freee会計を利用開始する最初の年度では、開始残高の設定が必要です。
開始残高とは、当期の開始日時点での資産・負債・純資産の残高のことです。設立初年度の場合は、法人の設立日時点の残高として資本金や設立日までにかかった費用などを登録します。
本ページでは、新設法人のお客様においてご利用可能な「開始残高設定ウィザード」による開始残高の設定方法をご説明します。
※ 法人設立から2年度目以降である場合や、開始残高設定ウィザードを使用せず開始残高の設定を行う場合は、次の各ヘルプページをご覧ください。
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法人設立2年度目以降で「開始残高設定ウィザード」を使用して開始残高を登録する場合:
【法人】開始残高設定ウィザードで開始残高を設定する(設立2年度目以降) -
「開始残高設定ウィザード」を使用せずに簿記形式で開始残高を登録する場合:
【法人】開始残高を設定する
本記事は【法人】プラン向けのヘルプページです。
目次
- 開始残高設定ウィザードの概要
- 開始残高設定ウィザードを開始する
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開始残高を設定する
- 大まかな流れ
- STEP1:事前確認
- STEP2:金額の入力
- STEP3:完了 - 開始残高設定ウィザードの登録内容と各勘定科目との対応関係
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登録した開始残高を確認・編集・削除する
- 登録した開始残高を確認する
- 登録した開始残高を編集する
- 登録した開始残高を削除する - 開始残高設定ウィザードでは設定できない項目を登録する
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参考事項・よくある質問
-参考:「役員が立て替えた金額」とは
-参考:集計結果の「現金残高」とは
-参考:固定資産と創立費を固定資産台帳に登録する
-参考:開始残高と取引の二重計上にご注意ください
-参考:設立初年度から課税事業者となる場合の消費税の計上について
-参考:司法書士などの専門家に依頼し、源泉徴収して支払った場合
開始残高設定ウィザードの概要
「開始残高設定ウィザード」は、freee会計の利用開始時に設定が必要な開始残高の登録をサポートする機能です。
会計知識に不安のある方でも、画面の案内に沿って金額を入力することで、カンタンに開始残高の登録を完了させることができます。
開始残高設定ウィザードを開始する
開始残高設定ウィザードを開く
[設定]メニュー → [開始残高の設定]をクリックすると、開始残高設定ウィザードのスタート画面が開きます。
開始残高設定の入力形式を選択する
「資本金と設立費用を登録」の画面で、ご自身に合う入力形式を次のいずれかから選択します。
-
簡易形式で入力:
本ページでご案内している開始残高設定ウィザードを利用できます。画面の案内に沿って各項目を入力することで、会計初心者の方でもカンタンに開始残高の登録が可能です。 -
簿記形式で入力:
開始残高の項目を借方/貸方に分けて入力することができます。「簿記形式で入力」を選択した場合、「 【法人】開始残高を設定する 」のヘルプページに記載の手順にて開始残高を設定します。
※ 一度「簿記形式」を選択して開始残高を登録すると、内容を消去しない限り「簡易形式」への切り替えはできなくなりますのでご注意ください。
開始残高を設定する
ここでは、開始残高設定ウィザード(簡易形式)による開始残高の設定手順についてご説明します。
大まかな流れ
開始残高設定ウィザード(簡易形式)では、次の3ステップに沿って開始残高を設定します。
順番 | ステップ名 | 詳細 |
---|---|---|
STEP1 | やることを確認 |
事前に準備が必要な書類と会計期間を確認します。 |
STEP2 | 金額の入力 |
次の分類に沿ってそれぞれの金額を入力します。
|
STEP3 | 完了 | 登録した開始残高が表示されます。 |
STEP1:やることを確認
入力を始める前に、必要な書類と会計期間を確認します。
【必要な書類等の準備】
資本金や設立費用の入力をスムーズにするために、次のような書類等を手元に準備しておくのがオススメです。
- 登記簿謄本・定款
- 設立日までにかかった経費のわかる領収書
- 設立前に購入したパソコンなどの固定資産の価格がわかるもの
【会計期間の確認】
会計期間とは、日々の取引を記録して決算書を作成する対象期間のことで、設立初年度の会計期間は「法人の設立日から最初の決算日まで」となります。
設立日は法務局に設立登記申請書を提出した日です。決算日は定款に記載されています。
正しい日付となっていることを確認してから入力に進みましょう。
設立日より前に取引を登録していた場合の修正方法
設立日よりも前の日付で取引(仕訳)が存在していると、設立日を変更できません。
正しい設立日を設定する前に、設立までにかかった経費などを取引登録してしまっていた場合は、次のどちらかの方法で修正してから、あらためて設立日を変更してください。
-
取引の「発生日」を設立日に変更する:
「取引の一覧・登録」画面を開き、登録されている取引の「発生日」を設立日に変更して保存します。設立初年度の会計期間は設立日から始まるため、それ以前に発生した取引については設立日で計上します。 - 取引を削除する:
設立のためにかかった経費は、一般に「創立費」として合算で計上できます。開始残高設定で入力する内容を取引としても登録していると二重計上になりますので、もし不要であれば取引を削除します。また、設立までに練習で登録していた取引なども削除します。
※ 該当の取引が見つからない場合や削除ができない場合は、サポートデスクにお問い合わせください。
STEP2:金額の入力
このステップでは、大きく次の3種類の金額をそれぞれ入力します。
分類 | 詳細 |
---|---|
|
|
設立日までに支払った経費と固定資産 |
|
役員が立て替えた金額 |
|
【資本金の入力】
まず、設立にあたって用意した資本金の額を入力します。
-
現金:
現金による出資金額を入力します。現物出資を行っていない場合は資本金と同額になります。 -
現物出資:
現金以外の固定資産による出資を行った場合は、定款の記載内容を参照しながら入力します。
[+項目追加]ボタンをクリックし、「金額」「名称(30文字以内)」およびその固定資産に当たる「勘定科目」を入力の上[保存]ボタンをクリックします。
※ 固定資産以外の資産による現物出資には対応していません。入力が必要な場合は簿記形式に切り替えてください。
【設立日までに支払った経費と固定資産の入力】
設立日までにかかった経費と、設立日以前に購入した固定資産を入力します。
一般的な項目があらかじめ用意されていますので、ヒントを読みながら入力を進めましょう。該当する項目がないものは「設立までにかかったその他の経費」として入力できます。
-
設立の手続きで支払った経費
登録免許税や定款の作成費用など、法人の設立登記の手続きのためにかかった経費を入力します。
設立時に「freee会社設立」を利用していた場合は、一部項目の金額が自動入力されます。
実際にかかった金額と異なるものがあれば、適宜修正してください。
なお、司法書士などの専門家に依頼し、登録免許税なども含めてまとめて支払った場合、「専門家代行手数料」の項目に合計金額を入力します。
ただし、専門家が個人事業主で源泉徴収が発生したときは、この項目には入力せず簿記形式に切り替えて入力するか、別の方法で入力します。詳しくは「司法書士などの専門家に依頼し、源泉徴収して支払った場合」をご覧ください。 -
自動車やパソコンなどの固定資産
自動車やパソコン、機械やオフィス什器のように「10万円以上で1年以上使うもの」を購入した場合は固定資産に当たります。
他の経費とは別に分けて扱う必要があるため、[+項目追加]ボタンから資産ごとに入力します。
固定資産の勘定科目がわからない場合、[勘定科目を推測する]ボタンをクリックすると、入力した情報をもとに可能性の高い勘定科目が推測表示されます。
ただし、必ずしも正しい勘定科目が表示されるとは限らないため、ご不安な場合は、お近くの専門家や管轄の税務署などにご確認ください(固定資産の資産分類については「 固定資産の資産分類 - 主な資産例 」も併せてご覧ください)。 -
設立までにかかったその他の経費
固定資産に当たらない備品の購入や設立前の事務所の賃料など、他にかかった経費があれば入力します。
[+項目追加]ボタンから自由に入力できます。
内訳を細かく分けず、合計金額でまとめて入力することも可能です。
【役員が立て替えた金額の入力】
ここまでに入力した経費と固定資産の合計金額のうち、役員が個人のポケットマネーで立て替えた金額を入力します。
「設立の手続きで支払った経費」「自動車やパソコンなどの固定資産」「設立までにかかったその他の経費」の総額が表示されますので、そのうちいくらを役員が負担したかを入力します。
資本金として用意したお金が設立日の時点で全額残っていた場合は、表示されている総額をそのまま入力します。
詳しくは「参考:『役員が立て替えた金額』とは」もご参照ください。
入力が完了したら、集計結果を確認して[集計結果を登録]ボタンをクリックします。
入力途中で一旦保存しておきたい場合は、[一時保存]ボタンをクリックします。
STEP3:完了
登録した開始残高が表示されます。
修正したい箇所があれば、前の画面に戻って再編集も可能です。
問題なければ、開始残高の設定は完了です。
後で設定内容の確認や編集をしたいときは、[設定]メニュー → [開始残高の設定]をクリックすると、再びこの画面を開くことができます。
なお、設立までにかかった経費や固定資産については、固定資産台帳への登録が必要となります。
登録に関する詳細は「参考:固定資産と創立費を固定資産台帳に登録する」をご覧ください。
開始残高設定ウィザードの登録内容と各勘定科目との対応関係
「 STEP2:金額の入力 」で入力した金額は、下表の勘定科目の金額として開始残高(期首残高)に反映されます。なお、金額をゼロ円とした項目は開始残高として登録されません。
セクション | 項目 | 借方勘定科目 | 貸方勘定科目 |
---|---|---|---|
資本金 | 現金 | 現金 | 資本金 |
現物出資 |
項目追加の際に選択した固定資産の勘定科目 |
資本金 | |
設立の手続きで支払った経費 | - | 創立費 | - |
自動車やパソコンなどの固定資産 | - | 項目追加の際に選択した固定資産の勘定科目 | - |
設立までにかかったその他の経費 | - | 創立費 | - |
役員が立て替えた金額 | - | - | 役員借入金 |
※経費の項目名および「名称(30文字以内)」 で入力した内容は、各勘定科目の品目として登録されます。
登録した開始残高を確認・編集・削除する
一度、開始残高設定ウィザードで登録した内容は、後から確認・編集・削除することができます。
それぞれの操作は次のとおりです。
登録した開始残高を確認する
- 会計期間が初年度の状態になっていることを確認します。
- [設定]メニュー → [開始残高の設定]をクリックします。
「資本金と設立費用の登録」画面として、項目別の登録内容が一覧で表示されます。
登録した開始残高を編集する
登録内容を編集するには次の操作を行います。
- 「 登録した開始残高を確認する 」の手順にて「資本金と設立費用の登録」画面を表示します。
- 画面右上の[編集]ボタンをクリックします。
以降の入力方法は「 STEP2:金額の入力 」の操作と同様です。
登録した開始残高を削除する
登録内容を削除するには次の操作を行います。
- 「登録した開始残高を確認する」の手順にて「資本金と設立費用の登録」画面を表示します。
- 画面右上の[削除]ボタンをクリックします。
- 登録内容の削除に伴う注意メッセージが表示されます。
削除しても問題がなければ[上記の内容に同意した]にチェックを入れ、[削除する]ボタンをクリックします。
開始残高設定ウィザードでは設定できない項目を登録する
開始残高設定ウィザードの簡易形式では設定できない項目があります。
次のような場合は入力形式を「簿記形式」に切り替える必要があります。
- 固定資産以外の資産により現物出資をした
- 設立前の仕入(商品)がある
- 設立日の時点で事業用の口座に残高がある
- 預り金、未払金、長期借入金などがある
入力形式の切り替え方法は次のとおりです。
入力形式を「簿記形式」に切り替えた後のご注意
一度「簿記形式」に切り替えて開始残高を登録すると、その内容を消去しない限り簡易形式に戻すことはできなくなります。
また、簿記形式での開始残高の入力については「 【法人】開始残高を設定する 」のヘルプページに記載の手順となります。
-
開始残高登録 前 のタイミングの場合:
「 開始残高設定の入力形式を選択する 」にて[簿記形式で入力]を選択します。 -
開始残高登録 後 のタイミングの場合:
「 登録した開始残高を確認する 」にて「資本金と設立費用の登録」画面を表示し、画面下部の[簿記形式に切り替える]ボタンをクリックします。
参考事項・よくある質問
ここでは、開始残高設定ウィザードに関連する参考事項や、よくある質問をまとめています。
参考:「役員が立て替えた金額」とは
「合計金額のうち、役員が立て替えた金額」では、ここまでに入力した「設立の手続きで支払った経費」「自動車やパソコンなどの固定資産」「設立までにかかったその他の経費」の総額のうち、いくらを役員個人のお金で支払ったのかを入力します。
一般に、設立が完了するまで資本金には手をつけず、さまざまな経費については役員が個人のポケットマネーで負担するケースが多いようです。
「資本金として用意したお金が設立日の時点でそのまま残っていた」という場合、全額を役員が立て替えていたことになりますので、総額として表示される金額をそのまま入力します。
※ 現物出資の金額は役員が立て替えたという扱いにできないため、総額にも含まれません。
一方、「資本金として用意したお金が設立日の時点ですでに減っていた」という場合、減っている分は経費や固定資産の支払いに当てていたことになります。
もし支払いの一部を役員個人が負担していたならばその金額を入力し、まったく役員個人が負担していなかったならばゼロ円とします。
なお、ここで入力した金額は「役員借入金」として登録され、後に法人から役員個人へ返済することになります。
返済した際の登録方法など、より詳しくは「4.6 役員が立て替えた費用計上・精算を登録する」のヘルプページをご覧ください。
参考:集計結果の「現金残高」とは
「資本金」のセクションで「現金」として入力した金額(現物出資を除く資本金の額)から、経費と固定資産の総額を引き、「役員が立て替えた金額」を足すと、資本金として用意したお金のうち設立日の時点で残っていた金額が求められます。
通常、設立日の時点ではまだ法人名義の銀行口座が存在しないため、会社設立にあたって払い込んだ資本金は、多くの場合、出資を行った役員個人の預金口座にあります。
設立日時点の「現金残高」とは、この個人口座に残った資本金の額を意味します。
このお金は会社の事業を行うための資金ですので、法人の口座が開設できしだい、個人口座から法人口座へ移すことになります。
開始残高設定ウィザード(簡易形式)を完了すると、「現金残高」として表示された金額がfreee上の「現金」口座の残高として登録されます。
法人口座に入金したら、以下のように資金移動(口座振替)を登録します。
項目 | 入力内容 |
---|---|
振替日 | 法人口座に入金した日 |
振替元口座 | 現金 |
振替先口座 | 入金先の法人口座 |
金額 | 入金した金額 |
なお、法人口座をインターネットバンキングと同期している場合は「自動で経理」を利用し、同期していない場合は手動で登録します。
この入金を「資本金」という勘定科目で取引登録してしまうミスがよく見られますのでご注意ください。
参考:固定資産と創立費を固定資産台帳に登録する
開始残高設定ウィザードにて現物出資や設立日以前に購入した固定資産を入力した場合、その固定資産の減価償却を行うために「固定資産台帳」への登録も併せて必要となります。
また、設立日までにかかった経費として入力した金額は「創立費」という繰延資産に計上されますが、この「創立費」についても同様に固定資産台帳に登録して減価償却を行うことで費用になります。
固定資産台帳に登録する際は、「創立費」の合計金額を1件の固定資産とみなして登録します。
※ 開始残高設定ウィザードと別に取引登録もしていて「創立費」の合計金額がわかりにくい場合、[レポート]メニュー →[総勘定元帳]を開くと、「創立費」の行に表示される「残高」で確認できます。
固定資産および創立費を固定資産台帳に登録する方法について、詳しくは以下のヘルプページをご覧ください。
参考:開始残高と取引の二重計上にご注意ください
設立日以前に発生した費用や購入した固定資産については、開始残高設定ウィザードで入力する方法と、発生日を設立日として取引登録する方法があります。
ただし、両方行うと二重計上になってしまいますので、開始残高設定の際に入力したものは取引登録しないようご注意ください。
たとえば、開始残高設定を行った後で設立日以前の領収書をファイルボックスにアップロードし、そのファイルから取引登録を行ってしまうというミスがよくあります。
開始残高設定の際に入力した内容であればファイルをアップロードしても取引登録は行わないように、または、開始残高設定では入力せずに取引登録のみ行うようにします。
なお、開始残高と取引の違いは以下のとおりです。
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開始残高設定(簡易形式・簿記形式)として登録した場合:
- 貸借対照表の「期首」の残高に反映される
- 仕訳帳には反映されない
- 税区分(消費税の課税区分)はすべて「対象外」と同じ扱いになる
- 領収書などのファイルを添付できない
-
取引として登録した場合:
- 貸借対照表の「借方金額」または「貸方金額」の残高に反映される
- 仕訳帳に反映される
- 税区分を任意で選択できる
- 領収書などのファイルを添付できる
参考:設立初年度から課税事業者となる場合の消費税の計上について
開始残高設定ウィザードで開始残高を設定した場合、簡易形式か簿記形式かによらず、入力した内容はすべて消費税の課税対象外として扱われます。
設立初年度から課税事業者となり一般課税を選択する方は、設立日以前に購入した固定資産やその他の経費についても適切に仕入税額を計上するために、開始残高設定では入力せず「取引の一覧・登録」または「ファイルボックス」から取引として登録することを推奨します。
※ 課税事業者となる場合でも、簡易課税を選択する方や2割特例を適用する方は、開始残高設定で入力して問題ありません。
取引を登録する際は、以下のポイントにご留意ください。
-
口座:
資本金として用意したお金から支払った場合は「現金」、役員個人のポケットマネーで支払った場合は「役員資金」を選択します -
発生日:
実際の日付は設立日より前であっても、設立日を入力します(初年度の会計期間は設立日から始まるため) -
勘定科目:
固定資産は種類に合った勘定科目、その他の経費は「創立費」として入力します(創立費の扱いにせず、消耗品費などとして計上することも可能です) -
税区分:
土地以外の固定資産は課税仕入れ、一般的な経費も多くは課税仕入れとなりますが、登録免許税は課税対象外、各種証明書の発行手数料などは非課税というように、消費税の課税対象とならない取引や仕入税額控除が認められないケースもありますので、内容ごとに確認して適切な税区分を選択しましょう
参考:司法書士などの専門家に依頼し、源泉徴収して支払った場合
定款の認証や設立登記の手続きを司法書士や行政書士などの専門家に依頼した場合、その専門家が個人事業主であるときには源泉徴収して報酬を支払います。
源泉徴収とは、報酬を受け取る側の所得にかかる所得税を、報酬を支払う側があらかじめ差し引いて国に納付する制度です。
源泉徴収した所得税は、原則として支払いをした月の翌月10日までに税務署に納付します。
専門家から受け取った見積書や請求書に「源泉徴収税額」「源泉所得税」などの記載があれば、源泉徴収をして支払っていたと考えられます。
【専門家から受け取った請求書のサンプル】※項目名・番号・金額などは一例です。
所得税を源泉徴収したときと、その所得税を納付したとき、どちらも「預り金」という勘定科目を用います。
本ページで説明している開始残高設定ウィザードの簡易形式では「預り金」の入力ができないため、次のどちらかの方法で入力します。
-
簿記形式に切り替えて入力する:
「開始残高設定ウィザードでは設定できない項目を登録する」の手順で、入力形式を簿記形式に切り替え、貸方(右側)にて「預り金」として源泉徴収税額を入力します。
また、借方(左側)に入力する「創立費」の金額については、源泉徴収税額を差し引く前の金額(専門家への実際の支払い額に源泉徴収税額を足した金額)で再計算して入力します。 -
開始残高設定では入力せず、取引を登録する:
専門家に支払った費用および源泉徴収した金額については開始残高設定ウィザードでは入力せず、「取引の一覧・登録」画面で[詳細登録]ボタンをクリックし、マイナス行を含む複数行の取引として登録します。
上図の請求書サンプルをもとにした入力例は以下のようになります。
入力例A:消費税の免税事業者または簡易課税を選択する課税事業者の方向け
- 収支:支出
- 決済:完了
- 口座:資本金として用意したお金で支払った場合は「現金」、役員個人のお金で支払った場合は「役員資金」
- 発生日:設立日
-
1行目:勘定科目「創立費」、税区分「対象外」、金額「302,950」、品目(任意)「司法書士報酬」
※ 源泉徴収税額を差し引く前の金額を消費税込みで入力します(請求書サンプルの④+➄) -
2行目(マイナス行):勘定科目「預り金」、税区分「対象外」、金額「8,168」、品目(任意)「源泉所得税」
※取引の合計金額が実際の請求額と一致するように、源泉徴収税額をマイナス行で入力します(請求書サンプルの➅)
入力例B:一般課税を選択する課税事業者の方向け
- 収支:支出
- 決済:完了
- 口座:資本金として用意したお金で支払った場合は「現金」、役員個人のお金で支払った場合は「役員資金」
- 発生日:設立日
-
1行目:勘定科目「創立費」、税区分「対象外」、金額「150,000」、品目(任意)「登録免許税」
※「登録免許税・印紙税」の項目を見て、消費税の課税対象外となる登録免許税の金額を入力します -
2行目:勘定科目「創立費」、税区分「非課仕入」、金額「53,950」、品目(任意)「非課税手数料等」
※「登録免許税・印紙税」の項目を見て、定款認証の公証人手数料や証明書の発行手数料など、非課税となる金額を入力します -
3行目:勘定科目「創立費」、税区分「課対仕入10%」または「課対仕入(控XX)10%」、金額「99,000」、品目(任意)「司法書士報酬」
※「報酬額」の項目を見て、専門家に対する報酬を消費税込みで入力します(請求書サンプルの①+➄)
※ 専門家が適格請求書発行事業者である場合は「適格」欄にチェックを入れて「課対仕入10%」を選択できます -
4行目(マイナス行):勘定科目「預り金」、税区分「対象外」、金額「8,168」、品目(任意)「源泉所得税」
※取引の合計金額が実際の請求額と一致するように、源泉徴収税額をマイナス行で入力します(請求書サンプルの➅)