継続的に利用する高額(10万円以上)なものを固定資産といいます。例えば、営業用に車を購入した場合など、固定資産をローンを組んで購入した場合は、借入金の登録と固定資産の登録を行う必要があります。
ここでは、一連のローン処理の流れをご案内します。
目次
このページでは、以下の例に沿って記帳の手順をご案内します。
例:
2014年10月1日に営業車400万円を購入するため、ローンを組みました。
購入時に頭金40万円を払い、残り360万円をローンとしています。
毎月末に11万円(元本10万円、利子1万円)を36回払いで返済します。
支払は、事業用に利用している三井住友銀行から行います。
ローンで購入した固定資産を計上する
まずは、固定資産を購入したことと、ローンを組んだことを記帳します。
1. 頭金の支払いを登録します。(頭金がない場合は1-2.に進みます。)
【銀行と同期している場合】
[取引]→[自動で経理]を開き、頭金の40万円の出金明細を選択し、勘定科目「車両運搬具」で支出取引を登録します。
【銀行と同期していない場合】
[取引]→[取引を登録]を開き、40万円の頭金の支出を手動で登録します。
2. 車の購入代金を支出として登録します。
自動で経理をご利用の場合も、そうでない場合も、[取引]→[取引を登録]を開き、車の購入代金の支出を勘定科目「車両運搬具」を登録します。
頭金の登録をした方は、頭金を除いた金額で取引を登録します。頭金がない方は購入金額の全額を登録します。
3. ローンを組んだ、という情報を登録します。
自動で経理をご利用の場合も、そうではない場合も、[取引]→[取引を登録]を開き、「長期借入金」を登録します。金額は1-2と同額に設定します。
※この時「取引先」にローン会社を設定しておくと、ローンの残高管理がしやすくなります。(後述)
以上の操作をすることで、「まずは頭金40万円を払い、残りの360万円はローンを組んだ(=お金を借りた=長期借入金を得た) 」ことを記帳できます。
固定資産を台帳に登録する
次に、固定資産台帳に登録をします。この時、耐用年数(何年で減価償却するのか)や事業利用比率(プライベートと兼用する場合、何割を事業のために使うのか)を設定できます。
- [決算申告](または[確定申告])→[固定資産台帳]を開き、[+固定資産の登録]をクリックします。
- 購入した固定資産の情報を入力します。
各項目の入力内容については、個人事業主の方は「 【個人】固定資産を登録する(固定資産台帳) 」、法人の方は「 【法人】固定資産を登録する(固定資産台帳) 」のヘルプページをご参照ください。
※「取得価格」には、頭金の有無に関係なく、購入代金の全額(例の場合は400万円)を入力します。
※プライベートと兼用する場合は、「事業利用比率」を100%未満に設定します。
例)走行距離の30%がプライベート用→事業利用比率70% - 台帳に登録すると、期末に自動で減価償却の計算が行われますので、固定資産台帳メニューより内容を確認します。
ローンの返済を記帳する
月々の返済時を記帳していきます。ポイントは、引き落とし金額の明細を「元本(長期借入金)の返済」と「利息の支払」の両方を含む取引として登録することです。
銀行と同期している場合
- [取引]→[自動で経理]を開き、返済分の出金明細の[取引登録]タブに切り替えます。
- [+行を追加]ボタンをクリックし、2行にします。
- 追加した行に、以下のように入力して[登録]ボタンをクリックします。
- 1行目:勘定科目を「長期借入金」とし、元本の金額(例の場合は10万円)を入力します。
- 2行目:勘定科目を「支払利息」とし、利息の金額(例の場合は1万円)を入力します。
※利息にも家事按分を適用する場合は、特定の品目を設定しておきます。(後述)
銀行と同期していない場合
- [取引]→[取引を登録]→[詳細登録]をクリックします。
- [新しい行を追加]をクリックし、2行にします。
- 追加した行に、以下のように入力して保存します。
- 1行目:勘定科目を「長期借入金」とし、元本の金額(例の場合は10万円)を入力します。
- 2行目:勘定科目を「支払利息」とし、利息の金額(例の場合は1万円)を入力します。
※利息にも家事按分を適用する場合は、特定の品目を設定しておきます。(後述)
参考:ローンの残高を管理するには
ローンを計上する際と、返済する際、取引の「取引先」欄にローン会社名を入力しておけば、個別に残高を管理できます。
[レポート]→[試算表:貸借対照表]→表示するタグ[取引先]とすればローン会社別の借入金を表示して残高を管理できます。詳しくは「試算表(損益計算書・貸借対照表)を確認する - 試算表を開く」のヘルプページもあわせて ご参照ください。
参考:家事按分の対象となる固定資産を購入した場合の支払利息
家事按分の対象となる固定資産(自宅兼事務所など)を購入した場合、借入金返済時の支払利息は家事按分の対象となります。
勘定科目「支払利息」の取引に「営業車ローン利息」などの品目を設定しておき、その勘定科目と品目を対象とした家事按分を登録します。
家事按分について詳しくは「 家事按分を登録する 」のヘルプページをご覧ください。
参考:日々の作業を効率化!記帳をラクにする口座同期の活用方法
オンラインバンキングやクレジットカード、その他サービスのログイン情報を登録(同期)することで、記帳(取引登録)を効率化することができます。
取り込んだ明細を自動で記帳(取引登録)するだけでなく、記帳が漏れるリスクを減らすこともできますので、経理処理の効率化にぜひご活用ください。
詳しくは「 日々の作業を効率化!帳簿付け・記帳の経理業務をラクにする口座同期の活用方法 」のヘルプページをご覧ください。
参考:残価設定型自動車ローンの会計処理
1.「残価設定型自動車ローン」とは?
数年後の買取保証額(下取予定額)を据え置き、残りの金額を分割払いすることができるローン形態です。
買取保証額(下取予定額)の支払いを最終支払時まで据え置くことで、月々の支払負担を軽くすることができるのが特徴です。
2.「残価設定型自動車ローン」の会計処理
通常のローンと大きく異なる会計処理はありませんが、残価設定期間到来時の車両の処理によって、会計処理が異なることがあります。以下に詳しくご説明します(※モデルケースおよび仕訳は一例です)。
【モデルケース】
|
2-1.残価設定車両購入時の仕訳
<仕訳例>
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
車両運搬具 | 3,000,000円 | 長期未払金 | 3,000,000円 |
通常、固定資産の取得に係る付随費用は、固定資産(車両)の取得原価に含めて仕訳を行います。
ただし、一部の付随費用については取得原価に含めないことができます。詳しくは国税庁の「 No.5400 減価償却資産の取得価額に含めないことができる付随費用 」のページをご覧ください。
※本ケースでは、便宜上付随費用を含んだ金額を「3,000,000円」として設定しています。
2-2.割賦支払時の仕訳
<仕訳例>
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
長期未払金 | 70,000円 | 普通預金 | 70,000円 |
月々の支払いを普通預金から行なった場合の仕訳は、上記のとおりとなります。
※70,000円=(3,000,000円-480,000円)÷36か月
2-3.残価設定期間到来時の仕訳
残価設定期間到来時の車両の取扱いは、メーカーにより異なる場合があります。
代表的な取扱い例として、次の3つを挙げてご説明します。
(A)車両を継続して使用する場合の仕訳
<仕訳例>
借方 |
貸方 | ||
---|---|---|---|
長期未払金 | 70,000円 | 普通預金 | 70,000円 |
残価設定期間が到来したが、継続して使用するために引き続き同じ金額の割賦金を支払う場合の仕訳は上記のとおりです。
(B)車両を売却する場合(購入しない場合)の仕訳
<仕訳例>
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
長期未払金 | 480,000円 | 車両運搬具 | 3,000,000円 |
減価償却累計額 | 2,200,000円 | ||
固定資産売却損 | 320,000円 |
本ケースの場合、査定価額(残価設定)が480,000円に対して、売却する車両の帳簿価額が800,000円であるため、320,000円の固定資産売却損を計上します。
(C)車を売却する場合(購入しない場合)で追加の支払いが必要なときの仕訳
<仕訳例>
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
長期未払金 | 480,000円 | 車両運搬具 | 3,000,000円 |
減価償却累計額 | 2,200,000円 | 現金 | 200,000円 |
固定資産売却損 | 520,000円 | - |
本ケースは、査定価額(残価設定)が480,000円に対して、売却する車両の帳簿価額が800,000円であり、さらに、200,000円の追加支払いが発生した場合です。
ここで発生した追加支払いは「固定資産売却損」に含めて計上します。
※以上の内容は会計処理の一例であり、お客様の固有の事業環境やケースによっては、会計処理の方法が異なる場合があります。
詳しくはお近くの税理士、税務署へお問い合わせください。