freeeではNPO法人の会計をサポートするツールとして「NPOキット」を提供しています。
本ページでは、NPOキットを用いた初期設定の進め方についてご案内します。
本ガイドは、以前「NPOキット」のZIPファイルに同梱されていたPDF版「NPO法人用 会計freeeの使い方ガイド(4.NPO_guide_Ver.5)」を改訂した最新版です。
「1.概要」「2.初期設定」「3.記帳」「4-1.決算(事前準備編)」「4-2.決算(決算書作成編)」の5ページに分かれていますので、順番にお読みください。
目次
NPO法人用 勘定科目・部門セットを確認・編集する
ここからは、NPOキットのデータセットを使って、NPO法人の会計に必要な初期設定を行います。
いずれも大事な準備作業となりますので、順番に注意しながら確実に進めてください。
まず、「1.概要」の「NPOキットのダウンロード」より、NPOキットの「勘定科目セット(1.NPO_kanjoファイル)」と「部門セット(2.NPO_bumonファイル)」をダウンロードして、デスクトップ等に保存します。
freee会計にインポートする前に、エクセルやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトでそれぞれのファイルを開き、内容の確認と編集をします。
勘定科目セットの確認ポイント(1.NPO_kanjoファイル)
NPOキットの勘定科目セットは、NPO法人会計基準に準拠した勘定科目となっていますので、基本的には変更せずそのまま利用できます。
ただし、事業収益の勘定科目は「【事】〇〇事業収益」「【事】△△事業収益」「【事】□□事業収益」となっています。確認して編集しておきましょう。
- 表計算ソフトで、勘定科目セット(1.NPO_kanjoファイル)を開きます。
- 事業収益の勘定科目を記帳の方針に合わせて編集します。
-
事業ごとに勘定科目を使い分けたい方
〇〇・△△・□□の部分を実際の事業名に編集します。事業が4つ以上ある場合は行を追加してください。 -
事業名ではなく区分で使い分けたい方
「【事】自主事業収益」「【事】受託事業収益」のように区分によって勘定科目を使い分けることもできます。必要に合わせて編集し、〇〇・△△・□□の勘定科目が不要であれば削除します。 -
勘定科目を使い分けない方
「【事】〇〇事業収益」を「【事】事業収益」に編集し、△△・□□の勘定科目は削除します。
※ 勘定科目を事業ごとに分けなくても、どの事業の収益かは「部門」によって区別・集計できます。
-
事業ごとに勘定科目を使い分けたい方
- セットに含まれていない勘定科目を使いたい場合は、行を挿入して勘定科目を追加します。
その際、事業費であれば「【事】◯◯費」の行をコピーし、管理費であれば「【管】◯◯費」の行をコピーして、「小分類」「中分類」「大分類」は変更せずに必要な部分だけ編集します。 - 使用を避けたい勘定科目がある場合は、行ごと削除します。
K列「検索での表示」を「NO」に変更することでも、入力時に表示されなくなります。 - 勘定科目セットの編集が終わったら保存します。
- 編集前
- 編集後(事業によって勘定科目を使い分けない場合)
- 編集前
- 収益や費用など、損益計算書の勘定科目には【事】または【管】を先頭に付けます。それぞれ「事業費」と「管理費」を表し、入力時にはどちらか適切な方を選択します。
- 追加できる勘定科目は、事業収益・受取会費・受取助成金・受取寄附金・その他収益・人件費・その他経費(人件費以外)の7区分のみです。
- 勘定科目を追加した場合は、「4-1.決算(事前準備編)」で行う決算テンプレートの「追加勘定科目の設定」にも入力が必要です。後で忘れないよう、併せて設定しておくことをオススメします。
勘定科目の入力がしやすいよう、あらかじめ以下のようにショートカットが設定されています。
- 収益の勘定科目……600番台
- 事業費の勘定科目……700番台
- 管理費の勘定科目……800番台
- 特別損益の勘定科目……900番台
すべてのショートカットを暗記する必要はなく、「6」と入力すれば600番台の勘定科目が表示されます。
ショートカットの活用については「3.記帳」でも説明します。
部門セットの確認ポイント(2.NPO_bumonファイル)
部門は設定画面から個別に追加することもできますが、事業の数が多い場合は部門セットを編集してインポートするのがオススメです。
- 表計算ソフトで、部門セット(2.NPO_bumonファイル)を開きます。
- A事業~J事業という部門がサンプルとして含まれていますので、実際に行っている事業に合わせて「名前」と「正式名称」を編集します。定款で定めている事業の名前をご入力ください。
- 任意でショートカットを入力します(設定したい場合のみ)。
- 存在しない事業など、不要な部門は行ごと削除します。
- 編集が終わったら保存します。
- 編集前
- 編集後
- 編集前
- 「管理部門」はすべてのNPO法人で必要となるため、削除しないでください。
- 部門として登録できる事業の数は最大10個までです(freee会計上では登録可能ですが、10個を超えると決算テンプレートで対応できません)。
- 「共通部門」は、Nportを利用しない場合は使用しないため削除しても問題ありません。
デフォルトの「取引テンプレート」を削除する
次に、freee会計に初期状態で用意されているデフォルトの「取引テンプレート」を削除します。
取引テンプレートは定型的な取引の入力を楽にできる便利な機能ですが、デフォルトの取引テンプレートには一般用の勘定科目が使われており、NPO法人用には利用できないためです。
また、この後にNPO法人用の勘定科目セットをインポートすると一般用の勘定科目は非表示になりますが、取引テンプレートで使われている勘定科目は非表示に変更できず、記帳の妨げとなってしまいます。
- [入力効率化]メニュー →[取引テンプレート]を開きます。
- グループ名が「デフォルト」となっている「ガソリン代」「家賃」などの取引テンプレートについて、行の右端の[削除]をクリックします。
- 確認画面が表示されたら、[削除する]をクリックします。
同じ手順で、デフォルトの取引テンプレートをすべて削除します。
編集した勘定科目・部門セットをインポートする
取引テンプレートを削除したら、勘定科目と部門をfreee会計にインポートします。
勘定科目のインポート
- [マスタ・口座]メニュー →[勘定科目]を開きます。
- 画面上部の[インポート]ボタンをクリックし[勘定科目csvインポート]を選択します。
- 「1.NPO_kanjo」ファイルを選択し、送信します。
- アップロード処理が完了し、ステータスが「インポートする」に変わったらリンクをクリックします。
※ステータスの表示は自動更新されないため、十数秒ほど待ってから画面を更新(リロード)してください。
- 更新前:ステータス「準備中」
- 更新後:[インポートする]のリンクに変化
- 更新前:ステータス「準備中」
- 読み込み処理が終わるとインポートする項目を選択する画面が開きます。
そのまま全項目を選択した状態で[選択した項目をインポートする]をクリックします。
インポートが完了すると、通知のメールが届きます。
より詳しくは「勘定科目をエクスポート・インポートする」のヘルプページもご覧ください。
部門のインポート
- [マスタ・口座]メニュー →[部門]を開きます。
- 画面右上の[インポート・エクスポート]をクリックし[部門CSVインポート]を選択します。
- 「2.NPO_bumon」ファイルを選択してアップロードします。
- 「インポートする内容をご確認ください」という画面に切り替わったら、そのまま[実行]をクリックします。
※ ひとり法人プランでは、登録できる部門の数が2個までに制限されます。
事業が複数ある場合はスタータープラン以上をご利用ください。
より詳しくは「部門のインポート・エクスポート」をご覧ください。
NPO法人会計で使用する勘定科目について
インポートした勘定科目は、[マスタ・口座]メニュー →[勘定科目]で確認できます。
NPO法人の会計では、かかった費用を「事業費」と「管理費」という2つに分類して記帳します。
「【事】消耗品費」「【管】消耗品費」のように勘定科目の頭に付いている【事】と【管】は、それぞれ「事業費」と「管理費」を表しています。
「消耗品費」のように【事】・【管】が付かない一般用の勘定科目は、NPO法人の会計では使わないため、入力候補として表示されなくなります。
なお、資産や負債の勘定科目については一般用と同じものを使います。
勘定科目の例 | NPO法人会計での使用 | 説明 |
---|---|---|
【事】消耗品費 | 使用する | 事業費としての消耗品費 (特定の事業を行うために直接かかった費用) |
【管】消耗品費 | 使用する | 管理費としての消耗品費 (法人全体を管理・運営するためにかかった費用) |
消耗品費 | 使用しない | 収益・費用の勘定科目については、一般用の勘定科目は使いません。 |
工具器具備品 | 使用する | 資産・負債の勘定科目については、一般用と同じ勘定科目をそのまま使います。 (工具器具備品はパソコンなどの固定資産を表します) |
勘定科目セットに含まれる事業収益の勘定科目は、初期状態では「【事】〇〇事業収益」「【事】△△事業収益」「【事】□□事業収益」となっています。
もしインポートの前に編集していなかった場合は、「勘定科目セットの確認ポイント」を参考に、勘定科目の一覧から個別に編集してください。
事業所の初期設定を行う
ここまでで、NPO法人として利用を開始するための準備がととのいました。
これから日々の記帳を始めるにあたって、どの事業所でも必要となる初期設定があります。
まだ行っていない方は、ヘルプページを参考に設定を進めてください。
freee会計での初期設定は、大きく次の3ステップに分かれます。
-
会計期間の設定
freeeで記帳を行う年度の開始日(期首日)と終了日(期末日)を設定します。 -
口座の登録
事業で利用する銀行口座やクレジットカードを登録して、その口座を通じた入出金を記帳できる状態にします。 -
開始残高の設定
freeeを使い始める年度の開始日(期首日)時点での各種残高を入力して設定します。
初期設定の流れについて、詳しくは「法人向けfreee会計 基本の使い方ガイド - 1.0 初期設定」をご覧ください。
参考:設立初年度の開始残高の設定について
設立初年度のNPO法人で設立時の資産(設立当初の財産)がとくにない場合、開始残高の設定は不要です。
必要な運転資金を役員から借りた、または寄付を受けた扱いとするときは、「役員借入金」「【管】受取寄附金」などの勘定科目で収入の取引を登録します。
取引の登録方法について、詳しくは「3.記帳」をご覧ください。
参考:設立2年度目以降の開始残高の設定について
設立2年度目以降では、前年度の残高を引き継いで今年度の会計を始めるために、前年度末に作成した貸借対照表の数字を転記する形で開始残高を設定します。
設定のポイントは以下のとおりです。
- 事前に銀行口座を登録しておき、「現金預金」の残高については財産目録を参照して口座ごとに分けて入力します。
- 正味財産については、便宜的に「繰越利益剰余金」として入力します。
- 借方(資産の部)と貸方(負債の部・正味財産の部)の合計金額が一致していることを確認して保存します。