固定資産の控除設定や累計額表示を切り替えた場合、これまでの減価償却費の合計額を相殺する振替仕訳を作成する必要があります。こちらのページでは、その相殺方法についてご案内いたします。
目次
振替仕訳が必要な理由
減価償却費は直接法 / 間接法によって、次のような仕訳の違いが生まれます。
-
間接法
(借方)減価償却費 ××× /(貸方)減価償却累計額 ××× -
直接法
(借方)減価償却費 ××× /(貸方)建物 ×××
また、同じ間接法の場合でも、累計額表示を科目別で行うかどうかでも仕訳が異なります。
-
共通
(借方)減価償却費 ××× /(貸方)減価償却累計額 ××× -
科目別表示
(借方)減価償却費 ××× /(貸方)建物減価償却累計額 ×××
これらの設定を年度途中で切り替えた場合、固定資産関連科目の期首残高は切り替え前のものとなっています。そのため、この期首残高を切り替え後に科目へと振替仕訳を行うことで正しい残高表示となります。
控除設定を切り替えた場合の振替方法
直接法から間接法に切り替えた場合
過年度では減価償却を「(借方)減価償却費 ××× /(貸方)建物 ×××」で計上しているため、過年度の減価償却の発生合計額にて「(借方)建物 ××× /(貸方)減価償却累計額 ×××」の振替仕訳を作成してください(仕訳の発生日は設定を変更した年度の期首日とします)。
間接法から直接法に切り替えた場合
過年度では減価償却を「(借方)減価償却費 ××× /(貸方)減価償却累計額 ×××」で計上しているため、過年度の減価償却の発生合計額にて「(借方)減価償却累計額 ××× /(貸方)建物 ×××」の振替仕訳を作成してください(仕訳の発生日は設定を変更した年度の期首日とします)。
累計額表示を切り替えた場合の振替方法
共通表示から科目別表示へと切り替えた場合
過年度では減価償却を「(借方)減価償却費 ××× /(貸方)減価償却累計額 ×××」で計上しているため、固定資産の科目毎の過年度減価償却発生合計額にて「(借方)減価償却累計額 ××× /(貸方)建物減価償却累計額 ×××」の振替仕訳を作成してください(仕訳の発生日は設定を変更した年度の期首日とします)。
科目別表示から共通表示へと切り替えた場合
過年度では減価償却を「(借方)減価償却費 ××× /(貸方)建物減価償却累計額 ×××」で計上しているため、固定資産の科目毎の過年度減価償却発生合計額にて「(借方)建物減価償却累計額 ××× /(貸方)減価償却累計額 ×××」の振替仕訳を作成してください(仕訳の発生日は設定を変更した年度の期首日とします)。
その他の注意点
部門毎に減価償却仕訳を計上している場合
固定資産登録時に部門を付与していたり、前の会計ソフトで部門毎に減価償却仕訳を計上をしていた場合は、振替の仕訳を科目残高ごとではなく、科目の部門残高ごとに振替することで、部門別残高の整合性も取ることが可能です。
(例)直接法から間接法に切り替える場合
直接法での減価償却費合計が
(借方)減価償却費[部門:A] 100 /(貸方)建物[部門:A] 100
(借方)減価償却費[部門:B] 200 /(貸方)建物[部門:B] 200
となっている場合
「(借方)建物 300 /(貸方)減価償却累計額 300」
の振替仕訳のみでは建物の貸方残高は相殺されますが、 建物[部門:A]は、貸方残高100が残ってしまいます。そのため
(借方)建物[部門:A] 100 /(貸方)減価償却累計額[部門:A] 100
(借方)建物[部門:B] 200 /(貸方)減価償却累計額[部門:B] 200
と振替仕訳を行うことで、部門残高も含めて相殺することが可能です。
無形固定資産について
無形固定資産については、間接法での減価償却が認められておりません。間接法に切り替えた場合も直接法で償却されますので振替仕訳作成の際にはご注意ください。