内部取引を手動で登録するには、「取引先タグ」を利用する決まりごとがあります。
登録する際は「取引入力」、「振替伝票」のどちらからでも登録をすることができます。
また、福祉freeeの基本設定を変更することで「貸借」又は「繰入」の内部取引の仕訳を自動で計上することができます。
ここでは、freee会計における、内部取引の概要と登録方法、相殺消去仕訳の反映方法をご紹介します。
目次
内部取引の種類
内部取引の種類には、事業区分間、拠点区分間、サービス区分間の3種類があります。これらの区分間で内部取引が生じます。
- 事業区分間取引:異なる事業区分間で生じる内部取引
- 拠点区分間取引:同一事業区分内の拠点区分間で生じる内部取引
- サービス区分間取引:同一事業区分内の拠点区分間で生じる内部取引
取引先タグの登録を行う
内部取引に関わる仕訳であることを認識させるため、「取引先」タグを用います。
「取引先」タグに「サービス区分名+(内部取引) 」を付す仕訳を行うと、内部取引の仕訳になります。
仕訳に付した内部取引用の「取引先」タグは、内部取引の相殺消去の際にも用います。
「取引先」の登録は、内部取引の仕訳を登録する時にも設定できますが、初期設定時に、全てのサービス区分を登録することをおすすめします。
内部取引用の「取引先」タグ登録の決まりごと
「サービス区分名+(内部取引) 」
- サービス区分名:freee会計で登録した部門設定の「部門名」と合わせる必要があります。
- (内部取引): 「()」は必ず半角で登録してください。全角の場合は、内部取引と認識はされません。
(例)A入所サービス区分の「取引先」を登録する場合
- [設定]メニュー →[取引先の設定]をクリックします。
- 「名前(255文字以内)」を入力し、画面下部の[作成]ボタンをクリックします。
-
「サービス区分名 」部分の入力
- 「部門の設定」画面から「部門名」をコピー&ペーストします
(部門の詳細はこちら)。
- 「部門の設定」画面から「部門名」をコピー&ペーストします
-
「(内部取引)」部分の入力
- 「(内部取引)」をそのままコピー&ペーストします。
- 「(内部取引)」をそのままコピー&ペーストします。
-
形式の確認
- 正しく入力すると次のような形になります。
- 正しく入力すると次のような形になります。
-
「サービス区分名 」部分の入力
内部取引の設定
ある拠点区分と他の拠点区分との間、あるいは同一拠点区分内のあるサービス区分と他のサービス区分との間で、資金のやりとりや経費の支払いが行われることがあります。
基本情報設定で、上記の取引について「貸借」又は「繰入」の仕訳を自動で計上することができます。
- 福祉freeeの[設定]→[基本情報設定]をクリックします。
- 「自動仕訳区分」項目を選択します。
-
無:
自動の処理は行いません。 -
繰入取引:
サービス区分(拠点区分)間繰入収益・費用として処理します(決済を要しない)。 -
貸借取引:
サービス区分(拠点区分)間貸付金・借入金として処理します(将来決済される)。
-
無:
内部取引の仕訳例
自動仕訳区分が「無」の場合
資金移動を伴う場合
a. 区分間で貸付や借入をする場合
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 取引先タグ |
---|---|---|---|---|---|---|
○○区分間貸付金 | xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A | 借方:B(内部取引) |
口座(預金2) | xxx | B | ○○区分間借入金 | xxx | B | 貸方:A(内部取引) |
b. 区分間で繰入をする場合
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 取引先タグ |
---|---|---|---|---|---|---|
○○区分間 繰入金費用 |
xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A | 借方:B(内部取引) |
口座(預金2) | xxx | B | ○○区分間 繰入金収益 |
xxx | B | 貸方:A(内部取引) |
a. Aサービス区分の経費をBサービス区分が立替で支払う場合(精算あり)
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 取引先タグ |
---|---|---|---|---|---|---|
経費勘定 | xxx | A | ○○区分間借入金 | xxx | A | 貸方:B(内部取引) |
○○区分間貸付金 | xxx | B | 口座(預金2) | xxx | B | 借方:A(内部取引) |
b. Aサービス区分の経費をBサービス区分が負担して支払う場合(精算無し)
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 取引先タグ |
---|---|---|---|---|---|---|
経費勘定 | xxx | A | 0888資金勘定 | xxx | A | 借方:B(内部取引) |
0888資金勘定 | xxx | A | ○○区分間 繰入金収益 |
xxx | A | 貸方:B(内部取引) |
○○区分間 繰入金費用 |
xxx | B | 口座(預金2) | xxx | B | 借方:A(内部取引) |
自動仕訳区分が「繰入取引」の場合
資金移動を伴う場合
(例)A部門からB部門へ口座間の資金移動する場合
【freee会計の仕訳イメージ(口座振替または振替伝票登録)】
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
口座(預金2) | xxx | B | 口座(預金1) | xxx | A |
▼
【福祉freeeの仕訳イメージ】
[A区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
○○区分間 繰入金費用 |
xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A |
[B区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
口座(預金2) | xxx | B | ○○区分間 繰入金収益 |
xxx | B |
他部門で支払いを行う場合
(例)A部門でB部門の費用を支払った場合
【freee会計の仕訳イメージ(自動で経理等または振替伝票登録)】
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
費用科目 | xxx | B | 口座(預金1) | xxx | A |
▼
【福祉freeeの仕訳イメージ】
[A区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
○○区分間 繰入金費用 |
xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A |
[B区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
費用科目 | xxx | B | ○○区分間 繰入金収益 |
xxx | B |
自動仕訳区分が「貸借取引」の場合
資金移動を伴う場合
(例)A部門からB部門へ口座間の資金移動する場合
【freee会計の仕訳イメージ(口座振替または振替伝票登録)】
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
口座(預金2) | xxx | B | 口座(預金1) | xxx | A |
▼
【福祉freeeの仕訳イメージ】
[A区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
○○区分間貸付金 | xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A |
[B区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
口座(預金2) | xxx | B | ○○区分間借入金 | xxx | B |
他部門で支払いを行う場合
(例)A部門でB部門の費用を支払った場合
【freee会計の仕訳イメージ(自動で経理等または振替伝票登録)】
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
費用科目 | xxx | B | 口座(預金1) | xxx | A |
▼
【福祉freeeの仕訳イメージ】
[A区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
○○区分間貸付金 | xxx | A | 口座(預金1) | xxx | A |
[B区分]
借方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ | 貸方勘定科目名 | 金額 | 部門タグ |
---|---|---|---|---|---|
費用科目 | xxx | B | ○○区分間借入金 | xxx | B |
内部取引でのエラーの解消方法
「チェックリスト実行」により内部取引に関するエラーが出た場合、freee会計の仕訳確認と解消方法についてご説明します。
○ 内部取引の科目を使用していて、借方取引先に内部取引の設定がされていません。
内部取引の科目を使用していて、貸方取引先に内部取引の設定がされていません。
【エラー例】
▼
【正しい例】
○ 借方部門と借方内部取引先の部門は同じ部門にできません。
貸方部門と貸方内部取引先の部門は同じ部門にできません。
【エラー例】
▼
【正しい例】
○ 借方と貸方の部門が違う内部仕訳は内部取引(貸方)と同時に設定できません。
貸方部門と貸方内部取引先の部門は同じ部門にできません。
【エラー例】
▼
【正しい例】
内部取引の相殺消去仕訳の反映方法
事業区分間取引
事業区分間取引により生じる内部取引残高については、「資金収支内訳表」「事業活動内訳表」において相殺消去します。
また、事業区分間における内部取引の残高については、「貸借対照表内訳表」において相殺消去します。
拠点区分間取引
事業区分間取引により生じる内部取引残高については、「事業区分資金収支内訳表」事業区分「事業活動内訳表」において相殺消去します。
また、事業区分間における内部取引の残高については、「事業区分貸借対照表内訳表」において相殺消去します。
サービス区分間取引
サービス区分間取引により生じる内部取引残高については、「拠点区分資金収支内訳表」「拠点区分事業活動内訳表」において相殺消去します。
内部取引の自動相殺消去の手順
福祉freeeでは、自動仕訳で発生させた区分間取引を自動で相殺することができます。自動で相殺する場合は、基本情報設定で自動仕訳区分を「繰入取引」「貸借取引」を選択する必要があります。
- 内部取引の自動相殺は、「チェックリスト実行」メニューから行います。
- 「仕訳情報のチェック」欄の「内部取引 自動相殺区分」の[する]を選択し、自動相殺を実行する月を選択します。選択できる月は、チェック実行の対象期間として選択した月となります。相殺処理とチェック実行は同時に行います。
- 実行する月を選択後、[チェック実行]ボタンをクリックします。このとき、自動相殺は選択月までの累積の金額で相殺が行われます。累積で相殺を行う場合は、自動相殺を実行したい最終月を指定してください。
自動相殺を行うと、月の選択画面に自動相殺の実行日が表示されます。
特定の月で自動相殺を実行した場合に、その特定月の前月以前に自動相殺を実行される場合はご注意ください。その特定月の前月以前で自動相殺を実行してしまうと、後の月で相殺すべき金額は、当初相殺した金額と異なることになります。再度、自動相殺をやり直す必要があります。 - 「チェック実行」を行うと、福祉 freeeで自動相殺すると同時に選択月の末日でfreee会計に「振替伝票」で仕訳が自動で登録されます。自動連携で登録された仕訳には、備考欄に「内部取引自動相殺」と記載されています。また、使用する勘定科目は、「資金勘定」です。「資金勘定」を使用することで会計 freeeの勘定科目の残高には影響しないようにしています。
複数回、自動相殺を実行する場合の注意点
同一の月で複数回、自動相殺を実行する場合
自動相殺を実行すると、freee会計に内部取引を相殺する仕訳が実行月に自動で登録されます。同一の月で2回目の自動相殺をする場合、1回目の自動相殺の仕訳を残したまま実行すると、追加で発生した内部取引分のみ自動相殺されます。総額で自動相殺をやり直したい場合は、freee会計に自動で登録された仕訳を削除し、「仕訳の取り込み」と「チェックリスト実行」を行ってから再度、自動相殺の処理を行う必要があります。
【削除の方法】
- [決算申告]メニュー → [振替伝票]をクリックします。
- 対象の日付を選択後(①)、摘要の「内部取引自動相殺」が付された仕訳にチェックを入れ(②)、[削除]ボタンをクリックします(③)。
複数の月で自動相殺を実行する場合
例えば、4月、5月と毎月自動相殺した場合、5月の自動相殺金額は、4月の自動相殺の結果を含めた累計金額で相殺を行います。5月に自動相殺後、4月の内部取引の仕訳を変更し、再度、自動相殺を実行すると、4月分の内部取引の結果が変わりますので、5月分の自動相殺も再度、実行する必要があります。その場合の4月分、5月分の自動相殺については、「 1. 同一の月で複数回、自動相殺を実行する場合 」を参考にしてください。
freee会計の貸借対照表との関係について
自動仕訳区分が「無」の場合
freee会計の仕訳登録時に展開仕訳(○○区分間貸付金と○○区分間借入金の債権債務仕訳)を登録しており、自動相殺仕訳をfreee会計へ自動連携することで、freee会計と福祉freeeの貸借対照表残高は一致します。
自動仕訳区分が「繰入取引」の場合
「貸借取引」が発生した場合は、freee会計で展開仕訳(○○区分間貸付金と○○区分間借入金の債権債務仕訳)を登録しており、自動相殺仕訳をfreee会計へ自動連携することで、freee会計と福祉freeeの貸借対照表残高は一致します。
自動仕訳区分が「貸借取引」の場合
「貸借取引」が発生した場合は、福祉freeeで貸借関係を発生させる仕訳(○○区分間貸付金と○○区分間借入金の債権債務仕訳)を登録しております。そのため、freee会計と福祉freeeの貸借対照表の残高が異なります。ただし、内部取引消去後の法人全体の貸借対照表は一致します。
自動相殺を実行すると、自動相殺仕訳がfreee会計へ自動で連携します。連携した仕訳は「資金勘定」という科目を使用しますので、○○区分間貸付金と○○区分間借入金の債権債務は、freee会計には発生しません。