2024年7月現在、freee販売の仕入登録から起票される仕訳はPL科目のみとなるため、勘定科目を「仕掛品」に設定してfreee会計に登録することができません。
そのため、仕掛品が発生した際はfreee販売の「仕入」に登録せず、freee会計で勘定科目「仕掛品」で取引登録を行う必要があります。
取引登録後は、freee販売に「その他原価」として取り込むことで反映させ、さらにfreee会計側で振替伝票で振り替えることで対応します。
本ページでは、freee会計やfreee販売で行う一連の操作を解説します。
本ページで説明する内容は、freee販売とfreee会計において下記プランをご利用中の方が対象です。
- freee販売:スタンダードプラン
- freee会計:アドバンスプラン(または旧プロフェッショナルプラン)、エンタープライズプラン
目次
運用の前提
本記事の運用は、下記の内容を前提としています。
- 仕掛であるか売上済であるかは案件の状態で判断しますが、1案件につき複数の売上がある場合でも、売上計上できる(「売上完了日」に入力できる)タイミングは1度だけとなります。
- 売上計上部門は1案件につき1部門です。
- freee会計(アドバンスプラン以上 または 旧プロフェッショナルプラン以上)のご契約と、ワークフローの運用が必要です。
- freee会計とfreee販売のセグメント連携が必要です。
freee会計側で行う事前の設定
まず始めに、freee会計で振替登録を行う際にどの勘定科目で処理するかを判別するために、目印の役目を果たす「品目」を作成し、勘定科目「仕掛品」の内訳管理に設定します。
設定手順は下記の通りです。
品目を新規登録する
例:
「[仕掛]仕入高」という品目を新規登録する。
- [設定]メニュー →[品目の設定]を開きます。
- [+新規作成]ボタンをクリックします。
- 「品目の新規作成」画面で各項目を入力し、完了したら[作成]ボタンをクリックします。
※品目の新規作成について詳しく知りたい場合は「品目を登録する」をご参照ください。
なお複数の品目を登録する場合は、品目インポート機能を利用して一括で作成することも可能です。
勘定科目の内訳管理を登録する
- [設定]メニュー →[勘定科目の設定]を開きます。
- 「検索条件」の検索欄に[仕掛品]と入力します。
- 「仕掛品」行をクリックし、勘定科目の編集画面を開きます。
- 「内訳管理に使用する取引先・品目・部門・セグメント」の品目欄に、本ページの「品目を新規登録する」で作成した品目を設定します。
※内訳管理に使用する品目は複数登録することができます。
- 設定が完了したら[保存]ボタンをクリックします。
品目に個別の税区分を選択する場合について
内訳管理に使用する品目に対して個別に税区分を設定すると、勘定科目の入力時に設定した税区分が自動的に入力されます。
そのため「仕掛品」のように通常の税区分が「対象外」となっていても、個別の税区分が設定された品目を付与した場合は、その税区分が優先的に入力されます。
この仕様はインポート時にも適用されるため、仕掛品の振替登録時に個別設定した税区分で振り替える必要があるので推奨しません。
仕掛品の請求書が届いた際の処理
仕掛品の請求書が届いた場合は、freee会計 または freee支出管理 受取請求書(旧sweeep)の支払依頼機能とセグメントタグを利用し、freee販売の案件とfreee会計の取引を紐づけます。
2024年7月1日以降にfreee会計を契約した場合、freee会計の支払依頼ではなく、freee支出管理の受取請求書(旧sweeep)をご利用ください。
2024年6月30日以前にfreee会計を契約した場合、freee会計の支払依頼は、2025年7月1日以降の契約更新、もしくは2026年6月末に機能の提供を停止します。
機能提供の停止以降は、freee支出管理 受取請求書(旧sweeep)をご利用ください。
支払依頼を利用する際は、「支払依頼の申請」と「承認・取引登録」が必要になります。
それぞれの操作手順は下記の通りです。
なお、下記はfreee会計の支払依頼について説明しています。freee支出管理 受取請求書(旧sweeep)における支払依頼の操作については「支払依頼(現場ワークフロー)について」をご確認ください。
支払依頼の申請を行う
- freee会計にログインし、[申請]メニュー →[支払依頼]を開きます。
- [+申請を作成]ボタンをクリックします。
- 各項目を入力します。このとき、勘定科目欄に「仕掛品」を、品目欄に本ページの「勘定科目の内訳管理を登録する」で設定した品目を、セグメント欄にfreee販売から連携した案件のセグメントを入力します。
なお、支払依頼の作成について詳しくは「支払依頼を申請する」をご覧ください。
- 入力が完了したら[申請]ボタンをクリックします。
申請された支払依頼を承認・取引登録する
支払依頼の承認は、承認者として設定されているメンバーが行えます。また、取引登録は取引の作成権限を持ったメンバーが行えます。
権限の設定については「メンバーが利用できる機能を編集する(カスタム権限)」をご確認ください。
- freee会計にログインし、[申請]メニュー →[支払依頼]を開きます。
- 申請された支払依頼をクリックします。
表示される申請が多くて探しにくい場合は、検索条件で絞り込むと探しやすくなります。
- 申請内容を確認し、問題が無ければ[承認]ボタンをクリックします。
- 承認が完了したら[取引を登録]ボタンをクリックします。
freee会計で作成した取引をfreee販売に取り込む
本ページの「仕掛品の請求書が届いた際の処理」で作成した取引を、freee販売のその他原価インポート機能を利用して取り込みます。
こちらの操作を行うことで、「案件原価」としてfreee販売に取り込まれます。
取り込み方法は下記の通りです。
- freee販売の[案件]メニューを開き、該当の案件をクリックします。
- [データ登録]ボタン →[その他原価インポート]をクリックします。
- 「freee会計の取引明細インポート」画面で該当の取引が表示されていることを確認のうえ、[インポート]ボタンをクリックします。
※該当の案件が表示されない場合は、検索条件を変更したり、freee会計の取引と案件のセグメントが正しく紐づいているかをご確認ください。
- [インポート]ボタンをクリックすると「その他原価のインポート履歴」画面が表示されるので、ステータスが「完了」になっていれば取り込み成功です。
PL科目への振替登録を行う
本ページの「freee会計で作成した取引をfreee販売に取り込む」までの操作が完了した後に、freee会計でPL科目への振替登録を行います。
振替方法は下記の通りです。
例:
案件A由来の仕掛品1,000万円を、「[製]材料仕入高」700万円と「[製]外注加工費」300万円に振り替えた。
- freee会計にログインし、[決算申告]メニュー →[振替伝票]を開きます。
- 「振替伝票」画面で振替仕訳を入力します。上記の例の場合は下記の通りに入力します。
※入力前にカスタムレポート等で振替の対象となる取引を確認することをおすすめします。
項目名 借方 貸方 勘定科目(1行目) [製]材料仕入高 仕掛品 税区分(1行目) 対象外 対象外 金額(1行目) 7,000,000 7,000,000 タグ(1行目) 取引先:A社
部門:大崎支社
セグメント:B-0000000002
※freee販売から連携した案件A由来のセグメントを入力します。取引先:A社
品目:[仕掛]仕入高
部門:大崎支社
セグメント:B-0000000002
勘定科目(2行目) [製]外注加工費 仕掛品 税区分(2行目) 対象外 対象外 金額(2行目) 3,000,000 3,000,000 タグ(2行目) 取引先:A社
部門:大崎支社
セグメント:B-0000000002
取引先:A社
品目:[仕掛]外注加工費
部門:大崎支社
セグメント:B-0000000002
- 入力が完了したら[登録]ボタンをクリックします。
また、振替仕訳が多い場合はインポート機能を利用することで一括登録が可能です。
この場合は、freee会計のレポートとfreee販売の案件情報からエクスポートしたCSVファイルをもとに、下記の手順でインポート用のデータを作成します。
- freee会計のカスタムレポートを利用し、科目別の振替金額を調べ、絞り込み結果をエクスポートします。
- たて軸:セグメント1(セグメントタグ)
- たて軸(子):品目
- よこ軸:勘定科目
※カスタムレポートのエクスポートの方法は「カスタムレポートをエクスポートする」をご参照ください。
- 振替対象案件をfreee販売からエクスポートします。
freee販売の案件一覧を完了予定日で[当月完了予定]で絞り込みます。
表示項目設定では、「案件コード」「会計計上部門」「完了予定日」を追加します。
※「表示項目カスタマイズ」や「案件一覧のエクスポート」についてはヘルプページをご参照ください。 - freee会計とfreee販売からエクスポートしたCSVを用いて、振替伝票インポート用のデータを作成します。
この時に、勘定科目「仕掛品」は本ページの「勘定科目の内訳管理を登録する」で品目に設定した勘定科目に振り替えます。
※振替伝票インポート用のデータは「その他の会計ソフトから仕訳データを移行する - 取り込む仕訳データを準備する」を参考にご作成ください。 - 作成したCSVデータをfreee会計の[決算申告]メニュー →[振替伝票]→[インポート]→[他社会計ソフトインポート]よりインポートします。
※インポート方法については「その他の会計ソフトから仕訳データを移行する - 仕訳データをfreeeへ取り込む」をご参照ください。
注意事項
- freee販売の仕入登録を使わないことでfreee販売の発注と紐づけることが出来なくなります。
- これによりfreee販売内での発注残の管理が出来なくなります。
- 発注残管理の代替運用として、freee会計の購買申請機能を使う方法があります。
購買申請機能については「決済を伴う稟議の申請・承認を行う(購買申請)」をご確認ください。
- freee会計で登録された「仕掛品」の取引は、freee販売の「その他原価」として取り込まれます。
- freee販売の案件の「仕入実績」にはなりません。
- freee販売では仕入の見込み管理用の機能として案件に「発注見込み」を登録することが出来ますが、「その他原価」として取り込まれることによってその比較機能が使えなくなります。
- 2024年7月時点では、freee販売にはその他原価のレポートが存在しません。