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freee会計のエンタープライズプランでは、固定資産で減損が発生した場合に、減損損失額を固定資産台帳に登録することで、減損損失とその後の減価償却費の記帳を自動で行うことができます。
ここでは、固定資産の減損登録のしかたについてご紹介します。
※ エンタープライズプラン以外をご利用の方は、「固定資産の減損処理(減損会計)を行う(エンタープライズプラン以外をお使いの方)」のヘルプページをご覧ください。
目次
減損とは
減損とは、固定資産に対して投資した金額を回収できないと認識した時点で、その固定資産の価値を減少させることです。
投資金額は本来何年もかけて回収するべきで回収(=収益)と減価償却費が対応する関係にありますが、その将来の回収が見込まれないと判断された場合、回収可能な金額まで帳簿価額を減額することになります。
この減額分を減損損失として認識します。freeeでは減損損失額を固定資産台帳に登録することで、減損損失とその後の減価償却費の記帳を自動で行います。
【モデルケース】減損損失額の計算例
2019年1月1日に次の固定資産を取得し固定資産台帳に登録しました。なお、当社の会計期間は1月〜12月の1年間です。
- 取得年月日(事業供用開始年月日):2019年1月1日
- 取得価額:2,000,000円
- 償却方法:定額法
- 耐用年数:10年
- 残存価額:ゼロ円
2019年度から2021年度までの減価償却額および帳簿価額は次のとおりでした。
- 2021年12月31日までの減価償却累計額:600,000円
- 2019年度の減価償却費:200,000円(2,000,000円 ÷ 10年)
- 2020年度の減価償却費:200,000円(2,000,000円 ÷ 10年)
- 2021年度の減価償却費:200,000円(2,000,000円 ÷ 10年)
- 2021年12月31日時点での帳簿価額:1,400,000円(2,000,000円 - 600,000円)
2021年12月31日時点において減損の兆候が認められたため、この固定資産の簿価を 回収可能価額:300,000円 まで減額させることになりました。
- 減損損失額:1,100,000円(1,400,000円 - 300,000円)
減損を登録する
固定資産に対する減損の登録手順は次のとおりです。
減損登録時のご注意
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減損処理の回数:
減損処理は一資産につき一度のみ行うことができます。 -
減損登録ができない期間:
固定資産の減損は事業供用開始日を含む初年度に行うことはできません。翌年度以降に登録が可能です。 -
減損登録ができないケース:
次のいずれかのケースでは減損登録ができませんのでご注意ください。- 償却済み または 除却済みの場合
- すでに減損が登録されている場合
- 償却期間の短縮が登録されている場合
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減損の操作ができる権限:
減損の操作は次のいずれかの権限を有するメンバーのみ実行可能です。- デフォルト権限:「管理者」
- カスタム権限:「固定資産台帳」の「更新」権限がオンの権限セット
- [決算申告]メニュー → [固定資産台帳]を開きます。
- 減損を登録したい固定資産をクリックして詳細画面を開きます。
- 画面右上の[処理]ボタン → [減損]をクリックします。
- 減損処理に必要な情報を入力する画面が表示されます。必要事項を入力し[確定] ボタンをクリックし減損内容を確定させます。
各入力内容は下表のとおりです。
項目名 詳細 計上日 当年度において減損損失を認識した日を入力します。
この日まで、減損処理以前の減価償却費が発生します。減損後の帳簿価額 減損後の回収可能価額を入力します(減損時点の未償却残高と同額 または それを超える金額、あるいはマイナス金額を入力することはできません)。
ここで入力した金額と計上日時点の帳簿価額との差額が減損損失として登録されます。残りの償却期間 減損処理と同時に残りの償却期間を見直すことができます。
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残りの償却期間を見直す場合:
[変更する]チェックボックスにチェックを入れ、見直し後の残りの耐用年数を入力します。
なお、この時入力する年数は「減損計上日から償却完了までの年数」であることにご注意ください(取得日から償却完了までの年数ではありません)。また、もともとの残りの償却期間よりも大きな値を入力することはできません。 -
残りの償却期間を見直さない場合:
[変更する]のチェックボックスにはチェックをせず、他の項目の入力に進みます。
減損処理の控除法 減損損失を認識した場合に、貸借対照表上でどの勘定科目に計上するかを設定することができます。「直接控除法」および「間接控除法」の指定は、「固定資産の設定」で指定した控除法 が自動的に選択されます。
さらに「間接控除法」では、減損損失額を「減価償却累計額」勘定に含めるか、「減損損失累計額」勘定に集計するかを選択することができます。
損金に算入 税務計算上の固定資産の評価損について、[損金不算入]または[損金算入]のいずれかから選択することができます。
原則として固定資産の評価損は損金不算入であり、例外的に損金算入が認められています。税務上の処理方法についてご不安な場合は、顧問税理士様などの専門家の方へご相談ください。メモ 減損の発生事由や根拠となる資料の情報、関連URLなどをメモする場合などに利用することができます。 -
残りの償却期間を見直す場合:
登録した減損を確認する
減損登録を行った固定資産の詳細画面では、減損情報や減損損失を計上した仕訳等を確認することができます。
減損情報を確認する
- 減損登録した固定資産の詳細画面を開き、「償却情報」欄の「会計年度」項目を減損登録した年度に切り替えます。
- 「減損情報」欄から下表の各種情報を確認することができます。
項目名 詳細 減損の計上日
減損を計上した日付が表示されます。 減損の控除方法 減損を計上した際の控除法が、「直接控除法」または「間接控除法」のいずれかで表示されます。
減損後の帳簿価額 回収可能価額が表示されます。 減損前の償却の基礎となる金額 減損前の帳簿価額が表示されます。 減損前の耐用年数 減損処理前の耐用年数が表示されます。
減損後の耐用年数は会計台帳の「耐用年数」項目から確認することができます。当期減損損失額 当期に計上した減損損失額が表示されます。 損金に算入 減損を計上した際の損金への参入が、「する」または「しない」のいずれかで表示されます。 メモ 減損を計上した際にメモを入力していた場合、その内容が表示されます。
減損損失を計上した仕訳等を確認する
- 減損登録した固定資産の詳細画面を開き、「償却情報」欄の「会計年度」項目を減損登録した年度に切り替えます。
- 画面下部の「仕訳」欄から、減価償却費および減損損失の仕訳を確認することができます。
登録した減損を取り消す
登録した減損は、登録した年度内であれば取り消すことができます。減損を取り消す手順は次のとおりです。
- [決算申告]メニュー → [固定資産台帳]を開きます。
- 減損を取り消したい固定資産をクリックして詳細画面を開きます。
- 画面右上の[処理]ボタン → [減損を取り消す]をクリックします。
- 「減損を取り消す」の確認メッセージが表示されます。減損を取り消しても問題がない場合は[取り消す]ボタンをクリックします。
参考:会計上の見積りの変更に基づいて償却期間を短縮する
償却期間の短縮を登録する
会計上の見積りの変更に基づいて償却期間の短縮を要する場合には、任意の償却期間に短縮することができます。
操作手順は次のとおりです。
償却期間短縮時のご注意
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償却期間短縮の回数:
償却期間の短縮は一資産につき一度のみ行うことができます。 -
償却期間の短縮が登録できない期間:
固定資産の償却期間の短縮は、事業供用開始日を含む初年度に行うことはできません。翌年度以降に登録が可能です。 -
登録ができないケース:
次のいずれかのケースでは減損登録ができませんのでご注意ください。- 償却済み または 除却済みの場合
- すでに償却期間の短縮が登録されている場合
- 減損が登録されている場合
- [決算申告]メニュー → [固定資産台帳]を開きます。
- 償却期間を短縮させたい固定資産をクリックして詳細画面を開きます。
- 画面右上の[処理]ボタン → [償却期間の短縮]をクリックします。
- 償却期間の短縮に必要な情報を入力する画面が表示されます。必要事項を入力し[確定] ボタンをクリックし内容を保存します。各入力内容は下表のとおりです。
項目名 詳細 計上日 償却期間の短縮を行う日付を入力します。
この日まで、償却期間の短縮処理以前の減価償却費が発生します。残りの償却期間 残りの償却期間を入力します(もともとの残りの償却期間よりも大きな値を入力することはできません)。 税務台帳 償却期間の短縮を税務台帳に反映させるかどうかを選択します。
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反映しない:
反映しない場合に選択します。税務台帳に反映しないため、会計台帳と税務台帳との間で差異が発生します。 -
反映する:
反映する場合に選択します。会計台帳と税務台帳の双方に反映させて計上します。
メモ 償却期間の短縮の発生事由や根拠となる資料の情報、関連URLなどをメモする場合などに利用することができます。 -
反映しない:
償却期間の短縮を取り消す
登録した「償却期間の短縮」は、登録した年度内であれば取り消すことができます。操作手順は次のとおりです。
- [決算申告]メニュー → [固定資産台帳]を開きます。
- 「償却期間の短縮」を取り消したい固定資産をクリックして詳細画面を開きます。
- 画面右上の[処理]ボタン → [償却期間の短縮を取り消す]をクリックします。
- 「償却期間の短縮を取り消す」の確認メッセージが表示されます。償却期間の短縮を取り消しても問題がない場合は[取り消す]ボタンをクリックします。
減損 または 償却期間の短縮を登録時の注意点
このセクションでは減損登録にまつわる注意点についてまとめております。
減損損失および耐用年数短縮の登録可能タイミングについて
減損損失および耐用年数短縮は、freeeに固定資産を登録し償却開始した翌年度から登録可能になります。
減損損失および耐用年数短縮の登録可能タイミング例
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(例1)3月決算の会社で、2019年2月に取得し2019年4月に償却開始した固定資産の場合:
2020年4月以降 減損損失および耐用年数短縮の登録が可能になります。 -
(例2)3月決算の会社で、2016年3月に取得し償却開始した固定資産を2019年4月に登録した場合:
2020年4月以降 減損損失および耐用年数短縮の登録が可能になります。
※ (例2)のように、freeeでの固定資産機能利用開始時などに過年度取得済みの固定資産を登録すると、当年度中は減損損失および耐用年数短縮の登録ができません。 事前に減損損失および耐用年数短縮の内容を反映させてからfreeeに固定資産を登録する ことで、正しく計算することができます。
減損 または 償却期間の短縮を行った年度よりも前の会計期間に「年度巻き戻し」を行う場合
現在の会計期間以降に減損 または 償却期間の短縮を行った固定資産が存在する場合、「年度の巻き戻し」を行うことができません。その場合は、登録済みの減損 または 償却期間の短縮を取り消してから、再度「年度の巻き戻し」を実行ください。
減損済みの固定資産にさらに減損を登録したい場合
一度減損を登録した固定資産に対し、さらに減損を登録することはできません。1つの固定資産に複数回の減損を登録したい場合は、一度その 固定資産を除却 し、再度新しい固定資産として登録し直してから減損処理を行ってください。