:
2024年5月10日に、フリー証券から満期保有目的の有価証券100万円(手数料などの取得原価含む)を購入した。
- [取引]メニュー →[取引の一覧・登録]をクリックします。
- 「証券口座に入金した際の登録方法」で登録した取引をクリックします。
※表示される取引が多くて見つけにくい場合は絞り込み条件をご活用ください。
- 「支出」側の[+更新]ボタンをクリックします。
- 「更新内容」欄を下表の内容を入力します。
項目名 入力内容 入力例 更新日 有価証券を購入した日を入力します。 2024-05-10 勘定科目 保有目的に応じた勘定科目を入力します。 投資有価証券 適格 チェックボックスにチェックを入れます。
※この項目は「買い手側対応機能」を[使用する]に設定している場合のみ表示されます。チェックを入れる 税区分 [対象外]を選択します。
※勘定科目を選択すると自動的に入力されます。対象外 金額 有価証券の購入金額を入力します。 1,000,000 品目・部門・メモタグ
・セグメント必要に応じて入力します。
※セグメントは特定のプランのみ利用できます。詳しくは「セグメント(分析用タグ)を登録する」をご確認ください。品目:満期保有目的 備考 必要に応じて入力します。 - - 各項目の入力が完了したら[保存]ボタンをクリックします。
※1:上記はfreee会計に最初から存在する勘定科目で登録する場合の選択例です。自社で独自の勘定科目を使用している場合は、勘定科目を新規登録のうえ、そちらの勘定科目を使用してください。
※2:一般的に売買目的とは、「決算日の翌日から1年以内で満期が到来する社債やその他の短期債券」とされています。
※3:品目やメモタグ等で「満期保有目的債権」や「その他有価証券」を付与すると、それぞれの有価証券を区別することができます。
※4:1年以内に満期となる場合は「有価証券」、1年を超えて満期となる場合は「投資有価証券」を選択してください。
有価証券の当期末・翌期首の処理について
当セクションで説明している処理方法は一例です。
ご自身の事業所に適した処理については税務署や税理士にご確認ください。
有価証券の種類により、有価証券の帳簿価額を期末日における時価に修正(評価替え)する必要があります。
一般的には、「売買目的有価証券」「その他有価証券」に分類される有価証券は時価に評価替えを行うとされており、「満期保有目的債券」「関係会社株式(子会社株式・関連会社株式)」に分類される有価証券は時価評価をせず、取得原価で評価を行うとされています。
有価証券の評価方法
有価証券の評価方法として、一般的に「原価法(げんかほう)」と「低価法(ていかほう)」の2つがあります。
加えて、低価法には「洗替法(あらいがえほう)」と「切放法(きりはなしほう)」の2つの評価方法があります。
評価方法 | 説明 | |
---|---|---|
低価法 | 洗替法 |
有価証券を原価法で評価した金額と時価とを比較していずれか低い価額で評価する方法です。 決算において時価に評価替えを行った後に、翌期首に再振替仕訳を行って帳簿価額を取得原価に戻します。 |
切放法 |
有価証券を原価法で評価した金額と時価とを比較していずれか低い価額で評価する方法です。 決算において時価に評価替えを行った後に、翌期首に再振替仕訳は行わず期末時価を翌期の帳簿価額とします。 |
|
原価法 | 有価証券の取得価額で評価する方法です。 |
洗替法と切放法はどちらも期末日に時価評価を行いますが、翌期の期首に再振替仕訳を行うか否かが異なります。
なお、「低価法」と「原価法」のどちらを用いるか、低価法を選択した場合に「洗替法」と「切放法」のどちらの評価方法を用いるかについては、税務署や税理士に相談のうえご判断ください。
当期末・翌期首の処理
有価証券の時価評価を行う場合、freee会計では「事前準備」「当期末の処理」「翌期首の処理」に分けて処理を行います。
例:
当期に購入した売買目的の有価証券(取得価額:100万円)は、期末時点における時価が110万円であった。
事前準備
事前に「有価証券評価益」および「有価証券評価損」という勘定科目を作成する必要があります。
下表の作成例を参考に勘定科目をご作成ください。なお、作成手順は「勘定科目の設定・追加を行う - 勘定科目を新規登録する」をご確認ください。
項目名 | 有価証券評価益 | 有価証券評価損 |
---|---|---|
勘定科目名 | 有価証券評価益 | 有価証券評価損 |
勘定科目コード ※勘定科目コードを[使用する]に設定している場合のみ表示されます。 |
1000-1 | 1000-2 |
勘定科目のカテゴリー | 営業外収益 | 営業外費用 |
決算書表示名(小カテゴリー) | 有価証券評価益 | 有価証券評価損 |
税区分 | 対象外 | 対象外 |
ショートカット1 | HYOUKAEKI | HYOUKASON |
ショートカット2 | 1000-1 | 1000-2 |
収入取引相手勘定科目 ※[詳細項目の設定]ボタンをクリックすると表示されます。 |
未収収益 | 未収収益 |
支出取引相手勘定科目 ※[詳細項目の設定]ボタンをクリックすると表示されます。 |
未払費用 | 未払費用 |
当期末の処理
当期の期末日に下記の処理を行います。
- [決算申告]メニュー →[振替伝票]を開きます。
- 仕訳の入力画面に下表の内容を入力します。
※画像は当期末時点における時価が帳簿価額より高い場合の入力例です。
項目名 入力内容 入力例 発生日 当期の期末日を入力します。 2024-09-30 日常仕訳/決算整理仕訳 [決算整理仕訳]を選択します。 決算整理仕訳 管理番号 必要に応じて入力します。 - 借方勘定科目
取引先・品目・部門・
メモタグ・セグメントそれぞれについて、次のように入力します。
- 勘定科目:
(時価 >帳簿価額の場合)有価証券
(時価< 帳簿価額の場合)有価証券評価損 - 各種タグ:必要に応じて入力
勘定科目:有価証券
品目:売買目的
借方金額
借方税区分・税額それぞれについて、次のように入力します。
- 金額:期末時点における時価と帳簿価額の差額
- 税区分:対象外
金額:100,000
税区分:対象外
貸方勘定科目
取引先・品目・部門・
メモタグ・セグメントそれぞれについて、次のように入力します。
- 勘定科目:
(時価 >帳簿価額の場合)有価証券評価益
(時価< 帳簿価額の場合)有価証券 - 各種タグ:必要に応じて入力
勘定科目:有価証券評価益
各種タグ:-
貸方金額
貸方税区分・税額それぞれについて、次のように入力します。
- 金額:期末時点における時価と帳簿価額の差額
- 税区分:対象外
金額:100,000
税区分:対象外
備考 必要に応じて入力します。 - - 勘定科目:
- 入力が完了したら[登録]ボタンをクリックします。
翌期首の処理
洗替法を採用している場合は、翌期の期首日に下記の処理を行います。
※切放法を採用している場合は下記の処理は不要です。
- [決算申告]メニュー →[振替伝票]を開きます。
- 仕訳の入力画面に下表の内容を入力します。(期末日に入力した仕訳の再振替仕訳となります。)
※画像は期末時点における時価が帳簿価額より高い場合の入力例です。
項目名 入力内容 入力例 発生日 当期の期末日を入力します。 2024-10-01
日常仕訳/決算整理仕訳 [決算整理仕訳]を選択します。 決算整理仕訳 管理番号 必要に応じて入力します。 - 借方勘定科目
取引先・品目・部門・
メモタグ・セグメントそれぞれについて、次のように入力します。
- 勘定科目:
(時価 >帳簿価額の場合)有価証券評価益
(時価< 帳簿価額の場合)有価証券 - 各種タグ:必要に応じて入力
勘定科目:有価証券評価益
各種タグ:-
借方金額
借方税区分・税額それぞれについて、次のように入力します。
- 金額:期末日に入力した仕訳と同じ金額
- 税区分:対象外
金額:100,000
税区分:対象外
貸方勘定科目
取引先・品目・部門・
メモタグ・セグメントそれぞれについて、次のように入力します。
- 勘定科目:
(時価 >帳簿価額の場合)有価証券
(時価< 帳簿価額の場合)有価証券評価損 - 各種タグ:必要に応じて入力
勘定科目:有価証券
品目:売買目的
貸方金額
貸方税区分・税額それぞれについて、次のように入力します。
- 金額:期末日に入力した仕訳と同じ金額
- 税区分:対象外
金額:100,000
税区分:対象外
備考 必要に応じて入力します。 洗替法による振替仕訳 - 勘定科目:
- 入力が完了したら[登録]ボタンをクリックします。
参考:個人事業主が有価証券を購入した場合
一般的に個人事業主が事業用として有価証券を所有することは認められていないため、有価証券を購入してもfreee会計に登録する必要はありません。(事業所得に該当する有価証券取引を行う個人事業主は除く)
ただし、事業用の口座から個人で利用する証券口座に送金した場合は、勘定科目「事業主貸」を用いて取引登録を行います。
例:
2024年5月1日に、事業用口座からプライベート利用している証券口座に100万円を送金した。
この場合は、本ページの「有価証券を購入した際の登録方法」と同じ手順で登録します。
このとき、取引の各項目は下記のように入力します。
項目名 | 入力内容 | 入力例 |
---|---|---|
収支 | [支出]を選択します。 | 支出 |
決済 | [完了]を選択します。 | 完了 |
口座 | 送金した事業用口座を選択します。 | フリー銀行 |
発生日 | 送金した日を入力します。 | 2024-05-01 |
取引先 | 必要に応じて入力します。 | - |
適格請求書等 | [該当する]のチェックを外します。 ※この項目は「買い手側対応機能」を[使用する]に設定している場合のみ表示されます。 |
[該当する]のチェックを外す |
勘定科目 | [事業主貸]を入力します。 | 事業主貸 |
金額 | 送金した金額を入力します。 | 1,000,000 |
品目・部門・メモタグ |
必要に応じて入力します。 | - |
備考 |
必要に応じて入力します。 | 有価証券購入のため |