取引とは、事業に関わるお金の動き
会計では、法人や事業に関わるお金の動きを「取引」と呼び、簿記という基本ルールに従って日々の取引を記録していきます。この作業を「記帳」「帳簿付け」などといいます。
freeeで帳簿付けを行うときの基本の入力形式も「取引」といいます。ただし、複式簿記の「借方/貸方」という仕訳の形で入力する必要はありません。
取引の多くは、ある「A. 口座」に対して「B. 何かしらの名目で入金や出金があった」動きとして捉えることができます。この「B」の入出金の内容を表すのが勘定科目です。
例えば、「A. 会社の銀行口座」に「B. 売上の入金があった」ときや、「A. 社内の現金」で「B. 経費を支払った」とき、freeeでは、「A」に当たる口座と「B」に当たる勘定科目を適切に選ぶことで、簡単に取引を登録できるようになっています。
取引の主な入力項目
取引では、口座や勘定科目など、次のような項目を主に入力していきます。
実際に各項目をどのように入力するかは、第3章以降で確認していきましょう。
項目 |
入力内容 |
詳細 |
---|---|---|
収支 |
収入・支出 |
口座に対してお金が入ってきたのか、出ていったのかを選択します。 |
決済状況 |
未決済・完了 |
収入・支出が発生した日に実際にお金が動いたかどうかを選択します。 動いていれば完了を選択します。 実際のお金の動きがまだなくても、その見込みが立った時には未決済を選択して取引を登録します。 |
口座 |
金融機関名など |
(決済状況が「完了」の場合のみ) どの口座に入出金があったのかを選択します。銀行口座のほか、現金、クレジットカードなど、お金の出入口を口座と呼びます。 |
発生日 |
2022-01-01など |
その取引が発生した日付を入力します。 |
決済期日 |
2022-01-31など |
(決済状況が「未決済」の場合のみ) この日までにお金が動くという予定の日付を入力します。 |
勘定科目 |
売上高、消耗品費など |
その入出金がどのような名目かを入力します。 |
取引先 品目・部門・メモタグ |
◯◯株式会社、電気料金、東京支社など |
勘定科目の内訳や詳細情報を補足で入力します。 |
金額 |
100,000円など |
実際に動いた、または、動く予定の金額を入力します。 |
例:売上10万円を現金で受け取った
【取引の入力画面(決済:完了)】
例:売上10万円分の請求書を送付した
【取引の入力画面(決済:未決済)】
以降の参考は、主に他社会計ソフト等で仕訳形式で記帳を行っていた方向けの内容となります。
従来仕訳形式での記帳を行っていない方は、次のページに進んでも問題ありません。
参考:仕訳と取引の違い
取引から見た仕訳との大きな違いは、A. 登録時に貸借の記帳が不要であること、B. 決済ステータスがあることです。
一見すると、A「貸借の記帳が不要」=「簿記を知らない人でも記帳できる」という点に目が行きがちですが、より重要なのはBの「決済ステータスがある」ことです。
「決済ステータスがある」ことで、売掛金や買掛金等の精緻な管理や消込の自動化が可能となり、業務効率化へつながります。
取引と仕訳の持つ売掛金・買掛金等の管理用項目
項目 | freeeの取引 | 従来の仕訳 |
---|---|---|
日付 |
〇 |
〇 |
金額 |
〇 | 〇 |
勘定科目 | 〇 | 〇 |
決済状況 | 〇 | ― |
期日 | 〇 | ― |
発生と決済のデータ紐づけ | 〇 | ― |
仕訳のみでは、売掛金・買掛金等の管理が難しい
売上高のうちまだお金を受け取っていない分を「売掛金」、仕入高のうちまだ支払っていない分を「買掛金」と呼びます。他の未収入金や未払金を含めて「債権」「債務」と呼ぶこともあります。
例えば取引先に請求書を発行して代金は後日受け取るなど、お金が後で動く場合、会計では「①請求書を発行したとき(取引の発生)」と「②入金があったとき(決済)」の両方を記録する必要があります。
仕訳には「どの売掛金がいつ回収できるか?入金された売掛金はどれか?」を把握するのに必要な期日や決済状況の情報がなく、①発生と②決済の仕訳を紐付けることもできません。
そのため、別途エクセルなどで売掛金等の管理を行う必要がありました。
支払いにおいても同様で、「どの買掛金をいつ支払うべきか?支払った買掛金はどれか?」を別途管理する必要がありました。
freeeの取引では、売掛金・買掛金等の管理を行いやすい
freeeの取引は、仕訳にない「決済状況」「期日」「発生と決済データの紐づけ」の情報を持ち、1取引の決済状況に応じて仕訳を自動生成することで、従来の課題を解決します。
「決済状況」「発生と決済データの紐づけ」によって発生時と決済時の仕訳をまとめて管理し、「期日」もあることで、freee1つで回収漏れや支払い漏れを起こさないよう管理を行えます。
【取引の詳細画面での見え方】
発生から決済まで1つの取引の中で管理されていることを確認できます。
また、「仕訳形式プレビュー」で一連の発生仕訳を確認することが可能です。
参考
仕訳形式での入力が必要な場合は、[決算申告]メニュー →[振替伝票]の画面で振替伝票を登録する形で行えます。詳しくは、以下のヘルプページをご覧ください。
参考:取引で実現できる売掛金・買掛金管理
仕訳ベースで消込を行う場合、売掛金の合計と入金の合計だけの情報から、どの入金がどの売掛金に紐づくか、どの売掛金が未回収なのかがわかりにくく、確認のために調査工数がかかることがあります。
一方、freeeで消込を行う場合、取引単位で売掛金と入金情報を紐づけるため、未回収分の確認が容易で、売掛金の回収業務も効率的に行うことができます。
未回収の売掛金は「入金管理レポート」で、未払いの買掛金は「支払管理レポート」で一覧できます。
取引先別や期日別に残高を確認でき、将来の入出金管理にも活用できます。
詳しくは、次のヘルプページをご参照ください。
振替伝票で売掛金や買掛金が発生する仕訳を登録しても、入金管理・支払管理レポートには反映されません。freeeで入金や支払いの管理をしたいものについては、未決済の取引で登録しましょう。