対象プラン
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法人プラン | ミニマム | ベーシック | プロフェッショナル | エンタープライズ |
個人プラン | スターター | スタンダード | プレミアム |
固定資産を売却した場合、固定資産台帳にて「売却」の登録をしたのち、「入金」の登録などを行います。
個人事業主の場合、売却損益が譲渡所得にあたるかどうかを考慮する必要があります。
本記事は【個人】プラン向けのヘルプページです。【法人】の場合については「 【法人】固定資産の売却を記帳する 」をご覧ください。
目次
固定資産売却の概要
固定資産売却の三要素を把握する
固定資産売却の一連の流れは、次の三要素から構成されます。
- 固定資産の「売却」処理
- 売却代金の「入金」を登録
- 「損益」相当部分(事業主勘定)の振替処理
これら三要素の詳細については「 固定資産売却を登録する大まかな流れ 」にて、モデルケースを挙げながらご説明します。
2022年2月以前に固定資産の「売却」を記帳していた方へ
2022年2月以前は、固定資産の「売却」機能はなく、「除却」機能による代替処理が必要でした。
2022年3月からは本ページで紹介する固定資産の「売却」機能が標準搭載され、従来よりもわかりやすくスムーズに一連の取引が登録できるようになります。
固定資産売却を登録する大まかな流れ
固定資産の売却をfreeeで登録する場合、「 固定資産売却の三要素を把握する 」で説明している三要素をステップ別に分けて登録作業を行います。
ここではモデルケースを挙げて、具体的な登録処理についてご説明します。
【モデルケース】
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A. 売却した固定資産について:
- A-1. 売却対象資産:パソコン(工具器具備品)
- A-2. 売却時点でのパソコンの帳簿価額:100,000円
- A-3. 売却時、固定資産の同額を「事業主 借 」(借方)として認識する
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B. 売却代金の入金について:
- B-1. 売却代金:110,000円
- B-2. 入金日:売却日と同日
- B-3. 入金先銀行口座:つばめ銀行
- B-4. 入金時、売却代金と同額を「事業主 借 」(貸方)として認識する
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C. 売却損益相当部分について:
- C-1. 売却損益:10,000円の益( 売却代金 110,000円 - 帳簿価額 100,000円 )
※ 譲渡所得に該当するため、事業所得としては計上しない。 - C-2. 事業主勘定(事業主 貸 および 事業主 借)は決算時において、最終的に相殺され、差額は自動的に「元入金」勘定へ組み入れられる
- C-1. 売却損益:10,000円の益( 売却代金 110,000円 - 帳簿価額 100,000円 )
ステップ | ステップの内容 | freee上での処理 | 登録される仕訳 | ||||||||||||||||
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1 |
【売却時】 「売却」の登録をする |
固定資産台帳画面にて、売却対象固定資産に対し、「売却」処理を登録します。 |
売却時の 帳簿価額全額 を、一旦 事業主借(借方) として認識します。
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2 |
【入金時】 「入金」の登録をする |
「自動で経理」画面等にて、入金された売却代金に対し、「入金」処理を登録します。 |
入金された売却代金全額 を、 事業主借(貸方) として認識します。
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3 |
【決算時】 事業主勘定の振替をする |
ステップ1およびステップ2の登録が適切に行われると、「事業主 借 」勘定の借方 または 貸方のいずれかに差引残高が発生します。 この「事業主 借 」勘定の差引残高は「事業主 貸 」勘定の残高とともに、最終的には、「所得税青色申告決算書」内の「貸借対照表」上で、適切に相殺処理されます。 よって決算時に行う操作は、特にありません。 |
本モデルケースのみで発生する事業主勘定を相殺する場合、自動的に次の仕訳が切られます。
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固定資産の売却を記帳する
ここでは、固定資産単体を売却した場合の具体的な登録手順をご説明します。ステップごとの操作手順は以下のとおりです。
STEP1. 固定資産の「売却」処理をする
売却対象の固定資産に対して「売却」の処理を行います。操作手順は次のとおりです。
- [確定申告]メニュー → [固定資産台帳]をクリックします。
- 売却対象の固定資産をクリックし、詳細画面を開きます。
- 詳細画面右上の[処理]ボタン → [除却・売却]をクリックします。
- 「除却・売却」画面の各項目を指定し、[保存]ボタンをクリックします。各項目の詳細は下表のとおりです。
項目名 詳細 処理 [売却]にチェックを入れます。 償却設定 売却時点の帳簿価額について、次のいずれかにチェックを入れます。
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売却した日まで月割で減価償却する:
売却時点までの減価償却費を月割りで計上する場合に選択します。この場合、売却時点の帳簿価額は、期首残高に売却時点までの減価償却費が考慮されます。 -
期首の帳簿価額で売却する(減価償却なし):
期首時点の帳簿価額で売却したものとし、売却時点までの減価償却費を計上しない場合に選択します。結果的に、売却時点までの減価償却費は「事業主 借 」に加味されます。
売却した日 会計期間内の日付で、売却した日付を入力します。 「売却の仕訳を作成する」チェックボックス 売却の仕訳を作成する場合にチェックを入れます。チェックを入れた場合、売却時の損益相当額がどのように発生したかにかかわらず、次のような仕訳が作成されます。
特別な事情がない限りは、チェックを入れた状態で「売却」処理をすることをオススメします。
【例1】売却時点での帳簿価額 50,000円( 事業利用割合:100% )の工具器具備品について、「売却」の仕訳を作成した場合
借方 貸方 勘定科目 金額 税区分 勘定科目 金額 税区分 事業主 借 50,000 対象外 工具器具備品 50,000 対象外 【例2】売却時点での帳簿価額 50,000円( 事業利用割合:75% )の工具器具備品について、「売却」の仕訳を作成した場合
借方 貸方 勘定科目 金額 税区分 勘定科目 金額 税区分 事業主 借 37,500 対象外 工具器具備品 50,000 対象外 事業主 貸 12,500 対象外 固定資産の売却による損益が、事業所得ではなく譲渡所得で認識されるよう、ここでは事業主勘定(事業主 借 )を使用します。
なお、事業・プライベート兼用の固定資産に対して「売却」処理を行なった場合、【例2】のように「事業主 借 」勘定に事業分、「事業主 貸」勘定にプライベート分が、それぞれ2行にわたって仕訳が切られます。
-
売却した日まで月割で減価償却する:
STEP2. 売却代金の「入金」を登録する
固定資産の売却代金について「入金」を登録します。操作手順は次のとおりです。
※ ここでは、同期している銀行口座に売却代金が入金されたと仮定し、「自動で経理」画面からの登録方法をご説明します。
- [取引]メニュー → [自動で経理]をクリックします。
- 表示された明細から、固定資産の売却代金にあたる明細をクリックします。
- 勘定科目に「事業主 借 」を選択しその他任意の項目を入力の上、[登録(Ctrl + Enter)]ボタンをクリックします。
※ ここでは、売却時の損益がどのように発生したかにかかわらず、入金額全体に対し「事業主 借 」勘定を登録します。これにより、次のような仕訳が作成されます。
【例】売却代金 100,000円について、「入金」の仕訳を作成した場合
借方 貸方 勘定科目 金額 税区分 勘定科目 金額 税区分 〇〇銀行 100,000 対象外 事業主 借 100,000 対象外(※) ※ 消費税課税事業者の場合、税区分は「課税売上10%」に変更する必要があります。
「 STEP1. 固定資産の「売却」処理をする 」で「売却」の仕訳を登録している場合、両者の仕訳内の「事業主 貸 」および「事業主 借 」が相殺された差額が発生します。この差額が最終的に「 STEP3. 「損益」相当部分(事業主勘定)の振替処理をする 」にて、適切に処理されます。
STEP3. 「損益」相当部分(事業主勘定)の振替処理をする
「 STEP1. 固定資産の「売却」処理をする 」および「 STEP2. 売却代金の「入金」を登録する 」の操作により、事業主勘定(事業主 貸 および 事業主 借 )にそれぞれ残高が発生します。
これらの残高は、固定資産の売却以外に生じたものも含め、確定申告書類作成時に自動的に相殺され、「元入金」勘定に加減されます。
よって、 決算時に特段の操作を行う必要はありません。
特別なケースの登録方法
ここでは、特別なケースにおける登録方法についてご説明します。
固定資産を下取りに出し新たな固定資産を購入するケース
古くなった固定資産を下取りに出し、新たな固定資産を購入する場合もあります。この場合、一連の流れにおいて次の2つの取引が同時に行われたものとして捉えることができます。
- A. 旧固定資産を下取り価格で売却した取引
- B. (売却代金をもって)直ちに新固定資産を購入した取引
以下、車両を購入した場合を例に、新車両の購入日別にモデルケースを2つ挙げてご説明します。
【モデルケース1】下取りと新車両購入が同日に行われた場合
帳簿価額 50万円の旧車両(事業利用割合:100%)を40万円で下取りに出し、 下取りと同日に 販売価格 100万円の新車両を購入した。販売価格と下取り価格との差額は分割で支払うこととした。
[A. 旧固定資産を下取り価格で売却した取引]
番号 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
① 売却 | 事業主借 ( ※1 ) |
500,000 | 車両運搬具(旧) | 500,000 |
② 入金 | 現金 ( ※2 ) |
400,000 | 事業主借 ( ※1 ) |
400,000 |
[B. (売却代金をもって)直ちに新固定資産を購入した取引]
番号 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
③ 購入 | 車両運搬具(新) | 1,000,000 | 現金 ( ※2 ) |
400,000 |
未払金 | 600,000 |
- ※1:「①売却」および「②入金」の「事業主 借 」勘定(借方・貸方)の金額が、売却した会計年度に計上されることにより、損益相当額が確定した状態となります。
- ※2:「②入金」および「③購入」の「現金」勘定は、「下取り価格分を現金で受け取り、直ちにその金額を新車両の購入に充てた」とみなすことで発生するものであり、実取引上や仕訳上は無視(相殺)することができます。
【モデルケース2】下取りが先で新車両購入が後日に行われた場合
帳簿価額 50万円の旧車両(事業利用割合:100%)を40万円で下取りに出し、 後日に 販売価格 100万円の新車両購入した。販売価格と下取り価格との差額は分割で支払うこととした。
[A. 旧固定資産を下取り価格で売却した取引]
番号 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
① 売却 | 事業主借 ( ※1 ) |
500,000 | 車両運搬具(旧) | 500,000 |
② 入金 | 未収入金 ( ※2 , ※3 ) |
400,000 | 事業主借 ( ※1 ) |
400,000 |
[B. (売却代金をもって)直ちに新固定資産を購入した取引]
番号 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 | |
③ 購入 |
車両運搬具(新) ( ※4 ) |
400,000 | 未収入金 ( ※2 , ※3 ) |
400,000 |
車両運搬具(新) ( ※4 ) |
600,000 | 未払金 | 600,000 |
- ※1:「①売却」および「②入金」の「事業主 貸 」勘定 および 「事業主 借 」勘定が、売却した会計年度に計上されることにより、損益相当額が確定した状態となります。
- ※2:「②入金」および「③購入」の「未収入金」勘定は、「下取り価格分を『あとで新車両の購入代金に充てられる権利』として受け取り、後日 直ちにその金額を充てた」とみなすことで発生するものであり、実取引上や仕訳上は無視(相殺)することができます。
- ※3:「②入金」によって発生した「未収入金」の決済は、「③購入」段階で 決済の「+更新」機能 から新車両の下取り価格充当分のみを「車両運搬具」勘定として振り替えます。
- ※4:(※3に関連し)新車両販売価格から下取り価格を差し引いた残額は、「未払金」勘定にて計上します。これにより、新車両の「車両運搬具」の取得価額は2つの取引に分割されることとなります(両取引には共通のタグや備考を入力するなどし、関連性をあとからでも確認できるようにすると便利です)。
固定資産の一部のみを売却したケース
本ページで紹介している固定資産の売却機能は、単一の固定資産の一部のみを売却するケースは想定しておりません。そのようなケースで本機能を用いる場合、一旦売却する固定資産全体を「売却」処理し、未売却部分は、「 【個人】固定資産を登録する(固定資産台帳) 」のヘルプページを参考に、再度 取得の取引登録および固定資産台帳への登録等が必要となりますのでご注意ください。
固定資産台帳から売却状況を確認する
固定資産の売却状況は、固定資産画面の各所で確認することができます。売却状況が確認できる箇所は次のとおりです。
また、管理している固定資産が多い場合は、[条件を設定]ボタンから「ステータス」が「売却済」であるものを絞り込み表示することもできます。
固定資産台帳一覧画面
固定資産台帳の一覧画面では、[一覧切替]の「簡易一覧」および「詳細一覧」にて、「売却済」であることを確認できます。
【簡易一覧】
「ステータス」列に「売却済」表示と売却年月が表示されます。
【詳細一覧】
「備考」列に「売却済」と表示されます。
固定資産詳細画面
売却済み固定資産の詳細画面を開くと、画面左上に「売却済」表示と売却年月が表示されます。
売却済み固定資産のインポート・エクスポート
ここでは、売却済み固定資産のインポート方法や、売却済み固定資産がエクスポートデータ上どのように表示されるかについてご説明します。
売却済み固定資産のインポート
固定資産のインポートに際してインポート項目を次のように設定すると、「売却済」ステータスの固定資産をfreeeに取り込むことができます。
- 「減少事由」項目:「売却」と入力
- 「減少年月日」項目:売却日(「西暦4ケタ-月2ケタ-日2ケタ」の形式)を入力
また、 減価償却費仕訳の作成設定 にて「計上する」を選択してインポートすると、売却日までの減価償却費が計上された上で、さらに「 売却 」の仕訳も自動的に登録されます。
売却済み固定資産のエクスポート
固定資産台帳の情報は、CSV形式やPDF形式でエクスポートできます。それぞれの出力データにおいて、売却された旨は次の項目にて確認することができます。
【固定資産 月次残高一覧CSV】
- 年月項目:売却された年月に「売却済」と表示されます。
【固定資産 詳細一覧CSV】
- 「摘要」項目:「売却済」と表示されます。
【固定資産台帳CSV】
- 「摘要」項目:「売却済」と表示されます。
- 年月項目:売却した年月に「売却済」と表示されます。
- 「売却日」項目:売却日(「西暦4ケタ-月2ケタ-日2ケタ」の形式)が表示されます。
【資産別固定資産減価償却内訳表PDF】
- 「備考」項目:「売却済」と表示されます。
「売却」処理を取り消す
一度「売却」処理した固定資産は、同じ年度内に限りその処理を取り消すことができます。「売却」処理を取り消す手順は次のとおりです。
- [確定申告]メニュー → [固定資産台帳]をクリックします。
- 「売却」処理を取り消したい固定資産をクリックして、詳細画面を開きます。
- 詳細画面 右上の[処理]ボタン → [売却を取り消す]をクリックします。
- 「売却を取り消す」確認画面が表示されます。
売却時の処理を取り消しても問題がなければ、[取り消す]ボタンをクリックします。
注意事項
「売却」できない固定資産について
固定資産の状況によっては「売却」できないものもあります。「売却」できない原因としては、次のものが考えられます。
【特定のステータスである場合】
- 償却済
- 除却済
【特定の償却方法で償却されている場合】
- 一括償却
- 少額償却
よくある質問
「売却」処理で登録された仕訳だけを検索することはできますか?
はい、できます。
「仕訳帳」画面上部の絞り込み欄から、「登録した方法」項目を「売却」に指定することで、「売却」処理により自動登録された仕訳のみを絞り込み表示することができます。
「売却」処理の取り消しができません。なぜですか?
現在の会計期間が、「売却」処理を実行した会計年度と異なっている可能性があります。「売却」処理の取り消しは、「売却」処理をした年度と同じ年度においてのみ行うことができる操作です。そのため、年度締めや年度巻き戻しを行い、「売却」処理をした会計年度に変更後、再度操作をお試しください。
「売却」処理の際、自動登録される仕訳ではなく手動で売却の仕訳を登録することはできますか?
はい、できます。
「除却・売却」画面の「売却の仕訳を作成する」チェックボックスからチェックを外すことで、その固定資産はステータスが「売却済」となりますが、仕訳は作成されません。その後、実際の売却取引に合わせて「振替伝票」から仕訳を登録ください。
なお、「振替伝票」で仕訳のみを作成し売却した固定資産に対して「売却」処理を行わなかった場合、その後も当該固定資産が台帳上に残り続け、実態上と帳簿上に不整合が生じる可能性がありますのでご注意ください。