商品の納品や役務の提供が完了する前にその対価が支払われた場合には、売り手は「前受金」や「前受収益」として、買い手は「前払金」や「前渡金」として処理します。
これは、費用や収益を発生主義で計上するための処理となりますが、のちに適切なタイミングで収益や費用、資産勘定などに振替えることが必要です。
目次
一度計上した「前受金」等の振替は、いくつかの方法で行うことができます。 次の例にそってご案内します。
例:
A. 30万円の備品を販売するときに前受金を受領した
・9月1日に前受金として100,000円が三井住友銀行口座に振り込まれた。
・10月1日に商品の納品が完了し、その際に残りの200,000を現金で受領した。
B. 200万円の営業車を取得するときに前渡金(前払金)を支払った
・9月10日に手付金として200,000円をりそな銀行から支払った。
・10月10日に残りの1,800,000円をりそな銀行から支払った。
※ 「前受金」等の勘定については、予め使用できるように設定しておきます。
前払い分を複数行取引の控除行で振替える場合
一部金額が前払いされるケースでは、こちらの処理が最もカンタンです。
A. 前受金の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月1日の入金を「前受金」勘定で登録します。
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)三井住友(法人) 100,000 (貸)前受金 100,000
2. 10月1日の発生日で、「取引」→「取引の一覧・登録」から「詳細登録」機能を用いて複数行の取引を登録します。 控除項目の行は、[控除・マイナス行を追加]ボタンから追加できます。
【仕訳】
(借)前受金 100,000 (貸)売上高 300,000
(借)現 金 200,000
なお、仕訳はレポートの「仕訳帳」から確認できます。
B. 前渡金(前払金)の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月10日の出金を「前渡金」勘定で登録します。 (個人事業主の事業所では、「前払金」勘定を用います)1
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)前渡金 200,000 (貸)りそな(法人)(API) 200,000
2. 10月10日の発生日で、「自動で経理」から複数行の取引を登録します。 控除項目の行は、[控除・マイナス行を追加]ボタンから追加できます。
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)車両運搬具 2,000,000 (貸)りそな(法人)(API) 1,800,000
(貸)前渡金 200,000
なお、仕訳はレポートの「仕訳帳」から確認できます。
前払金・前受金などを連携アプリで振替える場合
連携方法
1. アプリストア上のアプリページから[連携]ボタンをクリックします。
2. freeeにログインした状態で、[許可する]ボタンをクリックします。
入力方法
1. アプリの[新規取引登録]ボタンより前受/前払に関する情報を入力します。
項目 | 必須 | 詳細 |
---|---|---|
収支 | - | 収入/支出のどちらかを選択します。 |
決済 | - | 未決済/完了のどちらかを選択します。 |
口座 | ○ | ※ 決済が「完了」の時のみ表示 口座を選択します。 |
発生日 | ○ | 経過勘定が発生した日付を入力します。 |
期日/決済日 |
決済が「未決済」の場合 決済が「完了」の場合 |
|
経過勘定科目 | ○ | 「前受金」、「前払金」など経過勘定となる勘定科目を選択します。 |
金額 | ○ | 「前受金」、「前払金」など経過勘定の金額を半角で入力します。 |
取引先 品目 部門 メモタグ セグメント |
- | 各種タグ情報を選択します。 ※ 入力時に付与した各種タグは、経過勘定の振替仕訳にも全て反映されます。 |
振替先勘定科目 | - | 経過勘定を振替する時の勘定科目を選択します。 |
振替先税区分 | - | 経過勘定を振替する時の税区分を選択します。 |
備考 | - | 取引に関するメモなどを任意で入力します。 |
按分期間 | ○ | 按分する期間を選択します。1〜36ヶ月の範囲内で選択可能です。 |
作成される取引例
例:年額120,000円の前受金を4月1日から、按分期間12か月で登録する場合
1. アプリから次の内容で取引を作成します。
- 発生日:4月1日
- 経過勘定科目:前受金
- 振替先勘定科目:売上高
- 按分期間:12(か月)
- 金額:120,000(円)
- 口座:現金
2. 発生日(4月1日)にて、「現金/前受金」の仕訳となる取引が作成されます。
3. 発生日(4月1日)の当月から12か月分、それぞれの末日付けで、経過勘定を振替する「前受金/売上高」の仕訳となる+更新が作成されます(端数が発生する場合は最終月の金額で調整を行います)。
2回目以降の起動
2回目以降はこちらをクリックして、アプリ起動することができます。
※ セッション切れで連携許可を求められた場合は、再び許可してください。
前払い分を「+更新」で振替える場合
「+更新」(勘定の振替機能)についての詳細は、こちらからご確認ください。
A. 前受金の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月1日の入金明細について「前受金」として登録します。
※ 口座を同期していない場合、「取引の一覧・登録」から処理いただいて差し支えありません。
【仕訳】
(借)三井住友(法人) 100,000 (貸)前受金 100,000
2. 「取引」→「取引の一覧」から上記取引を選択し、10月1日の日付で「前受金」を「売上高」に更新します。
【仕訳】
(借)前受金 100,000 (貸)売上高 100,000
3. 10月1日の入金について、「取引の一覧・登録」から「売上高」として登録します。
【仕訳】
(借)現 金 200,000 (貸)売上高 200,000
B. 前渡金(前払金)の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月10日の出金を「前渡金」勘定で登録します。 (個人事業主の事業所では、「前払金」勘定を用います)
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)前渡金 200,000 (貸)りそな(法人)(API) 200,000
2. 「取引」→「取引の一覧・登録」から上記取引を選択し、10月10日の日付で「前渡金」を「車両運搬具」に更新します。
【仕訳】
(借)車両運搬具 200,000 (貸)前渡金 200,000
3. 10月10日の支払いについて、「自動で経理」から「車両運搬具」として登録します。
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)車両運搬具 1,800,000 (貸)りそな(法人)(API) 1,800,000
前払い分を振替伝票で振替える場合
A. 前受金の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月1日の入金明細について「前受金」として登録します。
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
2. [決算](または[確定申告])→[振替伝票]から「前受金」を「売上高」に振替える伝票を、10月1日を発生日として作成します。
【仕訳】
(借)前受金 100,000 (貸)売上高 100,000
3. 10月1日の入金について、「取引の一覧・登録」から「売上高」として登録します。
【仕訳】
(借)現 金 200,000 (貸)売上高 200,000
B. 前渡金(前払金)の処理
1. 「自動で経理」に上がってくる、9月10日の出金を「前渡金」勘定で登録します。 (個人事業主の事業所では、「前払金」勘定を用います)
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)前渡金 200,000 (貸)りそな(法人)(API) 200,000
2. [決算](または[確定申告])→[振替伝票]から「前渡金」を「車両運搬具」に振替える伝票を10月10日を発生日として作成します。
【仕訳】
(借)車両運搬具 200,000 (貸)前渡金 200,000
3. 10月10日の支払いについて、「自動で経理」から「車両運搬具」として登録します。
※ 口座を同期していない場合、「取引を登録」から処理します。
【仕訳】
(借)車両運搬具 1,800,000 (貸)りそな(法人)(API) 1,800,000