対象プラン
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法人プラン | |||
個人プラン | スターター | スタンダード | プレミアム |
確定申告を行う際、本年度分の損失を翌年度以降へ繰り越すことができます。これを損失申告といい、第四表(一)(二)のそれぞれに必要事項を転記して行います。(確定申告書第一表・第二表への転記も必要です)
※事業の赤字を翌年度以降に繰り越す場合は、損失が出た年度に青色申告を行う必要があります。ここでは、損失申告の概要と、第四表への転記方法をご紹介していきます。
目次
損失申告の意味とメリット
確定申告を行う際、本年度分の損失を来年度以降へ繰り越すことができます。繰り越した損失は、翌年以降の所得から差し引くことができます。
例:
-
2021年度の所得金額はマイナス100万円(赤字)だったため所得税は発生しなかった。
-
翌2022年度の所得金額は150万円(黒字)だった。
損失申告を行わなかった場合、2022年度では150万円の利益(所得)に対して所得税が課税されます。
しかし、赤字となった2021年度に損失申告を行っていれば、2022年度では差し引き50万円(2022年の黒字150万円から、2021年の赤字100万円を差し引いた金額)の所得に対して課税され、支払う税金は少なくなります。
これが損失申告の意味とメリットです。
対象の損失 | 損失申告 できる 確定申告 |
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---|---|---|---|---|
損失の呼称 |
損失の説明 |
白色 | 青色 | |
純損失 |
変動所得の損失 | 事業所得や雑所得のうち、以下のものが赤字だった場合の損失
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〇 | × |
被災者事業用資産の損失 | 震災などによって事業所得者の資産に生じた損失 | ○ | × | |
居住用財産に係る譲渡損失 | 居住用財産の譲渡において損益の通算をしても控除しきれない損失 | ○ | ○ | |
その他 | 事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の損失のうち、損益の通算をしても控除しきれない金額 | × | ○ | |
雑損失 | 生活に必要な資産について災害・盗難・横領を受けた場合の損失 (雑損控除として控除しきれず、かつ保険金などで補填しきれない損失) |
○ | ○ |
各損失の詳しい定義や適用条件などは、国税庁「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」をご参照ください。
損益通算について
翌年以降に繰り越すことができる損失額(赤字)は、本年度中の他の所得で生じた所得金額(黒字)と差し引いても残る損失額のみです。この差し引きを「損益通算」と呼びます。
例えば、2022年の事業所得が100万円の赤字でも、同じ年の不動産所得で100万円以上の黒字が出ているならば、そこで赤字が相殺されます。よってこの場合は、翌年度以降へ繰り越せる事業所得の損失はありません。
なお、損益通算については白色申告の場合でも行うことができます。(損益通算の結果残った損失分を翌年度に繰り越すには、青色申告を選択する必要があります)
損益通算の対象となる所得は、下表のように損失の種類によって決められています。
所得の種類については、「所得の種類と記入方法について」のヘルプページをご覧ください。
赤字が発生した所得 | 黒字を差し引く順番 |
---|---|
事業所得 |
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不動産所得 | |
譲渡所得 |
|
山林所得 |
|
※「経常所得」とは、事業所得・不動産所得・利子所得・配当所得・給与所得・雑所得を合計したものを指します。
記入前の準備
添付書類を用意する
以下の損失について損失申告を行う場合は、添付書類を別途作成する必要があります。
国税庁「申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)」のページから書類のデータをダウンロードし、書類上の説明文を参照しながら必要事項を記入します。
損失の種類 | 損失申告時の添付書類 |
---|---|
被災者事業用資産の損失 |
申告書第四表(損失申告用)付表(特定非常災害の被災者の方用) |
収支ステップから損失額を入力する
経常所得の損失
- [確定申告]メニュー →[確定申告(所得税・消費税)]を開きます。
[所得税申告書類の作成]ボタン →「収支」ステップの「前年度に損失を繰越しましたか?」で「はい」を選択し、損失額の入力をします。
※ 前年度にfreeeで損失を繰り越している場合は[前年度の損失を取り込む]ボタンをクリックして、入力欄に反映することができます。入力した内容がある場合、上書きされますのでご注意ください。
※ 経常所得の損失以外については、収支ステップからではなく、確認ステップの[直接入力編集へ]に進み、直接入力します。詳しくは、本ページの「第四表の直接編集から損失額を入力する」の項目をご覧ください。 - 画面をスクロールし、対象年度、損失の種類ごとに金額を入力します。
転記する金額は、画面上のイメージを参考にしてください。
例)経常所得の損失の入力例
第四表の直接編集から損失額を入力する
経常所得の損失以外については、収支ステップからではなく、第四表から直接入力します。
- [確定申告]メニュー →[確定申告(所得税・消費税)]を開きます。
[所得税申告書類の作成]ボタン →「確認」ステップを開き、[直接入力編集へ]ボタンをクリックします。 - [確定申告書]タブ→[第一表の内容を編集]→[住所など基本情報を編集]の順に選択します。
- 「種類」欄で「損失」を「該当(手入力)」へ変更し、[保存]ボタンをクリックします。
- 第四表のタブが画面に表示されますので、クリックして開きます。
第四表に記入する内容については、国税庁「令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き」をご参照ください。 - 手引を参照の上、収支ステップでは入力しなかった損失について、項目ごとに入力します。
参考:前年度から繰り越された損失額を本年度の所得から差し引く場合で、翌年以降に繰り越す損失額がない場合
本年度の所得から差し引く、前年度から繰り越された損失額を、第一表の「本年分で差し引く繰越損失額(63)」に記入します。翌年以降に繰り越す損失額がない場合、第四表の転記は不要です。
詳しくは、国税庁「本年分で差し引く繰越損失額がある方の記載例」の記入例をご覧ください。
【その他の記入例】
以下に、国税庁サイトで掲載されている、ケースごとの記入例をご紹介します。
ご自身のケースに当てはまる記入例がある場合は、そちらをご参照ください。
- 青色申告の方で、事業所得の計算上生じた純損失の金額を翌年以後に繰り越す場合
- 事業所得の計算上生じた損失のほかに一時所得がある方で、純損失の金額を翌年以後に繰り越す場合
- 申告をする必要がある所得が事業所得のみの方で、被災事業用資産の損失の繰越控除を受ける場合
- 給与所得について年末調整を受けた方で、前年分から繰り越された居住用財産の買換え等の譲渡損失額を本年分の所得から控除してもなお翌年以後に繰り越す損失額がある場合
- 申告をする必要のある所得が事業所得のみの方で、雑損失の金額を翌年以後に繰り越す場合
- 翌年以後に繰り越される純損失等がある方で分離課税の先物取引に係る雑所得がある場合
参考:前年度に損失申告を行なっていないが、本年度の所得から損失分を差し引きたい場合
前年度に損失が発生していても、その年度に損失申告を行なっていない場合は、本年度の所得からその損失を差し引くことはできません。
お近くの税務署または専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。
参考:公的年金等の雑所得がある方の留意点
公的年金以外の所得がある方で次に該当する場合には、第四表の作成上留意する点があります。
- 事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の計算上生じた損失金額があり、その損失金額を他の所得と通算する場合(※1 損益通算の計算書で計算する場合を除く)
この場合には、「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」を算定するために、第四表に所得金額をもれなく登録する必要があります。
これにより年金に関する所得の金額がただしく計算されますので、以下の画面を参考に所得金額や損失金額の登録をします。
当期に生じた損失を他の所得と通算しきる場合で前期から繰り越した損失がない場合には、第四表ではなく損益の通算の計算書を作成します。
(※1)損益の通算の計算書は現在freee会計では対応していません。その場合には税務署に確認の上、明細書を別途作成し提出します。