一般的に、通帳残高や、決算報告書で表示させる帳簿残高を「残高」と云い、会計処理ではこの二つの残高を比較し付け合わせます。
会計freeeでは、銀行口座において、取引登録したものが会計帳簿の残高金額となります。
ここでは、会計freee上で表示できる残高について解説します。
- 「登録残高」:登録し記帳された金額から算出したfreeeの会計帳簿上の残高
また、銀行明細を取得する同期機能から明細上の残高を表示することも可能です。
- 「同期残高」:同期機能で銀行からfreeeに取得した明細の最終残高
(ホーム画面の口座名をクリックした後に小さく表示される「実残高」)
同期で明細の取得をしても明細から取引登録がされなければ、この2つの残高が一致しない場合もあります。
会計としては、登録残高が同期残高・通帳残高と合っていて初めて、実際のお金の動きを把握・管理できていることになります。
ズレが発生している場合は、「タイムライン」や「現預金レポート」を利用して修正しましょう。
※ クレジットカードの残高ズレの解消については、こちらをご参照ください。
※ 現金の残高ズレの解消については、こちらをご参照ください。
目次
- 残高のズレの原因を確認・修正する方法
- 同期履歴と帳簿への登録履歴を比較する(タイムライン)
- 残高の推移を通帳と照らし合わせる(現預金レポート) - 残高にズレが発生する主なケース
- 取引や口座振替が正しく登録されていない
- 開始残高が正しく設定されていない
- 取引を重複して登録している
- 未来の日付で取引や決済を登録している
- 同じ日付の明細の順番が前後している
- 取得できていない明細がある
- 明細を「無視」している
- 先方負担手数料が含まれる支払いで一括決済を行っている - 参考:期首残高がズレているが開始残高を設定できない場合
残高のズレの原因を確認・修正する方法
残高のズレの原因を確認・修正するには、以下のいずれかの手順で確認します。
- 同期をしている場合:
1.「タイムライン」で残高ズレの発生箇所を確認
2.対象の口座で絞り込んだ「現預金レポート」と通帳を照らし合わせながら修正 - 同期をしていない場合:
対象の口座で絞り込んだ「現預金レポート」と通帳を照らし合わせながら修正
ここでは、それぞれの機能のご利用方法をご紹介します。
同期履歴と帳簿への登録履歴を比較する(タイムライン)
口座を同期している場合は、口座の詳細画面にある「タイムライン」機能を活用することで、いつ、どのように、ズレが発生したのかを確認できます。
タイムラインは、[口座]→[口座の一覧]→確認したい口座の行をクリック→[タイムライン]タブをクリックすると表示できます。
タイムラインでは、最後に同期した時点の通帳残高(同期残高)が左に、freeeに記帳した金額の合計(登録残高)が右に表示されています。
この両者にズレが発生した月に▲マークが表示されています。
最初にズレが発生した月をクリックし、さらにズレが発生した日をクリックすると、ズレが発生した明細や取引の詳細を表示できます。
表示された明細や取引をクリックすると詳細を確認・編集できる画面が開きます。ズレが発生する主なケース(下記)を参照しながら、ズレを修正します。
なお、多くの場合、現預金レポートを利用したほうがスムーズに残高ズレを修正できます。
残高の推移を通帳と照らし合わせる(現預金レポート)
[レポート]メニューまたは口座詳細から開くことができる「現預金レポート」では、現預金の残高推移を確認できます。
表示する口座を絞り込むことで預金出納帳として利用できますので、銀行の通帳と照らし合わせやすくなります。
なお、残高ズレの原因として、取引の決済日が間違えて1年後の日付になっているケースもありますので、表示期間を数年分に広げるなどしてご確認下さい。
通帳に記載されていない入出金が表示されている場合は、余分な取引や決済を登録している可能性がありますので、その行をクリックして確認・修正します。
通帳に記載されている入出金が表示されていない場合は、取引や決済の登録が漏れている可能性がありますので、明細の取得漏れや登録漏れとあわせて確認します。
残高にズレが発生する主なケース
残高にズレが発生する原因は、様々なケースが考えられます。まずは以下のケースに該当するものがあるかどうかをご確認下さい。
取引や口座振替が正しく登録されていない
まずは「タイムライン」と「現預金レポート」の両方で残高の推移を確認し、取引や口座振替に登録漏れが無いかをご確認下さい。
特に、以下のケースが目立ちますので、登録漏れがないかを改めてご確認ください。
- freeeに登録している口座にプライベートの入出金が取り込まれた場合、その明細を「無視」してしまっている(参考ヘルプはこちら)
- 「現金を引き出した/預け入れた場合」「クレジットカードの引き落としが発生した場合」「銀行同士で資金を移動した場合」に、「口座振替」を登録していない(詳細はこちら)
- 同期している銀行同士で口座振替をした場合に、片方の明細を無視していない(詳細はこちら)
開始残高が正しく設定されていない
freeeの利用が一年目の場合は、開始残高(freeeを利用する最初の年度の期首残高)を設定する必要があります。
freeeの登録残高は、この「開始残高」に「取引」や「振替伝票」の金額を加算・減算して算出しますので、開始残高が未設定または間違っていると、正しい残高になりません。
開始残高の設定については、以下のヘルプページをご覧ください。
取引を重複して登録している
手動で取引を登録している場合に発生します。
- 「自動で経理」で取引を登録し、同じ取引を手動でも登録した
- freeeで請求書を作成した際に自動登録された取引と、同じ取引を手動でも登録した
- 同じ取引をふたつ手動で登録した
これらの場合は、どちらか片方の取引を削除する必要があります。
取引の削除については、以下のヘルプページをご覧ください。
未来の日付で取引や決済を登録している
取引の決済情報や口座振替を手動で登録した際に、決済日を誤って未来の日付にしてしまっている場合があります。
例えば、日付を「2016-09-30」としたつもりが「2017-09-30」になっている取引・口座振替がないか、現預金レポートの表示期間を数年分に広げるなどしてご確認下さい。
同じ日付の明細の順番が前後している
口座の明細を取得している場合、同じ日付の明細の順番が前後している場合があります。
最も期末に近い日付でその現象が発生していると、タイムラインなどで末日だけ残高がズレているような表示になってしまいます。
このケースのみに該当していて「現預金レポート」では残高が一致している場合、実際には残高は一致していることになりますので、登録内容の修正は不要です。
取得できていない明細がある
多くの銀行口座は、明細照会期間に上限があります。そのため、過去にさかのぼって取得できる明細は数ヶ月〜数年分に限られています。
同期エラーが明細照会期間を超えて発生したままになっていた場合、一部の明細が取得できていない可能性があります。
このケースの場合は、「現預金レポート」を通帳と照らし合わせることで、ズレの原因となる箇所を発見できます。
明細を「無視」している
「自動で経理」画面で、明細の「×」ボタンをクリック→「間違って登録された明細なので無視する」を選択した場合、その明細は「無視」されています。
「無視」された明細は「自動で経理」や「明細の一覧」画面から除外されますので、登録されるべき取引や口座振替が登録されないまま時間が経過してしまう可能性が高まります。
この場合、登録できなかった金額分のズレが発生することがあります。
明細を無視するのは、基本的に、明細が間違っている場合と銀行間の口座振替をした場合のみです。それ以外の場合は無視しません。
プライベート利用の場合はそれがわかるように記帳する必要があります。
詳しくは以下のヘルプページをご覧ください。
先方負担手数料が含まれる支払いで一括決済を行っている
インターネットバンキングに一括振込ファイル連携する機能を使用していて、ファイル作成と同時に[決済を作成する]にチェックを入れると未決済取引の消込も同時され、帳簿上の消込が総額で行われます。
振込手数料が振込日とは別日に引き落とされる契約となっていると、預金の実残高とにズレが生じます。
詳しくは以下のヘルプページをご覧ください。
参考:期首残高がズレているが開始残高を設定できない場合
開始残高の設定画面は、一度でも年度締めをしていると表示されません。
期首残高がズレているが開始残高の設定画面は開けないという場合、以下の処理を行います。
個人事業主の場合は、銀行口座の残高が正しい残高になるように、「取引を登録」メニューから、以下の取引を手動で登録します。
【現在の残高が正しい残高よりも超過している場合】
項目 |
入力内容 |
---|---|
収入/支出 |
支出 |
決済 |
完了 |
口座 |
対象の銀行口座 |
取引日 |
期首日(個人事業主の場合は1月1日) |
勘定科目 |
事業主貸 |
金額 |
正しい期首残高と現在の期首残高の差額 ※ |
(その他) |
空欄でOK |
【現在の残高が正しい残高よりも不足している場合】
項目 |
入力内容 |
---|---|
収入/支出 |
収入 |
決済 |
完了 |
口座 |
対象の銀行口座 |
取引日 |
期首日(個人事業主の場合は1月1日) |
勘定科目 |
事業主借 |
金額 |
正しい期首残高と現在の期首残高の差額 ※ |
(その他) |
空欄でOK |
※ 例えば、「総勘定元帳上の期首残高が-30万円」で、「手元で計算した正しい期首残高が20万円」の場合、入力する金額は「50万円」となります。
法人の場合は、銀行口座の残高が正しい残高になるように、振替伝票を登録して当期で修正を行う必要があります。
その場合には、前期の税務申告について修正申告等の手続きが必要になると考えられるため、税理士もしくは税務署等にご相談の上、適切な会計処理をされることをおすすめします。(詳しくはこちら)