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freee会計で登録した仕訳をfreee社会福祉法人に取り込み、資金収支計算書などの帳票を作成するための「仕訳展開」の仕組みおよび登録の仕方について説明します。
実際の仕訳登録の仕方は「【仕訳連携】仕訳をfreee会計で登録する」を参照してください。
目次
仕訳展開の概要
仕訳展開の仕組み
freee社会福祉法人において資金収支計算書などの書類を正しく作成するには、連携された仕訳が資金の動きを伴う「資金仕訳」であるかどうか、および部門区分を1本ずつ特定できる状態にする必要があります。
しかし、freee会計から取り込んだデータが複数の科目を組み合わせた状態のままだと、この判断が行えません。
そのため、一度単一の仕訳(1つの借方科目と1つの貸方科目だけの仕訳)に分割したうえで、それぞれの取引が「資金仕訳に該当するか」をチェックするという段階を踏んで処理を行います。この処理が「仕訳展開」です。
この「単一仕訳への分解」と「資金仕訳の判定」という一連のステップを進めるにあたり、重要となるのが仕訳行数と科目属性の2つの仕組みです。
仕訳行数から単一仕訳に分解する仕組み
freee会計から連携された仕訳が何対何の構成かを判定し、単一の仕訳に分解します。
| 仕訳行数の種類 | 構成 | 展開後 |
|---|---|---|
| 単一仕訳 | 借方1科目・貸方1科目 | 1本の仕訳として扱う |
| 複合仕訳(1対多) | 借方1科目・貸方複数科目(またはその逆) | 借方(または貸方)を分割し、複数本の単一仕訳に分解する |
| 複合仕訳(多対多) | 借方・貸方とも複数科目 | 同額どうしを対応させながら、複数本の単一仕訳に分解する |
振替伝票は、行ごとに借方・貸方の金額を上から比較し、金額が一致する間は単一仕訳、不一致になった行以降はまとめて複合仕訳として自動判定されます。
一度不一致になると、以降の行は個別に金額が合っていても同じ1つの仕訳として扱われ続けるため、1枚の伝票に複数の取引をまとめて入力すると、意図しない複合仕訳や、資金科目と非資金科目が混在してのエラーにつながることがあります。
振替伝票は、取引(仕訳)ごとに伝票を分けて入力することを推奨します。
例:以下のような振替伝票入力の場合、1行目と2行目は単一仕訳、3行目以降は多対多の複合仕訳として扱います。
5行目の仕訳も3行目以降の仕訳として使われるため、本来5行目は1つの単一仕訳として登録したくても、複合仕訳として扱われてしまいます。
|
仕訳の 単位 |
行 | 借方勘定科目 | 借方金額 |
借方タグ / 税区分 |
貸方勘定科目 | 貸方金額 |
貸方タグ / 税区分 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1仕訳 | 1 | 事業未収金 | 10,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 | 介護報酬収益/施設介護 | 10,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 |
| 1仕訳 | 2 | 消耗器具備品費 | 70,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 | 事業未払金 | 70,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 |
| 1仕訳 | 3 | 手数料 | 80,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 | 事業未払金 | 110,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 |
| 4 | 介護用品費 | 30,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 | (なし) | 0円 | - | |
| 5 | 保健衛生費 | 56,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 | 立替金 | 56,000円 | 特別養護老人ホーム / 対象外 |
「科目属性」から資金仕訳かを判定する仕組み
判定の材料になるのが、借方・貸方それぞれの科目に設定されている科目属性です。
この設定は勘定科目マスタから設定ができます。
| 科目属性 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 資金科目 |
資金収支計算書上、必ず「支払資金」として扱われる科目です。 科目マスタでは「資金収支科目あり(支払資金)」を指定します。 |
現金、預金 など |
| 共通科目 |
組み合わせ次第で資金仕訳にも非資金仕訳にもなる科目です。 科目マスタでは「資金収支科目あり」を指定します。 |
未収金、未払金 など |
| 非資金科目 |
資金の増減を伴わない科目です。 科目マスタでは「資金収支科目なし」を指定します。 |
減価償却費 など |
単一仕訳になった1本ごとに、借方科目の属性×貸方科目の属性の組み合わせを見て、資金仕訳か非資金仕訳かを判定しています。
資金収支計算書の作成時に、資金仕訳のうち収支に反映するものが集計されます。
| 借方 × 貸方 | 結果 | 資金収支計算書への反映 |
|---|---|---|
| 資金 × 資金 | 資金仕訳 | 資金同士の付け替えのため、収支には反映されない(相殺される) |
| 資金 × 共通 | 資金仕訳 | 収支に反映される |
| 共通 × 共通 | 非資金仕訳 | 反映されない |
| 共通 × 非資金 | 非資金仕訳 | 反映されない |
| 非資金 × 非資金 | 非資金仕訳 | 反映されない |
| 資金 × 非資金 | エラー | 組み合わせ不可(資金の増減と非資金取引が直接結びつくことはないため) |
資金科目と非資金科目の組み合わせはエラーになります。この組み合わせの仕訳がfreee会計から連携された場合は、仕訳の内容を見直してください。
複合仕訳(1対多・多対多)を単一仕訳に分解する際、パターンによっては内部的に「資金勘定」「諸口勘定」という仮の科目が使われます。これらは貸借対照表の仕訳データ上には実際に計上されますが、資金収支計算書上には表示されません。
取引登録時に気をつけるべきこと
ここまでの内容は、freee社会福祉法人がfreee会計から連携された仕訳を処理する仕組みの説明です。
実際に日々の取引を入力する際は、次の点を意識してください。
- 振替伝票は、取引(仕訳)ごとに伝票を分けて入力する:1枚の伝票に複数の取引をまとめて入力すると、意図しない複合仕訳として扱われたり、エラーの原因になります。
- 「資金勘定」「諸口勘定」という科目名が見えることがある:これらは複合仕訳を展開する際にシステムが内部的に使う一時的な科目で、資金収支計算書には表示されません。ご自身で仕訳の借方・貸方にこれらの科目を選んで入力する必要はありません。
- 勘定科目を追加するときは、科目属性の設定を確認する:属性の設定が誤っていると、資金仕訳の判定がずれたり、資金科目と非資金科目の組み合わせでエラーになることがあります。勘定科目を追加・変更した際は、属性を間違えずに設定してください。
連携前の設定:freee会計
消費税の設定
freee社会福祉法人では、消費税の経理処理は「税込経理」を基本としています。社会福祉法人会計基準では税込経理が採用されているため、通常はこの設定のままでご利用ください。
税抜経理にも対応していますが推奨はしていません。株式会社等の法人でご利用の場合は、法人の経理方針に合わせて設定してください。
課税方式について
簡易課税を選択している場合は、そのままご利用いただけます。
一般課税を選択している場合は、次の点にご注意ください。
- 収入のうち、消費税がかからない補助金・寄附金などの割合(特定収入割合)が5%を超える場合、freeeの申告機能では消費税額の調整計算に対応していません。該当する場合は、この計算に対応した申告ソフトのご利用をご検討ください。
- また、上記の補助金・寄附金などの収入を仕訳に入力する際は、税区分に「不課税」を選択してください(freeeには「特定収入」専用の税区分はありません)。
「特定収入」とは、国や地方自治体、社会福祉法人などが受け取る収入のうち、対価性のない(サービスの提供を伴わない)補助金や寄附金などのことです。一般の株式会社では意識することの少ない概念ですが、社会福祉法人などでは、この特定収入の割合に応じて消費税の計算に調整が必要になる場合があります。
介護保険収入などは、この「特定収入」には当たらず、消費税のかからない売上(非課税売上)として扱われます。
取引関連設定
freee社会福祉法人は部門別会計が前提の仕組みです。
freee会計側の設定が不十分だと、仕訳連携時にエラーになったり、部門ごとの残高が実態とずれることがあります。あらかじめ以下の設定をしておくことを推奨します。
freee会計の「事業所の設定」→「取引関連設定」から設定します。
| 設定項目 | 推奨設定 | 理由 |
| 内訳行ごとの取引先個別指定 | 使用する | 内部取引の相手先タグは、明細全体ではなく行ごとに指定する必要があるため、この設定をオンにしてください。 |
| 未決済取引の相手方科目へ付与するタグ | 部門 | 未決済取引(未払金・未収入金など)にも必ず部門が引き継がれるようにするための設定です。これをオフにしていると、未決済の相手科目に部門が付かず、仕訳連携時にエラーになります。 |
| 「品目・部門・メモタグ・セグメント」を「口座」に自動付与 | 設定する(口座にタグを事前設定する/相手勘定科目と同じタグを自動付与する) | 口座(現金・預金)にも部門が付くようにするための設定です。口座に部門がないと仕訳連携でエラーになります。 |
| 部門の入力 | 必須(全ての科目) | 部門別の会計が前提のため、すべての仕訳に部門が入力されるようにしてください。 |
口座の部門設定:2つの選択肢の違い
「口座にタグを事前設定する」と「相手勘定科目と同じタグを自動付与する」のどちらを選ぶかは、法人の口座の運用方法によって使い分けが必要です。
- 口座にタグを事前設定する:1つの口座を1つの部門に固定する方法です。本部の口座から一括して各拠点の経費を支払うなどの運用をする場合は、こちらが推奨です。
-
相手勘定科目と同じタグを自動付与する:口座を複数の部門で共有できる方法です。ただし、この設定では「経費の部門=口座の部門」として処理されるため、本部が口座残高を一括管理していても、帳簿上の口座残高が部門ごとに分散して表示され、実際の通帳残高と部門別の帳簿残高がずれて見えることがあります。
そのため部門をまたいだ資金移動が発生した場合は、口座振替の仕訳で部門を明示的に付け替える必要があります。
選択に悩む際は、単一の口座を複数の拠点やサービス区分で共用しているかを基準に判断してください。
各拠点で独立した口座を持つ運用であれば「口座にタグを事前設定する」、複数部門で同じ口座を使う運用であれば「相手勘定科目と同じタグを自動付与する」を選ぶのが一般的な判断指針となります。
連携前の設定:freee社会福祉法人
初期設定
仕訳連携を行う前に、freee社会福祉法人で以下3点の初期設定を完了させてください。
設定が完了していない場合、仕訳連携時にエラーになります。
- 部門タグの設定と、区分設定が完了していること
- 勘定科目の設定が完了していること
- freee会計側で入力する仕訳に、部門タグがすべて付与されていること
貸借取引と繰入取引について
仕訳連携をする前に、区分(部門)をまたぐ内部取引を連携時にどのように処理するか、あらかじめ設定します。
連携設定では「貸借取引」と「繰入取引」の2種類から選択できます。どちらも部門をまたぐ内部取引を自動的に区分間の科目へ振り替える仕組みですが、性質が異なります。
| 貸借取引 | 繰入取引 | |
|---|---|---|
| 処理方法 | 部門間のお金の貸し借りとして処理する | 部門間の収益・費用の付け替えとして処理する |
| 使う科目 | 区分間貸付金/区分間借入金 | 区分間繰入金収益/区分間繰入金費用 |
| 特徴 | 貸借対照表に貸付金・借入金の残高が残るため、部門間の資金移動を可視化・追跡しやすいことが特長です。 将来的に口座振替などで実際の資金を移動し、残高を精算することが前提の場合、こちらを設定してください。 |
単年度の収支として計上され、翌期に残高を残さない取引に使用します。 管理の手間は少ないですが、残高として残らないため、部門間の資金移動が見えにくくなることがあります。また事業によっては繰入額に上限があります。 |
保育園など、法令上そもそも区分間でのお金の貸し借りが認められていない事業では、意図的な部門間の負担の付け替えは「繰入取引」で処理するのが基本です。
一方、介護事業など資金使途の制限が比較的緩やかな事業や、1つの口座で一括管理している法人では、精算の手間を減らせる「繰入取引」を選びます。
連携設定
- 仕訳連携状況画面を開きます。
- 画面右上の[・・・]→「仕訳連携の設定」をクリックします。
- 仕訳連携の設定の処理方法を設定します。
freee社会福祉法人では、借方と貸方の区分が異なる仕訳を仕訳連携時に区分間取引として展開します。貸借取引とするか繰入取引とするかを設定します。 - [保存する]をクリックします。
- ホーム画面に戻り、[仕訳連携する]をクリックします。
この設定は事業所単位の設定です。仕訳ごとに貸借取引・繰入取引を使い分けることはできません。設定を変更すると、次回の仕訳連携時に、連携対象となるすべての仕訳の区分間取引が新しい設定で作り直されます。
仕訳連携の全体の流れ
仕訳連携〜資金収支計算書の作成までは、大きく次の流れで進みます。詳細は各項目のヘルプを参照してください。