対象プラン(法人)
|
新プラン | ひとり法人 | スターター | スタンダード | アドバンス | エンタープライズ |
旧プラン | ミニマム | ベーシック | プロフェッショナル | エンタープライズ | ||
対象プラン(個人) |
「修正待ちリスト」とは、よくある初期設定の誤りや記帳ミスを自動的に検知し、修正方法のガイドとともに表示する機能です。
はじめて会計に取り組む方でもわかりやすいように、チェックポイントや修正の手順も記載しています。
決算時に慌てないよう日頃から「修正待ちリスト」を確認して、こまめに修正していくことをオススメします。
本記事は【法人】プラン向けのヘルプページです。【個人】の場合については「 【個人】修正待ちリストの見方と修正方法 」をご覧ください。
目次
- 修正待ちリストでできること
- 修正待ちリストの使い方
- 修正待ちリストの設定を変更する
-
「修正待ちリスト」のご注意事項
- チェックの対象となる期間
- チェックが実行されるタイミング
- 利用できるメンバーの権限
- 仕訳承認ステータスとの関係 -
「修正待ちリスト」によるチェック項目の詳細
- 年度締め忘れ
- 固定資産の可能性
- マイナス残高〈立替金〉
- マイナス残高〈預り金〉
- 口座残高のマイナス〈現金〉
- 口座残高のマイナス〈銀行口座〉
- 取引の重複
- インボイス制度の少額特例
- インボイス情報との不一致 - 参考:一時的にマイナス残高となっているが問題ない場合
- 参考:前期以前から残高が正しくなかった場合の修正方法
- 参考:少額特例に関する注意点
修正待ちリストでできること
「修正待ちリスト」は、2つの側面をもっています。
-
設定と記帳内容のチェック
freee会計で初期設定を行い、日々の入力作業を進めるなかで、「よくあるミス」を自動的に見つけて表示します。 -
修正方法のガイド
はじめてfreee会計を使う方や、はじめて会計に取り組む方へ向けて、確認のポイントや修正のしかたがわかりやすいよう、画面上にカンタンなガイドを表示します。
銀行口座や外部サービスと同期する機能などを利用すると、入力作業にかかる負担は大幅に軽減されます。
一方で、決算時に現預金や預り金などの残高が合わず、修正すべき箇所がたくさん見つかり、一年分を振り返って直していくとなると、かなり大変な作業になります。
ぜひ「修正待ちリスト」を活用して、こまめに確認と修正をしながら会計業務を進めていきましょう。
チェック項目は個別にコントロール可能です
チェック項目に関して、会計知識や経理経験が十分ある方にとっては不要と感じる項目もあるかもしれません。
たとえば、「固定資産を消耗品費と誤って取引登録していないか?」のようなチェック項目では、会社の規模によっては多くの取引が検知される可能性があります。
また、ミスではなく社内の運用として意図的にそのようにしている、ということもあるでしょう。
チェック項目の検知は、個別に ON / OFF を切り替えられるため、不要な項目は OFF にしてご利用ください。
※ 詳しくは、本ページ「 修正待ちリストの設定を変更する 」をご覧ください。
決算時には、「修正待ちリスト」でチェックできる項目以外にも、売上や費用の計上ミスがないかのチェック、売掛金や買掛金その他の資産と負債の合計残高および内訳の確認、在庫棚卸など、より多くの観点からのチェックや整理が必要となります。「修正待ちリスト」はその一部を補助するものとしてご活用ください。
修正待ちリストの使い方
ホーム画面の「やること」項目の中に「修正待ち」の件数が表示されます。この件数は、チェック機能によって検知された、確認や修正が必要と思われる箇所の合計を示しています。
この「修正待ち」の表示をクリック、または、[取引]メニュー → [修正待ちリスト]をクリックすると、下図のような「修正待ちリスト一覧」の画面が表示されます。
修正が必要と思われる箇所が見つかった場合、ここでチェック項目ごとに結果が表示されます。
なお、一覧右上の「期末日まであと◯日」「申告期限まであと◯日」という表示は、設定されている現在の会計期間にもとづいて、期末日までの残り日数が100日を切ると表示されます。法人税の申告は期末日から2か月以内に行う必要があります。
一覧から詳細を確認したい行をクリックすると、下図のようなチェックと修正を行うための詳細画面が開きます。
-
このチェック項目の概要
検知された内容と、どのような修正が必要なのかを示すカンタンな説明が表示されます。 -
対象の取引や仕訳
修正や確認が必要となる取引や仕訳の一覧が表示されます。件数が多い場合には、ページを切り替えて表示できます。 -
チェック・修正の手順
チェックする際のポイントや修正の手順について、順を追って説明しています。はじめての方は、順番にクリックして読みながら進めることをオススメします。
不明な点がある場合には、関連ヘルプページもご参照ください。
修正待ちリストの設定を変更する
「修正待ちリスト」で検知されるチェック項目は、使用するかどうかを個別に切り替えることができます。
- [取引]メニュー → [修正待ちリスト]を開き、「修正待ちリスト一覧」の画面右上にある[修正待ちリストの設定]ボタンをクリックします。
- 「事業所の詳細設定」画面内の「修正待ちリスト設定」項目が表示されます。
チェック項目ごとに[使用する]または[使用しない]のチェックを入れ、[保存]ボタンをクリックします。
「修正待ちリスト」のご注意事項
「修正待ちリスト」をご利用の際は、次の点にご注意ください。
チェックの対象となる期間
「修正待ちリスト」でチェックする対象は、 現在の会計期間 です。
前期以前や翌期以降の期間については、チェックの対象となりませんのでご注意ください。
なお、口座や勘定科目の残高は 期末残高 を基準に判定します。
年度締めを行って会計期間を切り替えると、過去のチェックで検知された前期の項目は非表示となります。
年度締めを解除すると、再びその期間が現在の会計期間となるため、チェックの対象となります。
例外として「取引の重複」については、本日から遡って 3ヶ月以内の発生日をもつ取引 のみをチェックの対象とします。また、3ヶ月以内であってもすでに年度締めしている前期の取引は対象に含めません。
さらに遡ってチェックしたい場合は、「 取引の一覧・登録 」画面から手動で重複チェックを実行してください。最長1年間の範囲で期間を指定し、前期以前の取引も含めてチェックすることが可能です。
チェックが実行されるタイミング
修正待ちリストによる自動チェックは、深夜から早朝時点のデータを用いて、毎日一度だけ実行されます。
そのため、取引を登録した後すぐではなく、翌日に検知されてホーム画面に表示されることになります。
ただし、すでに検知された項目がある場合、その項目について「修正済みとなったかどうか」のチェックは、一覧画面にある[最新の修正を反映する]または詳細画面にある[最新の状態を確認する]ボタンから行うことができ、結果はすぐに反映されます。
また、一覧画面の[最新の修正を反映する]ボタンをクリックすると、翌日まで待つことなく最新のデータに対してチェックを実行できます。
利用できるメンバーの権限
修正待ちリストは、チェックによって検知された項目について、 該当の取引や修正に必要なレポートを 参照できる権限 をもつメンバーのみに表示されます。
たとえば、「固定資産の可能性」に該当する取引があったとしても、権限管理やグループ管理により、その取引を参照する権限がないメンバーには表示されません。
また、「口座残高のマイナス〈銀行口座〉」が検知されたとしても、該当の口座と現預金レポートを利用できないメンバーには表示されません。
なお、「取引の重複」に関しては、複数の口座や部門にまたがって重複が起きるケースもあるため、すべての取引を参照できる権限があるメンバーにのみ表示されます。
一方で、修正のために取引を更新する権限をもたないメンバーにも、参照の権限がある取引については表示され、修正や確認の必要があることは把握できるようになっています。
取引を修正しようとした際に編集できず、権限設定の変更が必要と思われる場合には、事業所の管理者までお問い合わせください。
仕訳承認ステータスとの関係
仕訳承認フローを有効にしている場合、修正待ちリストでは、承認ステータスが「承認済み」または「設定なし(仕訳承認フローが有効化されていない状態で作成したもの)」の取引のみをチェックの対象とします。
ただし「取引の重複」に関しては、「取引の一覧・登録」画面での重複チェック機能と仕様を揃えるため、「未承認」の取引もチェックの対象とします。
なお、一部のチェック項目では検知された取引を一括で修正可能ですが、この操作を実行できるのは、取引の更新権限をもつ管理者と承認者に限られます。
「修正待ちリスト」によるチェック項目の詳細
「修正待ちリスト」によるチェック項目の詳細は次のとおりです。
年度締め忘れ
現在の会計期間にもとづいて、期末日から3か月以上経過しているにもかかわらず「年度締め」されていない状態を検知します。
現在の会計期間は、freee会計の画面右上に表示されています。
この期間についての決算が完了している場合は、すみやかに 年度締め を行いましょう。
年度締めを行うと、期末の残高が新しい会計期間に繰り越されます。試算表や月次推移などのレポートを開いたときにも、新しい期間の集計が表示されるようになります。
また、過去のデータが確定されるため、誤って編集してしまうおそれがなくなります。後で修正の必要が生じた場合には、年度を巻き戻すことで再び編集することも可能です。
次の方については、すぐに年度締めをする必要はありません。
-
設立1年目の方
年度締めではなく 会計期間の変更 が必要です。
※ 設立1年目の場合、設立日から最初の決算日までが正しい会計期間です。まだ初期設定が完了していない方は、先に「 freee会計の初期設定の流れ(新設法人の場合) 」のヘルプページに沿って設定を行いましょう。 -
設立2年目以降で、今期からfreeeへの入力をスタートする方
年度締めではなく 会計期間の変更 が必要です。
会計期間は、freeeへの入力をスタートする年度にあわせて設定しましょう。 -
設立2年目以降で、前年度以前の会計データをfreeeに入力中の方
年度締めをすると、それ以前の期間の入力はできなくなります。入力が完了してから 年度締め をしましょう。
過去の年度にさかのぼって入力する場合、入力する最も古い年度に合わせて 会計期間の設定 をします。入力が終わり次第、古い期間から順番に年度締めをしていきます。
上記に該当しない場合は、年度締めの操作を行いましょう。
年度締めと会計期間の変更について、詳しくは次のヘルプページをご覧ください。
固定資産の可能性
固定資産の可能性がある取引を検知して表示します。
単体の購入金額が10万円以上で、1年以上使用するものは、固定資産に該当します。
固定資産にあたるものを購入したときは、「消耗品費」など費用の勘定科目ではなく、「工具器具備品」「機械装置」「車両運搬具」など 資産の種類にあった勘定科目で取引を登録 します。
固定資産の購入にかかった金額は、購入時にそのまま経費とするのではなく、「減価償却」(その資産の耐用年数に応じた期間にわたって分割して経費化すること)をしていきます。
freeeでは、購入した固定資産の情報を「固定資産台帳」に入力して登録すると、減価償却の計算と仕訳作成が自動で行われます。
固定資産を購入したら、取引登録だけではなく 固定資産台帳への登録 を忘れずに行いましょう。
詳しい手順については「 【法人】固定資産を登録する(固定資産台帳) 」のヘルプページをご覧ください。
このチェックでは、「100,000円」以上の金額で「消耗品費」または それと同等の勘定科目を使用していた場合に、「固定資産の可能性があるもの」として対象の取引が表示されます。
なお、次のケースは固定資産にあたらないため修正の必要はありません。[修正の必要はない]ボタンをクリックしてチェックを完了しましょう。
- 合計で10万円以上の支払いをしたが、単体で10万円以上のものは含まれていなかった
- 単体で10万円以上のものを購入したが、1年以上使用するものではなかった
- 1年以上使用するものを購入したが、10万円未満のものだった
※ 「単体」とは、1個 または 1組のことで、たとえば「応接セット」のようにセットで使用・購入するものについては、まとめて1組の固定資産として扱います。
固定資産と減価償却については、次のヘルプページをご覧ください。
マイナス残高〈立替金〉
勘定科目「立替金」の残高がマイナスになっていることを検知して表示します。
立替金は、会社が取引先や従業員などに代わって一時的に立替払いをしたときに使う勘定科目です。
この勘定科目の残高がマイナスになっているということは、立替払いで出ていった金額よりも、立替分を回収して入ってきた金額の方が大きくなっているということです。
「 総勘定元帳 」で立替金の残高をたどって確認し、必要な修正を行いましょう。
総勘定元帳では「立替金」という勘定科目が使われている取引と残高の増減を日付順に振り返ることができます。
立替払いをしたときは「借方金額」、回収したときは「貸方金額」に金額が入ります。
総勘定元帳をチェックする際は、次のポイントに注意して確認しましょう。
-
最初の残高は合っているか(設立から2期目以降)
2期目以降の方は、前期末の残高が今期の最初の残高となります。前期の決算書の貸借対照表で「立替金」の残高を確認してみましょう。立替金がない場合はゼロで問題ありません。
最初の残高が正しくなかった場合は、 開始残高の設定 を行いましょう(参考: 【法人】開始残高を設定する )。 -
残高がマイナスになった日はいつであったか
最初の残高が正しい場合、どこかのタイミングで「会社が立替払いをした金額」を「回収した金額」が上回っていることになります。
残高がマイナスになった日を特定し、その付近で貸方金額に大きすぎる金額がないか、貸方金額と対応する形で借方金額に入っているべきものが抜けていないか、日付をさかのぼりながら確認してみましょう。
以下は、立替金の残高が合わなくなる原因として、特によくあるものです。
例:
-
別の勘定科目を使うべきだったものが混じっている
「立替金」は、会社が立替払いをしたときと、その分を回収したときに使う勘定科目で、基本的には増減の動きが対になります。
会社が立替払いをしたときと回収したとき以外でこの勘定科目を使ったことがなかったか、思い当たる箇所を見直してみましょう。
たとえば役員が事業の費用を立替えたときや、その分を役員に返済したときには、「役員借入金」の勘定科目を使うのが一般的です。 -
雇用保険料の控除と納付に別の勘定科目を使っている
雇用保険料の本人負担分は、給与から控除するときと、雇用保険料を納付するときで、同じ勘定科目を使う必要があります。
freee人事労務や取引テンプレートを利用して給与を登録すると、給与から控除する雇用保険料の本人負担分は「立替金」のマイナス分として計上されます。
詳しくは「 給与・役員報酬の支払いを記帳する 」のヘルプページをご覧ください。
雇用保険料の納付時には、事業主負担分を「法定福利費」、本人負担分を「立替金」として取引登録しましょう。
※「立替金」以外の勘定科目を使ってもかまいませんが、控除時と納付時で同じ勘定科目に揃える必要があります。
なお、総勘定元帳だけではわかりにくい場合、「 試算表 」で残高の内訳をチェックするのも有効です。
「貸借対照表」タブにて勘定科目名をクリックすると、取引先別・品目別・部門別に内訳を確認できます(タグが付いていない分の残高は「未分類」として表示されます)。
「立替金」という勘定科目を使うときは、取引先や品目のタグを付けておくのがオススメです。
「試算表」の「貸借対照表」タブで内訳を確認すると、取引先や品目ごとに立替金の残高が一目でわかります。後で振り返りやすいように、なるべく取引先や品目のタグを付けておくようにしましょう。
総勘定元帳と試算表について、詳しくは次のヘルプページをご覧ください。
マイナス残高〈預り金〉
勘定科目「預り金」の残高がマイナスになっていることを検知して表示します。
預り金は、従業員や取引先から一時的にお金を預かったときに使う勘定科目です。そのお金は後日、本人に返すか、本人に代わって第三者へ支払います。
具体的には、給与や報酬から源泉所得税や社会保険料を差し引く形で預かり、税務署や年金事務所などに納付する形で支払うというお金の動きについて、この勘定科目を使います。
この勘定科目の残高がマイナスになっているということは、会社が預かった金額よりも、支払って出ていった金額の方が大きくなっているということです。
「 総勘定元帳 」で預り金の残高をたどって確認し、必要な修正を行いましょう。
総勘定元帳では「預り金」という勘定科目が使われている取引と残高の増減を日付順に振り返ることができます。
会社が預かったときは「貸方金額」、支払ったときは「借方金額」に金額が入ります。預かったときと、その分を支払ったときで、基本的には増減の動きが対になります。
総勘定元帳をチェックする際は、次のポイントに注意して確認しましょう。
-
最初の残高は合っているか(設立から2期目以降)
2期目以降の方は、前期末の残高が今期の最初の残高となります。前期の決算書の貸借対照表で「預り金」の残高を確認してみましょう。預り金がない場合はゼロで問題ありません。
最初の残高が正しくなかった場合は、 開始残高の設定 を行いましょう(参考: 【法人】開始残高を設定する )。 -
残高がマイナスになった日はいつであったか
最初の残高が正しい場合、どこかのタイミングで「会社が預かった金額」を「支払った金額」が上回っていることになります。
残高がマイナスになった日を特定し、その付近で借方金額に大きすぎる金額がないか、借方金額と対応する形で貸方金額に入っているべきものが抜けていないか、日付をさかのぼりながら確認してみましょう。
以下は、預り金の残高が合わなくなる原因として、特によくあるものです。
例:
-
給与や報酬を支払ったときの「預り金」が正しく登録されていない
給与や報酬から社会保険料や源泉所得税などを差し引いて支払ったときは、差し引いた額を「預り金」のマイナス行として、複数行の取引を登録をします。
詳しくは「 給与・役員報酬の支払いを記帳する 」のヘルプページをご覧ください。
支払った金額をそのまま「給料手当」「役員報酬」「外注費」などの勘定科目で登録していないか、見直してみましょう。 -
社会保険料や源泉所得税を納付したときの勘定科目が正しくない(預り金が過大になるケース)
社会保険料を納付したときには、事業主負担分を「法定福利費」、本人負担分を「預り金」として取引登録しましょう。
源泉所得税を納付したときは、「預り金」の支出として取引登録します。本人に代わって納付しているもので、会社の費用にはなりません。
詳しくは「 源泉徴収税の納付の処理をする(毎月10日) 」のヘルプページをご覧ください。
なお、総勘定元帳だけではわかりにくい場合、「 試算表 」で残高の内訳をチェックするのも有効です。
「試算表」の「貸借対照表」タブで勘定科目名をクリックすると、取引先別・品目別・部門別に内訳を確認できます(タグが付いていない分の残高は「未分類」として表示されます)。
「預り金」という勘定科目を使うときは、取引先や品目のタグを付けておくのがオススメです。
試算表の貸借対照表で内訳を確認すると、取引先や品目ごとに預り金の残高が一目でわかります。後で振り返りやすいように、なるべく取引先や品目のタグを付けておくようにしましょう。
総勘定元帳と試算表について、詳しくは次のヘルプページをご覧ください。
口座残高のマイナス〈現金〉
「現金」の残高がマイナスになっていることを検知して表示します。
現金とは、基本的には硬貨や紙幣など「会社のなかにあるナマのお金」を指します。
※ 小切手や為替証書のように、いつでも現金に換えられるものも含みます。
残高は、ゼロかプラスになっているのが正常です。
現金の残高がマイナスになっているということは、現金を受け取ったり銀行から引き出したりして増えた金額よりも、支払いや預け入れで減った金額の方が大きくなっているということです。
「現預金レポート」を確認して、社内にある実際の現金残高とfreee上の残高が一致するように修正しましょう。
現預金レポートでは、現金や銀行の口座ごとに1件1件の入出金とその時点の残高を時系列で確認できます。
「修正待ちリスト」から移動すると、「現金」口座の現預金レポートが表示され、画面上部で期間の絞り込みもできるようになっています。
画面右側の「入出金額」列では、プラスの数字が現金の受け取りや銀行口座からの引き出しによって増えた金額を、マイナスの数字が現金での支払いや銀行口座への預け入れによって減った金額をあらわします。その入出金後の帳簿上の残高が「登録残高」列です。
気になる行はクリックすると詳細を確認でき、その場で編集や削除も可能です。
入出金の抜けがあった場合は、「 取引 」や「 口座振替 」の入力画面から追加登録しましょう。
預金通帳のような確かな記録がないため、現金の残高が合わなくなった日を確認するのは少し難しいかもしれません。
現預金レポートをチェックする際は、次のポイントに注意して確認しましょう。
-
最初の残高は合っているか
-
設立1年目の方
設立時に資本金として用意したお金は、現金の残高として扱うのが一般的です。最初の現金残高が正しくない場合は、 開始残高の設定 を確認しましょう(参考: 【法人】開始残高を設定する )。 -
設立2年目以降で今期からfreeeを使い始めた方
開始残高の設定 をしていないと、最初の現金残高がゼロになってしまいます。
決算書類に含まれる「勘定科目内訳明細書」の「預貯金等の内訳書」を参照して、現金と銀行口座の残高を正しく入力しましょう。(参考: 【法人】開始残高を設定する ) -
設立2年目以降で前期以前からfreeeを使用している方
前期末の残高が誤った状態で年度締めをしてしまうと、今期首も誤った残高から始まることになります。前期末か今期首で一度正しい残高に合わせましょう。(参考: 【法人】前年度の仕訳を修正したいです )
-
設立1年目の方
-
残高がマイナスになった日はいつであったか
-
月末の残高を確認する
まずは、残高が徐々にマイナスに傾いているのか、特定箇所でマイナスになっているのかを判定しましょう。
今期の最初の月から順番に、月末の残高を現預金レポートで見てみましょう。徐々に実際の残高からズレていっている場合は、最初の月から入金と出金のバランスに注意して詳しく見直す必要があります。 -
初めてマイナスになった月を確認する
それまでは問題なく、特定の月でマイナスが生じている場合は、その付近で同額の出金が重複していたり、おぼえのない金額や別の口座の出金が混じっていたりしないか、よく見直してみましょう。逆に、入金の登録が抜けている可能性もあります。
-
月末の残高を確認する
以下は、現金の残高が合わなくなる原因として、特によくあるものです。
例:
-
会社の現金と他のお金を混同している
-
役員が個人のお金で会社の費用を支払った場合
口座は「現金」ではなく「 役員資金 」を選択します。これにより「現金」の残高は減らず、役員から借りたお金=「役員借入金」の残高が増えていきます。
役員の立替分を会社が返済したときは、返済した口座から勘定科目「役員借入金」の支出取引を登録します。 -
従業員が会社の費用を立替えた場合
取引登録の際には「未決済」の取引として登録します。後で会社から精算したときに、この未決済取引の消込をします。
-
役員が個人のお金で会社の費用を支払った場合
-
現金の売上や預金引き出しの登録が漏れている
-
売上を現金で受け取った場合
口座は「現金」を選択して勘定科目「売上高」の収入取引を登録します。レジアプリを連携している場合、売上データが正しく取り込まれていることを確認しましょう。 -
銀行口座から現金を引き出した場合
「銀行口座 → 現金」という口座振替として登録します。 -
役員個人のお金で事業用の現金を補充した場合
口座に「現金」を選択して勘定科目「役員借入金」の収入取引を登録します。
-
売上を現金で受け取った場合
-
設立1年目の現金を誤って処理している
-
設立後に法人口座を開設し、資本金として用意したお金の残りを預け入れた場合
「現金 → 法人口座」という口座振替として登録します。
開始残高の設定 で現金ではなく法人口座の残高として入力していたり、現金の残高を超える入金をしていたりすると、ここで現金がマイナスになってしまいます。開始残高の設定と最初の預け入れの処理を確認しましょう。
-
設立後に法人口座を開設し、資本金として用意したお金の残りを預け入れた場合
取引の絞り込み機能を使用すると、ミスを見つけやすいことがあります。
「 取引の一覧・登録 」画面では、これまでに登録した取引の絞り込みと一括編集が可能です。
一覧部分の左上にある[条件を設定]ボタンから、「口座:現金」で絞り込んでみましょう。
実際には「現金」以外で支払ったものが混じっていたら、その取引を選択して[一括編集]ボタンからまとめて正しい口座の取引に変更することも可能です。
詳しくは「 現金の残高ズレ・マイナス残高を解消する 」のヘルプページをご覧ください。
口座残高のマイナス〈銀行口座〉
銀行口座の残高がマイナスになっていることを検知して表示します。
口座の残高がマイナスになっているということは、この口座に入ってきた金額よりも、この口座から出ていった金額の方が大きくなっているということです。
入出金には、社外との取引だけではなく、社内の口座間での資金移動も含まれます。
freeeへの入力を月に一度まとめて行なっている場合など、一時的に残高がズレた状態になることは問題ありませんが、最終的には残高を正しく合わせる必要があります。
口座の「現預金レポート」を確認して、銀行口座の実残高とfreee上の残高が一致するように修正しましょう。
現預金レポートでは、銀行口座ごとに1件1件の入出金とその時点の残高を時系列で確認できます。
「修正待ちリスト」から移動すると、対象の銀行口座の現預金レポートが表示され、画面上部で期間の絞り込みもできるようになっています。
画面右側の「入出金額」列では、プラスの数字がその口座への入金を、マイナスの数字がその口座からの出金をあらわします。その入出金後の帳簿上の残高が「登録残高」列です。
手元の預貯金通帳と現預金レポートの「登録残高」列を見比べて、実際の残高とのズレを見つけましょう。
気になる行はクリックすると詳細を確認でき、その場で編集や削除も可能です。
入出金の抜けがあった場合は、「 取引 」や「 口座振替 」の入力画面から追加登録しましょう。
現預金レポートをチェックする際は、次のポイントに注意して確認しましょう。
-
最初の残高は合っているか
-
設立1年目の方
銀行口座の最初の残高は基本的にゼロで問題ありません。会社設立時点では法人の銀行口座がないためです。 -
設立2年目以降で今期からfreeeを使い始めた方
開始残高の設定 をしていないと、最初の口座残高がゼロになってしまいます。
前期末の残高は、決算書類に含まれる「勘定科目内訳明細書」の「預貯金等の内訳書」で確認できます。口座ごとに正しい残高を入力しましょう。(参考: 【法人】開始残高を設定する ) -
設立2年目以降で前期以前からfreeeを使っている方
前期末の残高が誤った状態で年度締めをしてしまうと、今期首も誤った残高から始まることになります。前期末か今期首で一度正しい残高に合わせましょう。(参考: 【法人】前年度の仕訳を修正したいです )
-
設立1年目の方
-
残高がマイナスになった日はいつであったか
最初の残高が正しいとすれば、どこかのタイミングで実残高とのズレが生じ、マイナスになってしまったことが考えられます。
今期最初の月の末日で、通帳と現預金レポートの残高を照合してみましょう。合っていたら、次の月の末日を見ます。合っていない月を見つけたら、何日から通帳と合わなくなったのか詳しく確認しましょう。
以下は、銀行口座の残高が合わなくなる原因として、特によくあるものです。
例:
-
口座振替が重複している
たとえば、社内の口座Aから口座Bにお金を移動した際、 口座振替は1回だけ登録 します。
1回のお金の移動に対して、移動元の口座Aと移動先の口座Bで口座振替を二重に登録してしまうと、倍の金額が動いたことになります。重複を見つけたら、一方を削除しましょう。 -
未決済取引の消込と取引登録が重複している
まだ受け取っていない売上(売掛金)や支払っていない費用(未払金)は「未決済の取引」として登録し、後日、その分の入金や出金があったときに「消込(決済の登録)」をします。
「消込」ではなく、新たに売上や費用として取引を登録してしまうと、重複の原因になります。
未決済のまま残された取引に対して、後から手動で「消込」を行ってしまうというケースがよくあります。新たに登録した取引は削除して、正しく「消込」の処理をしましょう。
インターネットバンキングを利用している場合、口座の「タイムライン」が便利です。
freeeでは、インターネットバンキングを連携して同期を行うと、その口座の入出金データを取得でき、それらをもとに効率的に入力作業を進めることができます。
また「タイムライン」の画面では、実残高と帳簿上の残高を自動的に比較チェックできるようになっています。
ホーム画面で銀行口座の名称部分をクリックし、詳細画面の上部に表示されるタブから[タイムライン]を開いてみましょう。
「タイムライン」では、画面の左側に「同期残高」、右側に「登録残高」が表示され、左右で残高が一致していない箇所があると、「◯円不足」「◯円超過」というアラートが表示されます。
クリックするとその月に属する入出金が日付単位で表示され、さらに日付単位の入出金部分をクリックするとその日に属する入出金が表示されます。これにより大まかな残高ズレ発生箇所を特定し、具体的に残高ズレを引き起こしている取引をカンタンに発見することができます。
ある時点で残高ズレが生じると、その後の期間も同じ金額だけズレることになりますので、過去の方から順に修正していきましょう。
詳しくは「 銀行口座の残高ズレを解消する 」のヘルプページをご覧ください。
取引の重複
重複して登録されている可能性がある取引を検知して表示します。
取引の重複チェックでは、同じ日付・金額・取引先で登録された取引を抽出して表示しています。
簡易的なチェック機能ですので、それが本当に重複なのか、それとも実際に同じ日に同じ金額の収入や支出が複数あったのか、表示された取引をご自身で確認して、適切な処理を選択する必要があります。
重複チェックについて、詳しくは「取引が重複していないかチェックする(重複チェック)」のヘルプページをご覧ください。
本機能では、口座振替や振替伝票の重複については検知しません。
また、実際には重複していない取引が多数検知されることを避けるため、次のような取引は検知対象から除外します。
- 「手数料」または「交通費」の文字を含む勘定科目だけで構成された取引(同じ日に同じ金額を支払うケースが多いため)
- 「自動で経理」から登録された取引同士の組み合わせ(手動で登録した取引と重複している場合は検知の対象とします)
検知された取引の確認と修正の作業は、「取引の一覧・登録」画面で行います。
重複の可能性がある取引は組になって表示されますので、本当に重複しているかどうか、1つ1つ確認して[操作を選ぶ]ボタンから判定の操作をしましょう。
-
どちらも正しい取引である場合
「重複しないので残す」を選択すると、今後は重複として検知されなくなります。 -
重複していた場合
「重複するので削除する」を選択し、取引を削除します。
取引を削除すると、その取引に入力していた情報は失われます。
削除しても問題がないかどうかを確認しながら、慎重にご操作ください。
取引を削除する際、優先して残すことをオススメするのは、次に当てはまる取引です。
-
品目・部門・備考など、情報を詳しく入力した取引
削除すると入力していた内容も消えてしまいますので、情報がより詳しい取引を残しましょう。 -
同期している銀行やクレジットカードなどの明細から登録した取引
明細から登録した取引を削除すると、明細は「登録待ち」の状態に戻り、「自動で経理」に再度表示されます。
もし明細から登録した取引を削除する場合には、「登録待ち」の状態に戻った明細の「無視」もあわせて行いましょう(参考: 不要な明細を無視する )。 -
レシートなどのファイルを添付した取引
レシートの画像などが紐づいた取引を削除すると、添付されていたファイルは「未登録」の状態に戻ります。「未登録」のファイルは、ファイルボックスの[未登録]タブで確認できます(参考: 取り込んだレシート類を帳簿付けする )。
ファイルが添付されている取引を削除した場合には、「未登録」の状態に戻ったファイルを削除するか、残した取引に添付しなおすとよいでしょう。
インボイス制度の少額特例
インボイス制度の「少額特例」に該当する可能性がある取引を検知して表示します。
このチェックは、インボイス制度の導入にともない「通常の課税仕入に当たる税区分」と「経過措置用の税区分」を使い分けることになる課税事業者のうち、少額特例の対象となる方が使用することを想定しています。
そのため、インボイス制度の「買い手側対応機能」を使用する設定になっている場合にのみ、該当の取引が検知されます。
【少額特例とは】
インボイス制度の導入により、2023年10月1日以降は要件を満たしたインボイス(適格請求書)を受け取って保存していないと、その取引について原則として仕入税額の控除が認められなくなりました。
ただし、小規模な事業者向けには少額特例があり、税込1万円未満の仕入や経費はインボイスがなくても仕入税額の控除が可能です。
少額特例に該当する取引については、経過措置用の税区分ではなく 通常の課税仕入に当たる税区分を用いることで、仕入税額を適切に控除できます。
※ この特例は、2029年9月30日までの時限措置です。
【対象となる事業者】
少額特例の適用対象となるのは、以下のどちらかに当てはまる事業者です。
- 前々年度の課税売上高が1億円以下
- 前年度の開始から6ヶ月間の課税売上高が5,000万円以下
課税売上高は、判定対象の期間に課税事業者だった場合は税抜、免税事業者だった場合は税込の金額で判定します。
ご自身で確認のうえ、判定が難しい場合は税務署や税理士の方にご相談ください。
【このチェックでできること】
このチェックを使用するには、初めに「少額特例の対象となる事業者かどうか」の設定が必要です。
対象となる事業者の方は、「修正待ちリスト設定」にて特例の対象となる事業者かどうかの確認で「該当する」を選択して保存すると、検知された取引が表示されるようになります(この確認は年度ごとに必要となります)。
設定後は、税込1万円未満の支出取引の中で「課対仕入(控80)10%」など経過措置用の税区分が用いられているものが表示され、[税区分をまとめて修正する]ボタンをクリックすると、「課対仕入10%」など通常の課税仕入に当たる税区分に一括で変更できます。
表示される修正内容を確認して、修正を実行してください。
実行した後に元の状態に戻すことはできませんので、税区分を修正しても問題ないかご不明な場合には、修正を行う前に管理者や顧問税理士の方にご確認ください。
【このチェックでできないこと】
検知された取引の修正方法としては、「取引の詳細」を開いて個別に修正するか、[税区分をまとめて修正する]ボタンからすべての取引の税区分を一括修正する操作のみが可能です。
特定の取引について「修正しない」という選択をすることはできません。
また、以下のような取引は、少額特例に該当するものであっても検知の対象外となります。
- 発注書や経費申請から登録された取引など、登録した方法が「手動」「自動で経理」以外の取引(※)
- 「+更新」を行った取引
- 収入の取引
- 振替伝票
※ 認定アドバイザー向けデータ化サービスの明細から登録した取引は、登録した方法が「自動で経理」となるため検知の対象に含まれます。
対象外となるものも含めて、より厳密に漏れなくチェックするためには、「消費税区分別表」を利用する必要があります。
「消費税区分別表」では、[税区分 - 勘定科目][貸借表示]を選択して表示を絞り込んだ状態で、「課対仕入(控80)10%」など確認したい税区分を見つけ、その税区分が使用されている勘定科目を確認します。
勘定科目の行で[総勘定元帳]のボタンをクリックすると、その税区分と勘定科目がセットで使用されている取引(仕訳)を「総勘定元帳」で日付順にチェックできます。
「総勘定元帳」では対象を選択して税区分や勘定科目の一括編集も可能です。ただし、一括編集を行う際は内容をよく確認して慎重に実行してください。
以下に当てはまる方は、このチェックを使用して取引を修正する必要がありませんので、修正待ちリストに表示されないように設定を切り替えておくことをオススメします。
- 免税事業者
- 簡易課税または2割特例を選択する事業者
- 少額特例の対象に当てはまらない事業者
「修正待ちリスト設定」にて、「インボイス制度の少額特例:使用しない」を選択、または、少額特例の対象となる事業者かどうかの確認で「該当しない」を選択すると、チェックが行われなくなります。
なお、免税事業者や簡易課税事業者の方は、支払いの相手や内容によって「仕入税額の控除が認められるかどうか」を確認して税区分を使い分ける必要が基本的にないため、経過措置用の税区分(買い手側対応機能)を「使用しない」設定にしておくと、入力の際に不要な選択肢が表示されなくなります。
詳しくは、「消費税・税区分の設定を行う - インボイス制度への対応[令和5年(2023年)10月1日~]」をご参照ください。
仕入税額控除の経過措置と少額特例、および、消費税区分別表について、より詳しくは次の資料とヘルプページもご覧ください。
インボイス情報との不一致
添付ファイルの「インボイス情報」と一致しない税区分が使用されている取引を検知して表示します。
このチェックは、インボイス制度の導入にともない「通常の課税仕入に当たる税区分」と「経過措置用の税区分」を使い分けることになる課税事業者の方が使用することを想定しています。
そのため、インボイス制度の「買い手側対応機能」を使用する設定になっている場合にのみ、該当の取引が検知されます。
チェックが不要な方は、「インボイス制度の少額特例」のTipsを参考に、「修正待ちリスト設定」にて「インボイス情報との不一致:使用しない」を選択してください。
【添付ファイルのインボイス情報とは】
取引先から受け取った領収書や請求書をファイルボックスにアップロードすると、自動解析により「インボイス(適格請求書等)に該当するかどうか」判定されます。
判定が正しくない場合は、この情報を手入力で編集することもできます。
領収書や請求書が読み取りにくい状態だった場合など、自動解析による判定が必ずしも正しいとは限らないため、最終的な判定は実際にファイルを確認して行うのが確実です。
【インボイス情報と税区分の正しい対応関係】
仕入や経費の支払いをしたとき、領収書や請求書がインボイスに該当する場合は、通常の課税仕入に当たる税区分を選択できます。
インボイスに該当しない場合(例:免税事業者への支払いなど)は、特例を除き、経過措置用の税区分を選択するのが適切です。
取引に添付されているファイルのインボイス情報と、その取引に使用されている税区分は、原則として次のように対応しているのが適切といえます。
-
添付ファイルのインボイス情報が「適格請求書等に該当する」の場合
- 取引の税区分:「課対仕入10%」など通常の課税仕入に当たる税区分
- 仕入税額控除:控除できる
- 取引の税区分:「課対仕入10%」など通常の課税仕入に当たる税区分
-
添付ファイルのインボイス情報が「適格請求書等に該当しない」の場合
- 取引の税区分:「課対仕入(控80)10%」など経過措置用の税区分
- 仕入税額控除:一定割合を控除できる(2029年9月30日まで)
- 取引の税区分:「課対仕入(控80)10%」など経過措置用の税区分
【このチェックでできること】
このチェックでは、通常の課税仕入に当たる税区分と経過措置用の税区分を誤って選択した可能性がある取引として、次のような支出の取引を検知します。
-
取引の税区分は「課対仕入(控80)10%」になっているが、添付ファイルのインボイス情報は「適格請求書等に該当する」になっている
- 添付ファイルが適格請求書等であれば、税区分は「課対仕入10%」が適切と思われるため
-
取引の税区分は「課対仕入10%」になっているが、添付ファイルのインボイス情報は「適格請求書等に該当しない」になっている
- 添付ファイルが適格請求書等でないならば、税区分は「課対仕入(控80)10%」が適切と思われるため
- ただし、少額特例に該当する場合は検知しません
- 取引に取引先タグが付いていて、その取引先が「適格請求書発行事業者に該当する」に設定されている場合も、問題がないと見なし検知しません
(取引先の設定についての詳細は「取引先を登録する - 取引先の情報詳細を登録する」のヘルプページをご覧ください)
- 添付ファイルが適格請求書等でないならば、税区分は「課対仕入(控80)10%」が適切と思われるため
※ 複数行の取引で税区分が混在している場合、「インボイス情報と一致しない税区分を使用している行」が1行でもある取引を検知します。
詳細画面では、取引の中で通常の課税仕入に当たる税区分と経過措置用の税区分のどちらかを使用している行のみが表示されます。
行ごとに内容を確認して、[税区分の確認・修正]ボタンから操作を選択しましょう。
- 添付ファイルのインボイス情報が正しく、取引の税区分が誤っていた場合
「添付ファイルに合わせて修正する」を選択して、取引の税区分を修正します。 - 取引の税区分が正しかった場合
取引を修正する必要はありませんので、「入力した税区分を変更しない」を選択して保存します。
なお、添付ファイル(受け取った領収書や請求書)が適格請求書等に該当しない場合でも、特例として仕入税額控除が認められるものがあります。以下はその一部です。
- 小規模事業者を対象とする「少額特例」に当たる1万円未満の支払い
- 3万円未満のバス・鉄道など公共交通機関の旅客運賃
- 3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの商品購入
- 従業員に支給する出張旅費等
詳しくは「インボイス制度における特例 - 帳簿のみ保存の特例について」をご参照のうえ、判断が難しい場合は税務署や税理士の方にご相談ください。
【このチェックでできないこと】
添付ファイルのインボイス情報を正とするか、取引の税区分を正とするか、個別に確認しながら修正する必要があるため、複数の取引(行)について一括で修正の操作を行うことはできません。
また、以下のような取引や行は検知の対象外となります。
- ファイルが添付されていない取引、または、複数添付されている取引
- 添付ファイルの書類の種類が「領収書」「請求書」以外である取引
- 取引に含まれる行のうち「対象外」などの税区分(通常の課税仕入に当たる税区分と経過措置用の税区分のどちらでもない税区分)を使用している行
- 登録した方法が「手動」「自動で経理」以外の取引(※1)
- 取引を登録した後に、一度でも税区分を変更した取引
- 「+更新」を行った取引
- 収入の取引
- 振替伝票
- ファイルボックス(※2)、および、連続取引登録から登録した取引(ファイルのインボイス情報を確認したうえで、あえて異なる税区分を選択したと考えられるため)
※1:認定アドバイザー向けデータ化サービスの明細から登録した取引は、登録した方法が「自動で経理」となるため検知の対象に含まれます。
※2:モバイルアプリでレシート撮影をして取引登録を行った場合も含まれます。
検知の対象外となるものも含めてより厳密に漏れなくチェックするためには、「消費税区分別表」を利用する必要があります。
「消費税区分別表」では、[税区分 - 勘定科目][貸借表示]を選択して表示を絞り込んだ状態で、「課対仕入10%」や「課対仕入(控80)10%」など確認したい税区分を見つけ、その税区分が使用されている勘定科目を確認します。
勘定科目の行で[総勘定元帳]のボタンをクリックすると、その税区分と勘定科目がセットで使用されている取引(仕訳)を「総勘定元帳」で日付順にチェックできます。
「総勘定元帳」では、添付ファイルを見ながら取引の内容を確認・修正できるほか、対象を選択して税区分を一括編集することも可能です。
一括編集を行う際は、内容をよく確認して慎重に実行してください。
「インボイス情報との不一致」のチェックにおいて少額特例に該当する取引を除外するかどうかは、修正待ちリスト設定の「特例の対象となる事業者かどうか」の選択によります。
-
「該当する」を選択している場合
1万円以上の取引のみがチェックの対象となります。少額特例の適用となる1万円未満の取引は対象から除外されます。 -
「該当しない」を選択している場合
1万円未満の取引もチェックの対象となります。 -
「選択してください」となっている場合(未選択の状態)
1万円未満の取引もチェックの対象となります。
なお、「インボイス制度の少額特例」のチェックを使用するかどうかの設定は、「インボイス情報との不一致」のチェックには影響しません。
「インボイス制度の少額特例」のチェックを「使用しない」設定にすると、「特例の対象となる事業者かどうか」の選択は変更できない状態になります。
変更が必要な場合は、いったん「インボイス制度の少額特例」を「使用する」に切り替えてから変更してください。
仕入税額控除の経過措置と消費税区分別表について、より詳しくは次のヘルプページをご覧ください。
参考:一時的にマイナス残高となっているが問題ない場合
次のようなケースで、記帳ミスがなくても預り金や立替金のマイナス残高が生じることがあります。
- 従業員に対する年末調整の還付により一時的に預り金の残高がマイナスとなっている
- 従業員の給与額の増加等により一時的に立替金の残高がマイナスとなっている
いずれも次回、源泉所得税や雇用保険料を納付する際に調整して、マイナス残高が解消されることになります。
このように原因と金額が判明していて、マイナスでも問題ない状態だと確認できている場合は、とくに修正する必要はありません。
なお、決算時には以下のような振替伝票を登録することで、別の勘定科目に振り替えることも可能です(仕訳は一般的な例です)。
-
「預り金」のマイナス分を「未収入金」に振り替える
(借方)未収入金 / (貸方)預り金 -
「立替金」のマイナス分を「預り金」に振り替える
(借方)立替金 / (貸方)預り金
ただし、別の勘定科目に振り替えるとその後の処理が複雑になりますので、本来問題のないマイナス残高である場合には、翌日の日付で反対向きの振替伝票(反対仕訳)を登録し、元の状態に戻しておきます(修正待ちリストではマイナス残高として検知され続けます)。
-
「未収入金」に振り替えた「預り金」のマイナス分を元に戻す
(借方)預り金 / (貸方)未収入金 -
「預り金」に振り替えた「立替金」のマイナス分を元に戻す
(借方)預り金 / (貸方)立替金
参考:前期以前から残高が正しくなかった場合の修正方法
修正待ちリストによって残高のマイナスが検知され、見直してみると「実は前期以前からマイナスの状態だった」または「前期以前の記帳ミスが原因で残高が合っていなかった」と判明することがありえます。
期末の残高が正しくない状態で決算申告を行ってしまっていた場合、修正申告が必要かどうか、まず税務署や税理士の方にご相談ください。
たとえば、次のような記帳ミスで立替金のマイナス残高が発生していた場合、経費を過大に計上していたことになります。
例1:取引先に対して売上代金を請求する際、こちらで立て替えた経費分の実費を合わせて請求しているが、経費の支出取引は「旅費交通費」として登録し、取引先からの収入取引は「売上高+立替金」として登録していた。
また、マイナス残高ではありませんが、次のような記帳ミスにより預り金が多すぎる状態になっていた場合も同様です。
例2:従業員に給与を支払うときの支出取引で「給料手当」から社会保険料や源泉所得税などの控除を「預り金」(マイナス行)として登録しているが、社会保険料や源泉所得税を納付したときの支出取引はすべて「法定福利費」や「租税公課」として登録していた。
このような場合、本来よりも課税所得を少なく計算して申告してしまっていたおそれがあります。
修正申告を行う場合であっても、年度締めを解除して過年度の帳簿を修正することは基本的に行いません。かわりに、今年度の期首の日付で修正仕訳を登録します。
詳しくは「 【法人】前年度の仕訳を修正したいです 」のヘルプページをご覧ください。
なお、立替金や預り金などの残高を修正するにあたっては、単純にその残高だけを修正するのでなく、「原因となった記帳ミスによって売上や経費の誤計上がなかったか」についても調べた上で修正するようにしましょう。
参考:少額特例に関する注意点
インボイス制度の少額特例は、税込1万円未満の課税仕入が適用対象となります。
税込1万円未満かどうかは、商品単位の金額ではなく1回の取引の合計金額で判定するものとされています。
たとえば「5,000円の商品と7,000円の商品を同時に購入して、合計12,000円支払った」という場合、1回の支払いとしては1万円以上ですので、少額特例の適用対象となりません。
判定の単位について、詳しくは国税庁の「インボイスQ&A≪一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置における1万円未満の判定単位≫(PDF)」をご参照ください。
修正待ちリストでは、取引が複数の行を含んでいても、行ごとの金額ではなく取引1件の合計金額で税込1万円未満かどうかを判定します。
そのため、上記のような場合に誤って検知されることはありません。
ただし、1回の支払いを「5,000円の商品を購入した」「7,000円の商品を購入した」という2件の取引に分けて登録していた場合、修正待ちリストはそれぞれを少額特例に該当する可能性がある取引として検知します。
この点で注意が必要なのは、Amazonビジネスを連携して購入履歴を取り込んでいる場合です(Amazonビジネスの連携操作などは「Amazonビジネス - 購入履歴を取り込む」のヘルプページをご覧ください)。
Amazonビジネスとの連携では、注文単位ではなく商品単位で明細が取り込まれます。この明細を元に取引を登録すると、取引の金額が「1回の支払い単位」ではなく「商品単位」になります。
問題となるのは適格請求書発行事業者でないセラーから複数の商品を購入した場合のみと考えられますが、本来は少額特例の対象とならないものが検知されることがあります。
取引の金額が税込1万円未満であっても少額特例の対象とならないものについては、後で絞り込みができるようメモタグなどを付けておくことをオススメします。
総勘定元帳で絞り込みと税区分の一括編集ができますので、修正待ちリストによって税区分を変更したとしても、決算時にあらためて確認して適切な税区分に修正が可能です。