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社会福祉法人会計基準の概要や計算書類の種類、区分経理の仕組み、財務3表の考え方、およびfreee社会福祉法人でできないことについて説明します。
目次
社会福祉法人会計基準の計算書類
書類の種類
社会福祉法人が毎年作成する必要がある計算書類等は、大きく分けると以下の4種類です。
- 計算書類
- 注記
- 附属明細書
- 財産目録
計算書類について
平成28年改正社会福祉法により、法人の事業運営の透明性の向上を図る観点から、計算書類は当該法人が提供する福祉サービスの利用者などのみならず広く公表することが義務付けられています。
また、法人の現況報告書や計算書類等も福祉医療機構が提供する財務諸表等電子開示システムを通じて公開されています。
freee社会福祉法人では、すべての書類を決算書類として出力することができます。
| 区分 | 資金収支計算書 | 事業活動計算書 | 貸借対照表 |
|---|---|---|---|
| 法人全体(計算書類) |
第1号第1様式 法人単位資金収支計算書 第1号第2様式 資金収支内訳表 |
第2号第1様式 法人単位事業活動計算書 第2号第2様式 事業活動内訳表 |
第3号第1様式 法人単位貸借対照表 第3号第2様式 貸借対照表内訳表 |
| 事業区分(計算書類) | 第1号第3様式 事業区分 資金収支内訳表 | 第2号第3様式 事業区分 事業活動内訳表 | 第3号第3様式 事業区分 貸借対照表内訳表 |
| 拠点区分(計算書類) | 第1号第4様式 拠点区分 資金収支計算書 | 第2号第4様式 拠点区分 事業活動計算書 | 第3号第4様式 拠点区分 貸借対照表 |
| 拠点区分(附属明細書) | 別紙3(⑩) 拠点区分 資金収支明細書 | 別紙3(⑪) 拠点区分 事業活動明細書 | - |
別紙明細書
社会福祉法人会計基準における別紙明細書等の種類は以下の通りです。
freee社会福祉法人では、freee会計やfreee固定資産と連携することで、残高や固定資産情報を参照し、各書類を作成することができます。
| 書類番号 | 書類名 |
|---|---|
| 別紙1 | 計算書類に対する注記(法人全体用) |
| 別紙2 | 計算書類に対する注記(拠点区分用) |
| 別紙3(①) | 借入金明細書 |
| 別紙3(②) | 寄附金収益明細書 |
| 別紙3(③) | 補助金事業等収益明細書 |
| 別紙3(④) | 事業区分間及び拠点区分間繰入金明細書 |
| 別紙3(⑤) | 事業区分間及び拠点区分間貸付金(借入金)残高明細書 |
| 別紙3(⑥) | 基本金明細書 |
| 別紙3(⑦) | 国庫補助金等特別積立金明細書 |
| 別紙3(⑧) | 基本財産及びその他の固定資産(有形・無形固定資産)の明細書 |
| 別紙3(⑨) | 引当金明細書 |
| 別紙3(⑩) | 拠点区分 資金収支明細書 |
| 別紙3(⑪) | 拠点区分 事業活動明細書 |
| 別紙3(⑫) | 積立金・積立資産明細書 |
| 別紙3(⑬) | サービス区分間繰入金明細書 |
| 別紙3(⑭) | サービス区分間貸付金(借入金)残高明細書 |
| 別紙4 | 財産目録 |
就労支援事業関連明細書
就労支援事業に関連する明細書の種類は以下の通りです。
| 書類番号 | 書類名 |
|---|---|
| 別紙3(⑮) | 就労支援事業別事業活動明細書 |
| 別紙3(⑮-2) | 就労支援事業別事業活動明細書(多機能型事業所等用) |
| 別紙3(⑯) | 就労支援事業製造原価明細書 |
| 別紙3(⑯-2) | 就労支援事業製造原価明細書(多機能型事業所等用) |
| 別紙3(⑰) | 就労支援事業販管費明細書 |
| 別紙3(⑰-2) | 就労支援事業販管費明細書(多機能型事業所等用) |
| 別紙3(⑱) | 就労支援事業明細書 |
| 別紙3(⑱-2) | 就労支援事業明細書(多機能型事業所等用) |
| 別紙3(⑲) | 授産事業費用明細書 |
区分経理(事業・拠点・サービス区分)の仕組み
社会福祉法人会計では、法人の経営状態を多角的に開示するため、事業・拠点・サービス区分の3階層で会計を管理する「区分経理」が義務付けられています。
- 事業区分(3分類):定款に基づき「社会福祉事業」「公益事業」「収益事業」の3つに大別されます。
- 拠点区分:原則として予算管理の単位であり、一体的に運営される施設や事業所ごとに設定します。
- サービス区分:拠点内で提供する複数の事業について、会計を細分化して把握するための最小単位です。
詳しくは「【区分設定】区分の概要」を参照してください。
財務3表と「1取引2仕訳」について
社会福祉法人では、以下の「財務3表」を作成します。
- 資金収支計算書(C/F):1年間の支払資金の収支を報告する書類
- 事業活動計算書(P/L):1年間の事業活動の成果(損益)を報告する書類
- 貸借対照表(B/S):年度末時点の財政状態を報告する書類
日々の取引において、「支払資金の増減」と「費用の発生」を同時に記録するため、1つの取引に対して2つの仕訳を発生させる「1取引2仕訳」という独自の処理を行います。
例:
保育材料費200円を現金で支払った場合
- 事業活動仕訳(P/L・B/S):(借)保育材料費 200 / (貸)現金 200
- 資金収支仕訳(C/F):(借)保育材料費支出 200 / (貸)支払資金 200
freee社会福祉法人では、freee会計で登録した仕訳を元に「1取引2仕訳」の処理をAPI連携時に自動的に行います。
そのため、freee会計ではP/L・B/Sの仕訳を入力するのみで、freee社会福祉法人で連携後に「1取引2仕訳」に処理された状態で各種帳簿を確認したり、決算書類を出力することができます。
詳しくは「【仕訳連携】仕訳をfreee会計で登録する」を参照してください。
資金収支と事業活動の違い
「資金収支計算書」は支払資金の増減を表し、「事業活動計算書」は純資産の増減を表します。
「資金収支計算書」における支払資金の動きは、一般的なキャッシュ・フロー計算書と同様に、現金の増減(収支)を報告する概念に相当します。
事業活動計算書は利益を計算しているので、損益計算書に該当します。
資金収支計算書が計算する「支払資金」とは何か
支払資金とは、流動資産-流動負債 です。
支払資金の変動は、貸借対照表の流動資産が動くことで「収入」または「支出」として扱われ、流動負債の増減についても同様に「支出」あるいは「収入」へと紐付きます。
このため、支払資金としての管理対象は、単純な現預金のみならず、より広範な項目までカバーする概念となっています。
ただし、以下のものは流動資産・流動負債(支払資金)から除外します。
-
1年基準により固定資産又は固定負債から振替えられたもの
例:1年以内回収予定長期貸付金など -
引当金
例:賞与引当金など -
棚卸資産
例:医薬品、診療・療養費等材料、給食用材料、商品・製品、仕掛品、原材料
※ 貯蔵品を除きます。
内部取引仕訳について
内部取引とは
社会福祉法人における「内部取引」とは、同じ法人の中にある「異なるサービス区分、異なる拠点(事業所)や事業区分」の間で行われる、資金のやりとりや経費の支払い(区分間取引)のことです。
内部取引には以下2つの種類があります。
- 区分間の取引:区分間でのサービス提供に伴う収益/費用の取引
-
区分間の資金移動:区分間での資金の移動
- 繰入(返済が不要):繰入の収支科目を使用
- 貸し借り(返済が必要):貸付科目・借入科目を使用
freee社会福祉法人では、freee会計で仕訳の取引先に「相手方の区分」を指定して仕訳連携することで、区分間取引として仕訳を登録することができます。繰入とするか貸し借りとするかは選ぶことができます。
内部取引の相殺
内部取引のような内部的な資金移動や収益/費用をそのまま足し合わせると、法人全体の外部取引が過大に計算されてしまいます。そのため、内部取引は決算書出力時など法人全体としての計算書類を作成する際に「なかったもの」として集計・表示します。
freee社会福祉法人では、区分間取引とした仕訳は自動的に集計時に内部取引消去を行います。
freee社会福祉法人では、結果として相殺されるべき膨らんだ取引に対して、ダミーのマイナス仕訳を追加し帳簿上も相殺させることができます。
詳しくは「【仕訳連携】仕訳連携の概要と設定」および「【仕訳連携】仕訳をfreee会計で登録する」を参照してください。
予算管理について
社会福祉法人は適正な法人運営と財務規律の維持を図るため、すべての法人が毎会計年度の開始前に「資金収支予算書」を作成することが義務付けられています。
また、決算書の資金収支計算書は予算対比での作成が必要になります。
予算には、その目的や作成するタイミングに応じて、以下の5種類があります。
| 予算種別 | 概要・目的 | 法人内での承認 |
|---|---|---|
| 当初予算 | 毎年3月末の年度開始前に作成する年間の予算です。 | 理事会承認必須 |
| 流用 | 同一サービス区分内の中区分科目間で支出を振替・調整します。予算総額は変更できません。 | 理事長承認必要 |
| 予備費充当 | 不測の事態による費用不足時、「予備費」科目から支出科目(費用のみ)へ予算を充当します。予算総額は変更できません。 | 理事長承認および事後の理事会報告必須 |
| 補正予算 | 期中に国庫補助金の変更や大規模修繕などで予算総額の増減や大幅な組み替えが生じた場合に編成します。 | 理事会承認必須 |
| 翌年度予算 | 次の事業年度のために、当事業年度の1月~3月頃に作成する予算です。 |
freee社会福祉法人では、年次・月次での入力、予算のインポート、拠点配賦、Excel出力が可能です。
詳しくは「【予算管理】予算管理の概要」を参照してください。
freee社会福祉法人でできないこと
拠点単位での仕訳入力や予算管理
freee社会福祉法人では、最小単位であるサービス区分ごとの数値を集計し、拠点区分や法人全体を構成する設計となっています。そのため、サービス区分を介さず拠点単位のみで直接管理・入力を行うことはできません。
社会福祉充実残高の算定・試算
本システムには社会福祉充実残高を算出する機能は備わっておりません。算定にあたっては、厚生労働省が配布している専用の試算ツールをご活用ください。例年、電子開示システム用の入力シート等を通じて把握・報告されている事項であるため、標準機能としての提供は行っておりません。
参考:社会福祉充実残額とは
法人の保有財産のうち、事業継続に不可欠な資産や負債を除いた「実質的な再投資可能財産」を指します。算出の結果、残額が生じる場合は、地域公益活動等への再投資計画(社会福祉充実計画)の策定が求められますが、実際に計画を策定している法人は全体の1割に満たない状況です。