値引きの記帳は、① 売上や仕入を直接減額する方法と ②「売上値引高」「仕入値引高」等の勘定科目を用いて記帳する方法があります。事業者毎の会計処理方式によって異なってきます。
値引きに関する記帳方法の種類
売上や仕入について値引きが発生した場合の記帳方法にはいくつかの方法があります。
- A. 値引き前の取引と同じ勘定科目(「売上高」や「仕入高」)を用いる方法
- B. 「売上値引高」や「仕入値引高」などの値引き用の科目を用いる方法
またBの場合、例えば、値引きした目的が販売促進のためのものである場合などには、その値引き分を「販売促進費」勘定として経理することも考えられます。
つまり、売上値引高や仕入値引高という勘定科目にとらわれずに、目的に応じた勘定科目を選択することも考えられます。
値引き前の取引と同じ勘定科目で記帳する方法
ある収入取引に対して値引きが発生した場合、同じ勘定科目で支出取引を登録することで減額することができます。同様に、支出取引に対する値引きは、同じ勘定科目の収入取引を登録します。
例:
ABC商店から205,000円分の雑貨を購入し、勘定科目「仕入高」の取引を納品日の6月10日を発生日として下図のように登録した。なお、決済条件は月末締め翌月20日払いである。
その後、5,000円を値引きしてもらった内容で7月3日に請求書を受領した。
【事前準備】収支逆の場合に税区分を使用可能にする
freeeの初期設定では「課対仕入」の収入や「課税売上」の支出が登録できないため、まずはそれが使用できるように設定します。
- [設定]→[税区分の設定]より、使用したい税区分の編集ボタンをクリックします。(例:課税売上)
- 必要になる検索項目にチェックを入れて[保存]ボタンをクリックします。
値引き前の取引と同じ勘定科目で記帳する(仕入の値引きの例)
値引きが確定したタイミングで、登録済みの取引に対して「+更新」を登録し、仕入高を減額します。(「+更新」機能の詳細はこちら)
- [取引]→[取引の一覧]から当該の取引を選択し、「決済」欄の「+更新」をクリックします。
- 「更新する行を選択」ウィンドウが表示されたら、再度「+更新」をクリックします。
- 値下げ金額分を「仕入高」勘定(元の取引と同じ勘定科目)で登録します。
【仕訳】
借方 貸方 勘定科目 金額 勘定科目 金額 買掛金 5,000 仕入高 5,000
「売上値引高」「仕入値引高」で記帳する方法
上記の方法の他に、「売上高」「仕入高」に対する値下げに勘定科目「売上値引高」「仕入値引高」を用いて記帳する方法もあります。
※「売上値引高」や「仕入値引高」以外の勘定科目を用いる場合でも、以下と同様の手順により取引の登録を行います。
例:
6月19日にフリー商事に対して100,000円分の商品を売り上げ、請求書を発行、勘定科目「売上高」の取引を下記のように登録した。
後日、交渉の結果、値下げ10,000円を行うことになり、修正した金額の請求書を7月6日に再発行した。
【事前準備】値引き用の税区分を使用可能にする
値引き分の取引を勘定を分けて経理処理する際は、値引き用の税区分を用います。
freeeの初期設定では値引き用の税区分が使用できないようになっているため、まずはそれが使用できるように設定します。
- [取引]→[取引の一覧]を開き、値引きが発生した取引の税区分を確認します。
- [設定]→[税区分の設定]より、「(1.の税区分)にかかわる対価の返還」と説明されている税区分の編集ボタンをクリックします。
- 「この税区分を使用する」にチェックを入れて[保存]ボタンをクリックします。
「売上値引高」「仕入値引高」で記帳する(売上の値引きの例)
- [設定]→[勘定科目の設定]をクリックします。
- 「売上値引高」という勘定科目の編集ボタン(ペンマーク)をクリック後、「検索での表示」にチェックを入れて保存します。(「仕入高」に対する値引きが発生した場合は、同様の方法で「仕入値引高」という勘定科目を検索で表示されるようにします。)
- 値引きが確定したタイミングで、登録済みの取引に対して「+更新」を登録し、売掛金を売上値引高へ振替えます。(「+更新」機能の詳細はこちら)
[取引]→[取引の一覧]から当該の取引を選択し、「決済」欄の「+更新」をクリックします。
- 「更新する行を選択」ウィンドウが表示されたら、再度「+更新」をクリックします。
- 値下げ金額分を「売上値引高」勘定(元の取引に対する値引き勘定科目)で登録します。
【仕訳】
借方 貸方 勘定科目 金額 勘定科目 金額 売上値引高 10,000 売掛金 10,000
参考:「+更新」の機能を用いない場合
複数の取引に分けて記帳することも可能となっています。
この場合は、決済登録時に複数の取引に対して決済を登録することになります。
参考:値引きを赤伝取引として記帳する
freee会計では、2021年6月より赤伝取引の登録に対応し、新たに次の2つが行えるようになりました。
-
マイナス金額による収入 / 支出 未決済取引の登録:
未決済取引においては、取引金額がマイナスになる場合でも収入 / 支出 が逆転せず、それぞれ「マイナスの収入未決済取引」や「マイナスの支出未決済取引」として登録することができます。 -
赤伝用相手勘定科目の使用:
収入用 / 支出用相手勘定科目に同一の勘定科目(赤伝用科目)が設定できるようになったため、未決済取引の中にマイナス取引が含まれていても、正しく債権債務の把握ができます。
これにより、より直感的に取引を登録したり、適切な債権債務管理ができるようになります。
詳細は「 登録済みの未決済取引に対して返品・返金(赤伝)の仕訳を登録する 」をご覧ください。