このページでは、銀行からの借入やキャッシングなど、資金を借り入れて返済するまでの記帳方法についてご紹介します。
資金の借入と、返済および利息支払の取引をそれぞれ登録することで正しく記帳できます。
目次
本ページでご説明する会計処理は、freeeが提供する公式アプリ「借入金管理アプリ」を利用することで、よりカンタン・便利に行うことができます。まずはfreee公式アプリをぜひご利用ください。
勘定科目「短期借入金」と「長期借入金」の違い
借入金の勘定科目は、「短期借入金」と「長期借入金」の2種類に分かれます。
会計のルールでは、資金を借り入れた日の翌年度の期首日から起算して1年以内に支払期限が到来するものは「短期借入金」、1年を超えて支払期限が到来するものは「長期借入金」に分類することになっています。
例:
① 会計期間:1月1日〜12月31日
② 借入日 :2015年7月1日
③ 支払期限:2016年12月31日
例えば上記の場合、①借入日の翌年度の期首日は「2016年1月1日」で、③支払期限である「2016年12月31日」はその日から1年以内ですので、「短期借入金」として計上します。
借り入れを記帳する
銀行などの明細を取り込んで「自動で経理」で記帳する場合も、手動で取引を登録する場合も、以下のように記帳します。
【登録内容】
- 収支:収入
- 決済状況:完了(手動で取引を登録する場合)
- 取引日(発生日):資金を借り入れた日
- 勘定科目:「短期借入金」または「長期借入金」(支払期限に応じて選択)
- 金額:借り入れた金額
- 取引先:任意入力ですが、入力しておくことで取引先ごとの借入金残高が管理しやすくなります。
自動で経理をご利用の場合
借入金が振り込まれたら[取引]メニュー →[自動で経理]を開き、当該明細から上記の【登録内容】で取引を登録します。
手動で取引を登録する場合
借入金が振り込まれたら[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]を開き、上記の【登録内容】で取引を登録します。
返済を記帳する
借り入れた資金の返済は、借り入れ時と同じ勘定科目で支出取引を登録することで借入金を返済したものとして記帳されます。
また、多くの場合、借入金には利息が発生しますので、勘定科目「支払利息」の取引も同時に登録します。
具体的には、以下のように登録します。
【登録内容】※2行の取引を登録します。
- 収支:支出
- 決済状況:完了(手動で取引を登録する場合)
- 口座:返済額が引き落とされた口座
- 取引日(発生日):借入金を返済した日
- 取引先:任意入力ですが、借り入れ時の取引と同じ取引先を入力しておくことで、取引先ごとの借入金残高が管理しやすくなります。
- 1行目
- 勘定科目:「短期借入金」または「長期借入金」(借り入れ時と合わせる)
- 金額:返済金額のうち、元本の金額 - 2行目
- 勘定科目:「支払利息」
- 金額:返済金額のうち、利息の金額
自動で経理をご利用の場合
- 返済分を振り込んだら[取引]メニュー →[自動で経理]を開きます。
- [取引登録]タブを開きます。
- 借入時に登録した取引の「取引先」欄に返済先の名前を入力していた場合は、同じ名前を「取引先」欄に入力します。
- [+行を追加]ボタンをクリックします。
- 取引内容の入力欄が2行になるので、上記【登録内容】の通りに入力します。
- 明細との差額が0円であることを確認して、[登録]ボタンをクリックします。
手動で取引を登録する場合
- 返済分を振り込んだら[取引]メニュー →[取引の一覧・登録]を開きます。
- [詳細登録]ボタンをクリックします。
- 借入時に登録した取引の「取引先」欄に返済先の名前を入力していた場合は、同じ名前を「取引先」欄に入力します。
- [+行を追加]ボタンをクリックします。
- 取引内容の入力欄が2行になるので、上記【登録内容】の通りに入力します。
- [登録]ボタンをクリックします。
キャッシング・カードローンを利用した場合
クレジットカードでキャッシングやカードローンを利用した場合、以下のいずれかの方法で処理します。
キャッシングの返済が年度をまたぐ場合は前者、年度をまたがない場合は後者が、効率的に処理できる方法となります。
クレジットカードの明細を無視する方法
- 借入をした時は、現金決済・短期(または長期)借入金勘定の収入取引を登録します。この時、クレジットカードのキャッシング明細を取り込んでいた場合は、「無視」をします。
- 返済をした時は、以下のように登録します。
- ショッピングの利用分は、「振替元:引き落とし先の銀行口座」「振替先:クレジットカード」の口座振替
- キャッシングの返済分は、「手数料」欄に返済を入力し、詳細編集で勘定科目を「短期(または長期)借入金」に変更
- 利息の支払い分は、「手数料」欄の詳細編集で行を追加して、勘定科目を「支払利息」として利息額を記入
例えば、ショッピング利用の支払が30,000円、キャッシング返済20,000円(うち500円が利息)という場合、以下のような登録になります。
【返済を手動で登録する場合】
- ショッピング利用分:口座振替
- キャッシング返済(元本):「短期(または長期)借入金」
- キャッシング返済(利息):「支払利息」
【返済を明細から登録する場合】
クレジットカードの明細から登録する方法
- 借入をした時は、「振替元:クレジットカード」「振替先:現金」で口座振替を登録します。
- 返済をした時は、通常のクレジットカードの処理と同様、「振替元:引き落とし先の銀行口座」「振替先:クレジットカード」「金額:返済金額の元本分」で口座振替を登録します。
利息は「手数料」欄に金額を入力し、手数料の詳細設定で勘定科目を「支払利息」に変更します。 - 年度末時点で未返済の借入残高があった場合は、その金額で「クレジットカード/短期(または長期)借入金」という仕訳の振替伝票を年度末付にて登録します。
- 年度末時点で未返済の借入残高があった場合は、翌年度の期首日付で、同額の逆の仕訳の振替伝票も登録します。
参考:勘定科目の候補に借入金が出てこない場合
2014年8月以前にfreeeに事業所を登録した方は、勘定科目の入力時に「長期借入金」「短期借入金」が候補として出てくるように設定する必要があります。
設定方法の詳細は「勘定科目の設定・追加を行う」のヘルプページをご覧ください。
参考:借入金の残高を確認する
資金を借り入れる際の収入取引と返済する際の支出取引のそれぞれに、取引先として返済先の名前を入力しておけば、返済すべき残高を個別に管理することができます。
具体的には、以下のように操作することで残高を確認できます。
- [レポート]メニュー →[試算表:貸借対照表]を開きます。
- 「〇〇借入金」行をクリックし、[取引先別]をクリックします。
- 各取引先の数値を確認します。それぞれ以下のようになっています。
- 「借方金額」列の金額 = 返済した金額
- 「貸方金額」列の金額 = 借り入れた金額
- 「○年-○月末」列の金額 = 返済すべき残高
参考:不動産所得に関連する支払利息
不動産所得の青色申告決算書に反映させるため、「[不]借入金利子」という勘定科目で処理します。
参考:長期借入金から短期借入金への振替
長期借入金については、期末において残高の把握をするとともに、その事業年度末から一年以内に返済する部分について短期借入金に振り替える必要があります。
翌事業年度に返済すべき金額を把握するとともに、振替伝票で振替処理を行います。
例:長期借入金300万円のうち、60万円を短期借入金に振り替えた
借方 | 貸方 | ||||
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勘定科目 | 税区分 | 金額 | 勘定科目 | 税区分 | 金額 |
長期借入金 | 対象外 | 600,000 | 短期借入金 | 対象外 | 600,000 |
振替伝票については「振替伝票を作成する(仕訳形式で記帳する)」のヘルプページをご参照ください。
参考:日々の作業を効率化!記帳をラクにする口座同期の活用方法
オンラインバンキングやクレジットカード、その他サービスのログイン情報を登録(同期)することで、記帳(取引登録)を効率化することができます。
取り込んだ明細を自動で記帳(取引登録)するだけでなく、記帳が漏れるリスクを減らすこともできますので、経理処理の効率化にぜひご活用ください。
詳しくは「日々の作業を効率化!帳簿付け・記帳の経理業務をラクにする口座同期の活用方法」のヘルプページをご参照ください。